プロローグ3
まだプロローグ?が終わりません。
いつになったら本文書けるんだろ・・・
「ちょ、ちょっと! もぉ無理! 無理だから! た、助けてー! 裂けちゃう!股裂けちゃうから!」
武道場に俺の悲鳴が木霊する・・・
建御雷様から運動に誘われたのだが、それが甘かったようだ。
今更だが、現在の俺の体型はおなかポッコリ、二の腕モッチリ、顎のラインがそろそろ二重に見えてきそうな典型的と言っていい中年メタボ体型 御年35歳だ。
そんな俺が運動に誘われて、「まずは準備運動からだ」と言われ、ラジオ体操までしたのはいいのだが、その後の柔軟体操で地獄の苦しみを受けることになってしまった。
体の固さを建御雷様に指摘され言われるままに壁に手を付いたのだが、その後すぐに股裂きの刑を喰らってしまった。
どういうわけか壁から手が離れず、後ろに倒れることもできず。かといって股を閉じることもできず、徐々に股が開いていく・・・長年かけて固く縮こまった筋が脳に激痛を伝えながら伸ばされていく・・・ もう無理だって・・・限界・・・超えちゃう!
必死に体を浮かそうと手に力を入れるが、いかんせん元々の筋力が自重を支え切れていないので無駄な足掻きだとは思うが、それでも必死に抵抗し続ける。既に恥も外聞もなく目から止めどなく涙を流し悲鳴を上げ続けている。
「大丈夫だ! これは股割りと言って相撲取りだってやってることだぞ、体が硬いと怪我をし易いし、ましてお前は地球より遥かに危険の多い異世界へ行くんだ。体を鍛えておいて損はない!俺は神だ!ホントの限界は心得ているから安心しろ」
建御雷様がにっこりと笑って答えてくれる。
実にいい笑顔だ。 ・・・殺したい! ・・・切実に今!
「ホントに無理ですって! し、死んじゃうって! マジマジマジ!止めて!やめろ!助けて!誰か助けて~!」
必死に懇願するが建御雷様はいい笑顔のまま「まだまだ余裕で大丈夫だ!」と言って続けてくる。
股裂きの刑が終わったのは、3時間半後・・・俺の脚が水平に広がり、お尻が地面に着いて30分後のことだった・・・
解放され、床に倒れこんだ俺は意識は失わずとも、一歩も動けない状態でくたばる寸前だ。
そんな俺に建御雷様は仰った。
「それじゃ、準備運動終わったから、本格的に運動するぞー!」
・ ・ ・ 倒れた ・ ・ ・ 誰が? ・ ・ ・ 俺が ・ ・ ・
楽太郎が気を失った後、建御雷の横に猿田彦が姿を現す。
「建御雷、おぬし、ちと飛ばし過ぎじゃないかのぉ」
「そうでもないさ、俺らの都合で魂2つに分けてくれたんだ。本人がどれだけ理解しているかわからんが、神が人間に頼みごとをし、それに応えてもらったんだ。できるだけの助力はするもんだろ?」
「それはそうじゃが、急ぎ過ぎじゃないかのぉ。楽太郎君は、ほれ、あの通りだし、向こうなら魔法や魔術って手も有りなんじゃないかのぉ?」
「俺はこれでも武神や軍神と呼ばれている。異世界に行く前に楽太郎には奴が望むスキル以外で必ず『武術』と『気功術』を覚えさせる。この2つがあれば生存率が上がる」
「ほっほっほ、見た目によらず過保護じゃのぉ、おぬしは」
「五月蠅いぞ猿田彦! あいつが向こうで早死にするのは俺たちにとっても問題だろうが! 死ぬ確率を減らす為にも闘える身体を作っておくのは良いことだろ?」
「そうじゃのぉ、幸い異世界召喚を中断させる為に時間の流れを切り離しているお蔭でここで何年過ごしても実際は1秒も時間が進んでおらんからのぉ」
「そうそう、そのお蔭で楽太郎をたっぷりと鍛えられる」
「嬉しそうな顔じゃのぉ(笑)」
「久しぶりの弟子だからな、ちと張り切りすぎるかもな」
「ほっほっほっほ」
「はっはっはっは」
といい笑顔で笑いあう2柱の神の姿があった。
あれから、どれだけ経っただろう。
股割りで気絶した後、建御雷様から運動と称した地獄の基礎運動を受け気絶。
持久走だと言って延々走らされまた気絶。
このままでは死ぬと思い、逃げ出そうと武道場の出口を探すがどこにもなく、そのことを建御雷様に聞き、運動ではなく、俺に武術と気功術を叩き込むのが目的だったことが判明。
その後は俺が泣こうが喚こうが武術修行に明け暮れる毎日・・・毎日?なのかな?
聞いた話では時間が止まっているとのことで、異世界召喚はされているが、ここにどれだけ留まっても俺が年を取ったり、向こうの時間が流れることはないそうだ。また、現世でもないのでご飯とか食べなくても平気らしい。ということで、昼も夜もない現状で気絶と修行のトライ&エラーの強行軍進行中・・・あぁ、コーラが飲みたい・・・切実に・・・
「おーい、楽太郎、訓練中に考え事とは余裕だな」
そんな一言と共に棍が突き出され、慌てて躱す。
現在、建御雷様と対戦中・・・本物の武神なんかに勝てるか!!
俺は必死に自分の持っている棍を突いたり横薙ぎに払ったりするが当たるどころか掠りもしない。
「おぉ、中々様になってきたな、伊達に2年も訓練してないか!」
嬉しそうに突きの速度を上げる建御雷様。 ホント大人げない・・・
縦横無尽に突き込まれる建御雷様の棍を払い、躱し、隙を突いて反撃の一撃を打ち込むが、反撃する度に
建御雷様の突きの速度が上がる。 しかし、2年も経っていたのか・・・すごいな、時間感覚がもう既に無くなってるよ俺・・・
それから5回程反撃をしたが、そこからは反撃する余裕はなく、ひたすら防戦を続け、スタミナ切れで脳天に一撃喰らい昏倒、そのまま気絶した。
「ふむ、武術はこんなもんでいいかな、というか、少しやり過ぎたか、『武術』スキルだけじゃなく『神槍』と『神拳』のスキルまで付いちまったな」
「ほっほ、頼もしいことじゃのぉ、これなら早々死ぬこともあるまいて」
「中々呑み込みの良い奴だな。地球でも武術関係の道に進んでれば大成できたかもな」
「そうかもしれんのぉ、その場合、ひょっとしたら儂らの仲間入りしていたかものぉ」
「いや、今からの方が可能性は高いと思うぜ」
「そうじゃのぉ、ほっほっほ」
「それじゃ、お次の気功術と行きますか。あぁ、武術が鈍らんように合間に武術訓練も挟むか」
「それがええじゃろう」
「だな」
相変わらずいい笑顔だ。
その後、気功術を修めた俺こと楽太郎は異世界へと渡ることになった・・・
「その前にスキルを決めんとのぉ」
・・・と言うことらしい。




