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プロローグ4

設定考えるのって大変ですね

「えー、ということでじゃな、お待ちかねのスキル取得についての説明回じゃのぉ」


「・・・」


 俺はその台詞(せりふ)に半眼になる。


「猿田彦様、スキル取得って、ひょっとして俺が選択するとそれに見合った修行して取得とか、そんな感じなんですか?」


「いんや、選択すると、その知識と使い方、熟練度も含めて数秒で取得できるんじゃよ」


「・・・」


「どうしたんじゃ?あんまり乗り気じゃなさそうじゃのぉ? 楽太郎君」


「いえ、それならなんで俺は建御雷様と5年も修行する羽目になったんですか?」


「それはあやつも言っておったじゃろう? 軽い運動じゃと、そのままの意味じゃよ」


「軽い運動が5年ってありえないでしょ!」


「儂ら神じゃからのぉ、5年なんてあっと言う間じゃよ、それに楽太郎君。自分の体を見てみるんじゃよ。ここでは時間が止まっとるからのぉ、体型の変化もないじゃろぉ?」


 言われて自分の体を見回すと、確かに変化はなかった。

 おなかポッコリ、二の腕モッチリ、顎を触ればタプタプしそうな感じだ。


「おぬしにとっては5年でも実際は1秒たりとも経っておらんのじゃよ」


「ってことはやっぱり修業付きってことでしょう? 騙されませんよ!あんなきついのもう無理ですよ!」


「おや、鋭いのぉ、まぁ、あの運動は建御雷の餞別みたいなもんじゃよ。あの運動でおぬしに5つスキルが付いたんじゃが、それは儂らが与えるスキルとは別枠になっておるんじゃよ。おぬしが自力で手に入れたスキルってことじゃな」


「?!」


「おぬしからすれば5年以上前に聞いたことかもしれんが、儂らが与えるスキルだけじゃなく、後からスキルを取得することも可能じゃと説明したじゃろ。おぬしは与える前に手に入れてしまったがのぉ」


 と言ってほっほっほ、と笑う猿田彦様、釈然とはしないが、建御雷様なりの激励と考えれば、破格なのかもしれないな。なんせ武神や軍神と言われる神様に直接指導して貰ったんだから。


 そう考えると少し得した気分になってくる。「喉元過ぎれば熱さ忘るる」と言う諺があるが、あの地獄も終わってみれば・・・

 うん、やっぱり忘れようのない地獄だ。 あの運動のことを考えるのはやめよう、気分が落ち込む。


 普通にスキル取得しようとすると、あんなきつい目に遭っても5年で5つしか取れないのか。

 1年で一個。 向こうでのスキル取得は苦労しそうだ。


「それじゃ、スキル取得についての説明じゃが、儂からじゃなく、こっちの3馬鹿女神(さんばか)から説明してもらうんじゃよ」


といって軽く地面に杖を打ち付けると、猿田彦様の横に亀甲縛りされた3柱の女神(さんばか)が現れた。・・・俺の中じゃ既にそんな認識になってしまった。


「ちょ、ちょっと猿田彦様、この縄を解いてください!」

「爺さん!反省してるから、外してくれよ」

「・・・恥ずかしいです」


「おぬし等、自分達が犯罪犯して掴まっとるのがわかっとらんのか? まったく」


猿田彦様が杖を振ると3柱の女神(さんばか)を縛っていた縄が消え、女神達がよろよろと立ち上がる。


金髪ロングに褐色の肌の女神?が口を開く。


「初めまして・・・じゃないわね。お久しぶり?と言うほどでもないですけど、私はあなたがこれから行く世界『エターナルプレイス』で知識を司る女神をしている『サスティナ』と申します。よろしくお願いしますね」


 微笑みながら挨拶をされたが、俺は半眼になって白けた顔になる。

 人を異世界に拉致る張本人が何言ってるんだか・・・

 建御雷様との軽い(・・)運動と言う名の地獄を味わった後では、3柱の女神(さんばか)に対して更に怒りが湧くことがあっても、敬意を持つことはできそうにない。

 俺はサスティナの方から視線を外し、猿田彦様の方を向く。


「・・・」


「楽太郎君、君の心情は察するが、異世界(むこう)の事についてはそこにおる3柱の女神(さんばか)の方が詳しいんじゃよ。一応向こうでは神らしいからのぉ。すまんが、ここは堪えて説明を聞いて貰えんかのぅ」


 猿田彦様に宥められ、俺はしぶしぶ了承する。


「分かりました。説明を聞かせてもらいます」


 一言断りを入れると、サスティナの方を向いて説明するよう促す。

 微妙にサスティナの口元がひくついているが、気にしない。向こうも気に喰わないかもしれないが、こっちはそれ以上に気に喰わないのだから。

 


「・・・えー、それでは、『エターナルプレイス』におけるスキルの概念についてですが、こちらの『地球』では技術や知識は経験を積み熟練度を上げることにより、更に高度な技術や知識を手に入れる事ができますが、それ以外での技術や知識の取得はできません。しかし、『エターナルプレイス』ではレベルの概念が・・・」


 説明が長い・・・、要約すると、地球じゃ自身の経験で技術・知識を蓄え、それがスキルになるが、向こう(エターナルプレイス)ではそれ以外にも神々の祝福(ギフト)として与えられたり、職業によって取得できたりするらしい。また、異世界からの召喚者の場合、レベルアップ時のボーナスポイントを割り振ることで欲しいスキルを取得できるようになるらしい。

 ゲームじゃないのにレベルがあるのには驚いたよ。大体普通の村人はLv10前後、騎士や戦士等の戦闘職の中堅処がLv20-30、Lv40-60で一流と呼ばれるらしく、Lv100前後になると既に天上の存在と言うことらしい。

 異世界からの召喚者にはメニュー操作の能力がデフォルトで付加されているそうだ。益々ゲームっぽいな。向こう(エターナルプレイス)の世界。 とか考えていると。


「なお、メニュー操作については『地球』のゲームを参考にさせて頂きました」 

 と誇らしげにサスティナが説明してくれた。 パクリかい・・・神の癖に脳みそ薄すぎだろ。






 ということで、スキル説明が終わった。

 説明が終わるとサスティナは他の2柱の女神の元に戻る。

 「ということで、説明がおわったんでのぉ、楽太郎君には早速スキルを選択してもらうんじゃよ。『コマンド メニュー』と言ってみぃ」

 と猿田彦様に言われたので言ってみる。


「コマンド メニュー」


 言葉を発すると目の前に半透明のウィンドウが現れる。

「おぉ?!」

 突然現れたウィンドウに吃驚と感動が綯交ぜのままウィンドウを凝視する。

 ウィンドウには


----------------------------------------

名前 :山並 楽太郎

性別 :男性

年齢 :35

職業 :無職

称号 :-

レベル:1


ステータス

 HP : 171

 MP : 167

 STR : 215

 VIT : 202

 INT : 273

 AGI : 147

 DEX : 267

 MND : 142

 LUK : 79


特記事項

 猿田彦の加護

 建御雷の加護

 サスティナの加護

 ナシスの加護

 ルシエントの加護



 無職って・・・ 一応会社員なのに・・・ 就職してるのにぃぃぃ!くぅぅ、これも異世界召喚の所為か!

 一人憤っていると、3柱の女神(さんばか)の内、赤い髪の色白女神が騒ぎ出す。


「ちょっと待て!こいつのステータス Lv1なのに既にHP以外がLv20の平均値超えてるぞ!こんなのおかしいだろ?!」


 どういうことだろう? そう思い猿田彦様の方を見る。


「異世界に行く不幸な者への餞別として簡単に死なない様にステータスを少々上げておるんじゃよ」


「少々どころじゃないだろ爺さん!こんな奴が来たらこっちの世界が滅茶苦茶になっちまうだろ?!」


「人様の世界の住人誘拐しといてその言い草はなんじゃ! これくらいで済んでむしろ良かったと思えぃ!本来ならおぬし等悪神堕ちか抹消されておったんじゃぞ! それを儂らの慈悲でこの程度に抑えておるんじゃろうが!」


「・・・すんませんでした」

怒りを露わにした猿田彦様の迫力に圧されたようで、赤髪色白女神が肩を落とし謝る。


「猿田彦様、私のステータスってそんなに高いんですか?」


「高いのぉ、例えるなら、Lv1で2回目のカンダタをぎり殺せる感じじゃな」


 Lv1で中ボスソロができるステータスとか・・・どんだけイージーモードになってんだ、向こうの世界・・・


 メニューに視線を戻すと、スキルの項目があったのでメニューにタッチするとスキルメニューが現れた。


----------------------------------------

 所持スキル


[武術] :熟練度 100

[神槍] :熟練度 12

[神拳] :熟練度 20

[気功術]:熟練度 70

[超回復]:熟練度 42


・・・ 神槍? 神拳? なんか、凄そうなスキルだな・・・


「な?!」

 声のする方を振り向くと赤髪色白女神が口元を抑えて震えていた。

 人のステータス盗み見て驚くんじゃない。まったく・・・

 スキルメニューを見ていくと右下に『スキル追加』のボタンがあった。

 ボタンを押すと、スキル一覧が現れ、下方にスキル取得 6と表示される。


「猿田彦様、このメニューからスキル取得するんですか?」


「そうじゃよ。今回はギフトじゃから全て最上位スキルが取得できるんじゃよ」


「時間かかっても大丈夫ですか?」


「本来の時間は止まっておるから大丈夫じゃよ。じっくり考えて選ぶんじゃよ」


「ありがとうございます」


 そう返事をしてスキル表とにらめっこを始める。




 どれだけ時間が経ったかわからないが、俺の一番欲しいスキルが見当たらない。


「あのー、猿田彦様、コーラを創造(つく)るスキルってないんですか?」


「残念ながらないのぉ」


「向こうに炭酸飲料ってないんですよね。作る材料はあるんですか?」


「どうなんじゃ?サスティナ」

 話を振られたサスティナが答える。

「材料そのものは存在しておりますが、『地球』で言う炭酸飲料は残念ながらありませんね」


「コーラを手早く作るには錬金術か調理スキルがあった方が良いんですかね?」


「取得するのであれば錬金術をお勧めします。調理スキルは料理をしていれば直ぐ取得できますので、ここで取得する必要はないと思いますよ」


 サスティナと普通に会話してしまった・・・ ま、コーラの為だ、仕方ない。


「うーん、猿田彦様。『地球』のインターネットみたいなスキルはないんですかね。何もわからない状態で向こうの世界に行くのは怖いんですよ」

と無茶を承知で聞いてみると、意外に何とかなった。


「おぬしには儂らとの直通電話を用意する予定じゃから、その序でに『地球』のインターネットと繋がるように細工しておこうかのぉ、それでええかの?」


「ありがとうございます!さすが神様!」 

とお礼を言うと、猿田彦様はほっほっほっと笑われる。

 さて、残りのスキルを考えるか。




それからしばらく経ち、なんとかスキルを6個選び出した。

因みに取得したスキルは以下の6個。


[錬金術]   :熟練度 100

[無限収納]  :熟練度 100

[状態異常無効]:熟練度 100

[鑑定]    :熟練度 100

[危機察知]  :熟練度 100

[最適化]   :熟練度 100


「これで行く準備は整ったのぉ、ほれ、直通電話じゃ、使い方はスマホと同じじゃよ。動力は魔力になっておるから魔力さえあればずっと使えるし、破壊不能属性が付いておるから壊れることもないんじゃよ」


そう言って、見た目はまんまスマホの携帯端末を投げ渡してくる。


「これでいよいよ異世界へ行くんですね」


「名残惜しいが中々楽しい時間じゃったよ。3柱の女神(さんばか)、こっちに来るんじゃ」


「「「はい」」」

 改めて思うと、一応神様なんだが、呼称が三馬鹿で定着するとは・・・って、そういやサスティナ以外名前も聞いてないな。

 そう思い質問すると、赤髪色白女神は戦いを司る女神「ナシス」と名乗り、銀髪碧眼幼げ女神は時空間を司る女神「ルシエント」と名乗った。

 

「それでは、私たちが楽太郎さんをエターナルプレイスへご案内しますね」

そうサスティナが宣言をするので、猿田彦様に別れの挨拶をする。


「色々お世話になりました。それでは『ちょっと待て!』」

 振り向くと建御雷様が大きな箱を抱えて立っていた。


「そのままの格好では召喚者共に面が割れてしまうだろ? これを着て行け。俺からの餞別だ」


 なるほど、確かにそれは嫌だな。俺は召喚された瞬間、その場から逃げることを考えていたが、変装していればその後の追跡も躱せるだろう。


 そう思い建御雷様の提案を受け入れた。



スキルについてですが、熟練度100で上位スキルに更新されます。

もちろん熟練度が高いほうが同じスキル持ってても強いです。


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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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