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第20話 楽太郎 バカを連れて王都へ戻る。

遅くなりました。


短いですが、読んで貰えたら幸いです

 草原地帯からの帰り道、お互いの自己紹介をしつつ歩き続け、畑の辺りまで来ると、王都の方から複数の兵士が駈け出して来るのが見えた。


 そう言えば、ベルタさんが警備隊への連絡に行っていたんだっけ。


 そんなことを考えている間にも兵士・・・いや、警備隊の人達はこちらに向かって駆けて来ていた。


 意外と行動が早いな。

 しかし、説明が面倒そうだな・・・


「ミロさん。ちょっといいですか?」


「なんだい?」


「ベルタさんが警備隊を連れて来てくれた様なので、警備隊への説明をお願いしたいんですが、よろしいでしょうか?」


 そう言って俺は畑の方を指差す。


「ホントだ、急いで来てくれてるな。 よし、わかった。説明は俺からするよ」


 おし、面倒くさい仕事を押し付けられた。 ナイスイケメン!

 内心、ホッと胸を撫で下ろすと、丁度警備隊の先頭が近付いて来るのが見えた。

 こちらに来るまで、あと50メートル程かな? と思った頃、ミロさんが呼びかけ始めた。


「おーい! こっちだ! 」


 そう何度か声を上げていると、警備隊の先頭集団がこちらの手前で止まり、誰何の声を上げてくる。


「俺は『風巻の団』のミロだ。 緊急の魔物討伐に来られた警備隊の方々とお見受けする」


 そうミロさんが答えると、警備隊の中から2人の女性が出てきた。

 1人はベルタさんだったが、もう1人は?


「私は警備隊第2班の隊長を務めるクリスタだ。 魔物が王都へ侵攻していると聞き駆けつけた。この先で何があったか教えて貰おう」


 どうやら警備隊の隊長さんみたいだな。

 凛とした透き通る様な声である。


 その後はミロさんの事情説明が始まり、冒険者2人組のトレイン行為や、その後のゴブリン達との戦闘等、説明が終わるとクリスタさんは「大変だったな」と、労いの言葉を掛け、冒険者2人組の身柄の引き渡しを要求してきた。


 ミロさんは俺の方を見て、視線でどうする?と投げ掛けてきた。

 仕方ないか。


「突然すいません。私は楽太郎と言います。 冒険者2人の身柄についてですが、私が受けている依頼にですね、カーチス防風林の調査と言うのがありまして、この2人がどうやら今回の異変の元凶らしいので、先に冒険者ギルドの依頼主に引き渡したいと考えているのです。 なので、身柄の引き渡しは依頼主と話し合って頂けないでしょうか?」


 俺がそう返すと、引き渡しを拒否されるとは思ってなかったのか、クリスタさんは少し呆気に取られた顔をした。


「引き渡しを拒否するのか?」


「いえ、私は依頼を達成したいだけなので、後の判断は依頼主にして頂きたいのですよ」


 面倒事はごめんだからね、警備隊に引き渡した所為でジェラルド氏から依頼料が貰えないのも困るし、引き渡さないと言って警備隊の面々に因縁つけられるのも嫌だ。


「ふむ、今すぐは無理だと?」


「はい、私も雇われの身ですので、ご理解頂けると有り難いのですが・・・」


「そうか、わかった。 それでお前の依頼主は誰だ」


「冒険者ギルド・サスティリア支部のギルドマスター ジェラルド=ベルジュさんです」


 取り敢えず、役職付きフルネームで答えた。

 あってるよな、名前・・・


「大物の名前が出て来たな。 了解した。 では私はお前と一緒に冒険者ギルドまで同行しよう」


 変に拗れなくてよかった。


「了解です。 ご理解頂き、ありがとうございます」


 説明が終わり、ミロさんはベルタさんと抱き合っていた。


 リア充共め・・・こんなの見せ付けられるなら助けるんじゃ・・・ ゲフンゲフン。

 ・・・嫉妬は良くないな。


 ま、まぁ、気を取り直して帰るか。


「インディ、行くぞ」


 そう声を掛けて、冒険者2人組を引き摺らせているインディと一緒に王都への道へ戻った。



 途中、警備隊第7班とも合流したが、特段何もなく、クリスタさんとハンスさんが話し合った後、何故か俺の横に並んで来た。


「何故横並びになるんです?」


「一応、我々の視界に君を確保しておこうと思ってな、他意はない。気分を害したのなら謝ろう」


 そうハンスさんが言って来たので、そのまま横並びで冒険者ギルドまで歩き続けた。
























 ギルドに着くと、俺と引き摺られた冒険者2人組、クリスタさん・ハンスさんの5人と、『風巻の団』の6人は受付に向かった。


 丁度アロマ氏が居たので、声を掛け、ジェラルド氏への面会を依頼すると、奥へ駆けて行った。


 ・・・


 数分するとアロマ氏が戻って来て、支部長室まで案内された。






 支部長室まで来ると、アロマ氏のノックの音が響き、「どうぞ」の返事の後、アロマ氏が扉を開け、俺達を中へと促した。


 アロマ氏の真後ろに居た俺は、そのまま入室すると、ジェラルド氏の声が飛んできた。


「戻ったか、ラクタロー君。 今日は何があったんだい?」


 そう言ってジェラルド氏は話を促した。

 俺は取り敢えず、ミロさんに視線で説明するよう促した。


 ミロさんも分かっていたようで、そのまま説明を始めてくれた。


「実はですね・・・」


 その後20分程ミロさんの説明が続き、ジェラルド氏は少し考える様に、顎を撫でつつ聞いていた。


「・・・ということで、現在に至ったというわけです」


 ミロさんの説明が終わった。


「ふむ、良くわかったよ。ありがとうミロ君」


 ねぎらいの言葉を掛けるジェラルド氏。 俺は透かさず声を出す。


「それじゃ、問題のこいつ等はギルマスに受け渡しますので、後は警備隊の方々と話し合ってください」


 さっさと捕まえた冒険者2人をジェラルド氏に押し付けようと、2人組を縛ったロープを渡す。


「あ、あぁ、ありがとうラクタロー君」


 おし、これで仕事は終了だ。


「それではこれで失礼します、」


 俺は一礼すると、さっさと支部長室を出ようとするが、ジェラルド氏に止められる。


「待ちたまえラクタロー君」


 待ちたくないんだけどな・・・ 俺は仕方なく振り返る。


「なんでしょうか?」


「君も聞いておいてくれないかね?」


 嫌な予感が的中だ。こんな面倒臭そうな話し合いに付き合う気は毛頭ない。それに用事もあるしね。


「すいません。この後、予定がありまして、遅れると困ったことになるんですよ」

 そう言って断りを入れる。


「予定って何があるんだい?」


 話を暈して、急いでいることだけをアピールして、さっさと抜け出そう。


生物(なまもの)の取引がありまして、遅れると鮮度が落ちてしまい、大変なことになるんですよ」


 そう言って後ろに下がる。


「それは仕方ないね。確かにこんなことが起こるなんて、予想もしていなかったからね。それじゃ、すまないが、明日また来てくれないか、今後のことも考えたいのでね」


 面倒そうな事になりそうだが、話を適当に合わせて、行かなきゃいいか。


「分かりました。それではまた今度」


 そう言ってニッカリ笑って支部長室を後にしようとすると、


「ああ、今日の依頼料は明日来てくれた時に渡すよ。今日は急いでるだろうから、それで構わないだろ?」


 ・・・ 依頼料は次来た時でいいか。 今は特にお金に困ってないしな。


 そう思いつつ、部屋を後にした。


 長話は回避できたが、次にギルドに行くのが億劫だ。



 そんなことを考えながら、マークの肉屋へと足を向けた。




極一部修正しました。

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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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