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第35話 楽太郎 模擬戦をする

投稿します。


例によって戦闘シーンの描写は稚拙な表現となっております。

申し訳ありません。


 レイラの後を追って受付に行き、訓練場の使用許可を貰いに行ったら、すんなりと許可が下りた。


 話を聞くと訓練場は普段はあまり使われていないそうだ。殆んど手合せや決闘、魔法の試し打ち程度にしか使われていないらしい。広いのに勿体ない。


 訓練場まではエミリーさんが案内してくれた。


 今の内に改めてレイラのステータス見とくか。そう思い「鑑定」を使う。






----------------------------------------

名前 :レイラ=カストール

性別 :女性

年齢 :18

職業 :冒険者

称号 :護衛(ガーディアン)

レベル:15


ステータス

 HP : 295/295

 MP : 97/97

 STR : 190

 VIT : 190

 INT : 120

 AGI : 220

 DEX : 140

 MND : 170

 LUK : 30


特記事項




 うん?職業が冒険者になってるな。・・・って、そりゃそうか、今日冒険者登録したんだっけ。


 あと・・・あれ?確かこの人「サスティナの加護」受けてなかったっけ? 他のステータスは変化してるか良く覚えてないんだけど、確かにあったはずだ。


 じっとステータス画面の特記事項の辺りを見ていると、下の方に「▽」という記号があるのを見付けた。


 なんだろ?そう思って押してみると、ステータス画面の下にスキル欄が現れた。



----------------------------------------

取得スキル



[礼儀作法1] 熟練度 70

[槍技] 熟練度 72

[剣技] 熟練度 38

[弓技] 熟練度 15

[小回復] 熟練度 31





 ・・・良く見てなかったが、スキルも「鑑定」できてたのね・・・ 初めて知った。


 新しい発見に呆然としていたら声を掛けられた。声の方を見ると、少し離れたところにエミリーさんとレイラがいた。どうやら立ち止まっていたようだ。


 一声謝罪すると、俺は慌てて後を追い、訓練場へ入った。







 訓練場での模擬戦はエミリーさんが立会人になってくれるようだ。


「それでは模擬戦と言う事なので、レイラさんもラクタローさんもそれぞれ訓練用の木製の武器を選んでください」


 エミリーさんがそう言って訓練用の武器を仕舞ってある部屋を指し示すが、俺はそれに待ったをかけた。


「それですが、レイラさんは普段使っている武器で構いませんよ」


 その言葉に驚く2人。


「そもそもこの模擬戦は実力の違いをはっきりと見せ付ける為の戦いなんですから、それくらいのハンデは無いと意味がないと思いまして」


 そう付け加える。レイラの方を見ると、侮辱されたと思ったのだろうか、憮然とした表情をしている。


「それではお言葉に甘えて普段使っている装備で戦わせて頂く」


 不満を声には出さず、そう言って背中に背負った丸盾(ラウンドシールド)と腰に差した長剣(ロングソード)を抜き、構える。


 不満な表情は隠せていないが、それを声に出さないのは好感が持てるな。 最初の出会いはお互いの立場が違い戦うことになったが、結構マシな人物なのかもしれんな。


「気が早いですね、準備運動はしないんですか?」


 俺はそう言って体を軽く解す。


「必要ない。騎士は常に戦いを意識し、何時でも戦えるよう心掛けている」


「そうですか。分かりました。ただ、私は少々体を解したいので時間を頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」


 そう聞くと、1つ頷き、構えを解くレイラ。エミリーさんは空気を読んでか、一言も発しなかった。


 暫らく俺が準備運動する時間が続くが、その間誰も声を出さなかった。


「よし。準備運動は終わりました。それじゃ早速模擬戦しましょう」


 俺がそう言うと、2人が驚いた。


「ラクタローさん。武器を選んでませんよ?」


「必要ありませんよ。私は素手でお相手します」


 俺がそう言うと、レイラは少々震えているが、なんとか怒りを抑えている様だ。


「ラクタローさん。それは相手のレイラさんに対して失礼ではないですか?」


「すみません。先程も伝えましたが、実力の違いをはっきりとさせる為の模擬戦なんです。これで負ければレイラさんも納得されるでしょう。それにもし、私が怪我をしたり死んだりしてもレイラさんの所為にはしませんよ。あ、何か一筆書きましょうか?」


 そう言うと、パーティ云々の話はエミリーさんも知っているので、と言うか、彼女が発端なので、彼女が困ったような表情をするが、それを無視してさっさと話を進める。


「レイラさんもよろしいでしょうか?」


「私は問題ない。と言うか、早く戦いたい」


「と言う事です。それでは立会をお願いします」


 模擬戦をする2人が了承しているので、エミリーさんは溜め息を吐きつつ、立ち会ってくれた。


 俺とエミリーは3メートル程離れたところで向かい合い、戦いの邪魔にならない少し離れたところにエミリーさんが立つ。


「えー、それではこれよりレイラ=カストールとヤマナミ=ラクタローの模擬戦を始めます」


 その声に俺達は身構える。


「それでは・・・始め!」


 エミリーさんのその合図に合わせる様にレイラに突進する俺。


 開始早々突進してくるとは思わなかったのか、レイラは驚くが、直ぐに左手の盾を構え突進を迎え撃つ態勢に入る。


 レイラは接敵直前で盾を押し付ける様に前に出すが、俺は寸前で盾を回避し、躱された無防備なレイラの背中に軽く一撃入れる。


 レイラは前のめりにたたらを踏むと、慌てて振り向くが、もう遅い。


 俺は振り向いたレイラの足を払い地面に転がすと、顔に止めの一撃を寸止めする。





「はい、終わりましたよ」


 そう言うと、倒されたレイラはもちろん。エミリーさんも驚愕していた。


「これで実力差が分かりましたか?」


 そう言って寸止めした手を開いて差し出すと、驚愕の表情で固まっていたレイラの顔がハッとした様になる。


「す、すまないが、もう一度手合せ願いたい」


 ・・・分からなかったのかな?


「ええ、いいですよ」


 そのあと、同じやり取りをどれだけ繰り返しただろうか。3回を超えた辺りでレイラの表情からは困惑が消えていた。10回を超えた頃から嬉しそうな表情に・・・マゾかこいつ?!


 そんなやり取りも2時間ほど過ぎた頃には、レイラは足腰立たず、訓練場で仰向けに寝転がっていた。


「レイラさん。これで私とは実力差があり過ぎてパーティーを組めないと分かりましたか?」


 そう聞くが、ゼェゼェと荒い息が返って来るだけで、返事は無かった。


 仕方ないので、息が整うまで俺は待つことにした。


 因みにエミリーさんは大人しくこちらのやり取りを見守っている。







 息を整えたレイラは、よろよろと体を起こし、立ち上がると、真剣な表情で深々と俺に頭を下げる。


 なんだろ?


「今までの非礼、誠に申し訳ありません。実力差も弁えず、失礼の数々。本当になんと申してよいか・・・」


 畏まられるとなんかむず痒いな。非礼と言われたが、むしろこっちの方が非礼をしてたような気がするしな・・・ 調子狂うよ、ほんと。


「顔を上げてください。レイラさん。分かって貰えたなら、それで十分です。謝罪は不要ですよ」


 そう言って笑いかけると、レイラは少し安心したのか、ホッと一息ついて安堵していたが、直にまた頭を下げ、こう言ってきた。


「ありがとうございます。それで、ですね。1つお願いがありまして・・・」


 ・・・ここでお願いって、テンプレだと、弟子入りか、厄介事(トラブル)発生の2択。


 そう言えば、この人加護が消えてたよな。それ関連の厄介事か? 確かにサスティナの加護が消えてるのは気になるけどな。火中の栗を拾う気はない。


 そんな事を考えていると、レイラがそのお願いごとを口にした。


「私を弟子にしてください!」


 そう言うと、徐に地面に手を付き頭を下げる。 所謂、土下座をされた。


 こっちの世界にもあるんだな土下座・・・って違う!


「頭を上げてください!」


 俺は慌てて頭を上げさせようと声を掛ける。


「力量の違いを顧みず、今までの非礼の数々、その上弟子入りまでお願いするのです。土下座の一つでもしなければ示しがつきません!」


 そう言って頑なに頭を上げようとしないレイラ。非を認めてくれるのは良いんだが、過剰なのはちょっと困る。


「申し訳ありませんが、弟子をとる気はありません。それに私は16歳であなたより年下ですよ? 年下を敬うのは相当難しいと思いますよ」


「自ら教えを乞うのです。相手に敬意を払うのは当然の事で、そこに年は関係ありません」


 ぐぅ・・・言ってることが正論なだけに覆せない。多少強引ではあるが、誠意ある人間の相手はやり辛い。


 俺は溜め息を吐くと、幾つか質問をする。


「ではレイラさん。私の弟子になってあなたは何を求めますか?」


「弱い自分を鍛え直し、自分なりの正道と思える生き方を貫く強さが欲しいです」


 質問をすると即座に返答が返ってきた。


 真面目で素直な願望だが、加護の件も少し気になるし、多少不自然かもしれんが、遠回しに探ってみるか。


「そう言った強さとは精神的なものだと思います。それならどこぞの宗教にでも入って精神修業でもすれば良いのでは?」


 そう言うと、レイラは体を震わせ、ゆっくりと言葉を紡ぐが、声が震えていた。


「私は神に見放された身です。今更神に縋る資格も無いのでどの宗派にも属する事は出来ません」


 サスティナの加護が無くなったことを言っているのだろう。本人にとってはとても衝撃的(ショック)な事だとは思うが、知らない振りで突っ込もう。


「どの宗派にも入らない(・・・・)ではなく、入れない(・・・・)のですか?」


 そう聞くと、震え声で短く返事が返ってくる。


「はい」


「辛いようですが、申し訳ありません。要領を得ないので、もう少し詳しく・・・っと、すみません。配慮が足りませんでしたね。場所を変えましょう。レイラさん」


 話しつつ横目でエミリーさんを見ると、興味津々といった雰囲気でこちらを窺っていたので、話すにしても他の人がいない場所に変えようと思ったのだ。


 序でに土下座もやめて貰えるしね。


「分かりました」


 場所を変えるにしても、どこに行こうかと考えるが、俺、店をよく知らないんだよね。最悪の場合、宿屋で話聞くか。


「どこか他の人に話を聞かれないような場所を知りませんか?」


 そう声を掛けると、2人共思案顔になる。 いや、エミリーさん。あなたは関係ないですから。


 少しすると、レイラが場所の提案をしてきたのでそこに行くことになった。


 さて、それじゃギルドからお暇して次の目的地へ向かいますかね。


 人の面倒見てる場合じゃないんだが、下手(したて)に出られると弱いんだよね。どう返していいか分からなくなるんだ。相手が強気だったり、強引だったり、約束破るやつなんかの相手は楽なんだけどな・・・


 厄介事(トラブル)に手を突っ込みたくはないが、既に手遅れな気もしつつ、訓練所を後にした。



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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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