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第187話 悪魔のダンジョン攻略に向けて

 色々あって一週間。


 武器と防具が揃い、ダンジョン探索の物資も200人分揃った所で俺は奴隷達を集めた。


 リーダーのコーキンを隊長にして一応は軍隊の態を整える感じで1部隊50人で小隊長4人。1パーティ5人で伍長40人。


 隊長は小隊長・伍長を兼任、小隊長は伍長を兼任となった。


 コーキンの他の小隊長はマシアス、シメオン、マリオンの3人でマリオンが女性唯一の小隊長である。


 コーキン、マシアス、シメオンの3人は緊張の面持ちで身構えているが、マリオンの表情は青く引き攣っている。


 ・・・まぁ、わからんでもない。











 なんせ2日前に鎧合わせとしてディルクの店に強制連行されて例のビキニアーマーの合わせをさせられたのだ。


 一応マリオンには先に女性は全員ビキニアーマーであることは告げてある。


 何故そうなったかの経緯も込みで説明した結果、「セクロース公爵のあの噂って本当だったの?でも、なんで私が・・・」とか言う呟きに吹いてしまった俺は悪くない。



 悪いのは公爵の名前が酷すぎることだよね?!



 ディルク作『プロトタイプビキニアーマー』とでも言うべき代物の多くの要素は金属でできていた。


 その上、ビキニアーマーと言う特性もあって金属鎧としてもかなりタイトな作りなので本人に合わせる為に色々と細かい調整が必要だったのだ。


 そう言った事もあり、マリオンが装着するビキニアーマーを見せられた際のマリオンの表情と言ったら、今でも笑える位に楽しませてもらった。


 その後も羞恥と怒りに染まりつつも拒むことが出来ないマリオンを見ながら俺は大分下衆い表情をしていたとは思うが、後悔はない。

 それにマリオンにも慣れて貰わないといけない。

 何せ今後は標準装備になるのだから、この程度の視線は跳ねのけて貰わないとね。


 そんなこんなもありつつマリオンのアーマーは色々と複雑だったのでディルクがそれなりの時間色々と奮闘した。


 その姿は、正直ディルクには悪いと思うが傍目にはセクハラしてるおっさんにしか見えんかった。


 『それなんてプレイ?』と何度も言いそうになったのは内緒だ。


 因みにマリオン以外のビキニアーマーは基本的に布や革素材なのである程度調整が利くとの事だった。


 そんな感じで調整が済んだビキニアーマーを装着したマリオンはビキニを隠そうともじもじとして恥ずかしそうに内股になっていたので何となく卑猥な感じがしてこれは違うのでは? と鎌首を擡げざるを得なかった。


「うーん。なんか違うな・・・」


「あぁ、なんか、思ったより威厳がでてねぇ・・・」


「ちょ! こんな装備に威厳なんて生まれるわけないでしょう?!」


「ふーむ、とりあえず股間や胸を手で隠すな。

 それと内股になるな、あと、背筋を伸ばして胸を張れ」


 そう命じるとマリオンは真っ赤になりながら指示に従った。


「おぉ、ちっと雰囲気出て来たんじゃねぇか?」


「ふむ、確かにな。

 しかし、表情が台無しにしている。

 おい、恥じらうな、普通の表情をしろ」


「そんなの無理に決まっ 痛ぁ!」


 俺の命令に反したことで戒めが発動したようだ。


 マリオンは涙目になりながらも急いで表情を取り繕う。


「お前ぇ、容赦ねぇな」


「それならディルクさん代わります?」


「無理無理!遠慮するぜ!」


 ディルクは大袈裟に両手でバッテンを作る。


「でも、恥じらいがなくなればそれなりに威厳が出ましたね」


「うーむ、確かに。

 って事は意外にビキニアーマーでも有りなのか?

 動き易さを重視する奴には行けるかも・・・

 いや、それでも防御力を考えると・・・うーむ」


 何やらディルクがおかしな方向へと進もうとするので声を掛けて一旦思考を中断させ、装備の調整を恙なく終わらせた。










 そして迎えた本日である。


「あー、貴様等には『悪魔のダンジョン』へと向かい攻略をしてもらう」


 俺のその言葉に奴隷達がざわつき、浮足立つ。

 これまで鍛錬と言う名の扱きを受けていただけに、自分達のみらいを嘆いているのだろう。

 失望の表情を浮かべる者もチラホラと見受けられる。


「勿論、着の身着のままで放り込む訳ではない。

 貴様等には本気で攻略を進めてもらう。

 その為の装備や食料などの物資も用意した。

 今日はそれ等の受け渡しを行うと同時に、幾つかのルールを伝える。

 先ずは其々の装備を受け取り、着替えるように!

 あ、女性用防具については少々特殊な為、ディルク氏が説明する。

 なのでマリオン!小隊を連れてディルク氏の指示に従うように!」


「はい!了解しました!」


 そう言って敬礼するマリオンに動揺を隠せないディルクが慌てる。


「ちょ! 聞いてないぞ?!」


「今伝えました。

 再集合は1時間後とする!

 では散会!」


 俺はしれっと言うとディルクの抗議の声を聞き流してその場を去ると、後には武器や防具が詰まった箱の前に陣取ったドワーフ達の元へと奴隷達が殺到していった。











 再集合した時、女奴隷達は皆ディルクを睨みつけていた。


 男奴隷達は女奴隷達の格好を見て相好を崩す者、チラ見する者等、様々な反応を示す。


 そして女奴隷達に睨まれているディルクは居心地悪そうに俺を睨む。


 そして俺は統一された装備を身に着けた女奴隷達を見て意外な壮観さに見惚れ、男奴隷達の装備の統一感の無さに少し首を傾げた。


 あんな装備でも統一されればそれなりに見れるモノになるんだな。


 そんな一種場違いな感想が漏れる。


 おっと、いかんいかん。

 正直驚いたが、話を進めねば、俺は奴隷達に仕事を課すことにする。


「さて、では、これより貴様等には悪魔のダンジョン攻略を進めてもらう。

 先に5人1組のパーティを組ませたが、これからはその5人単位で攻略を進めてもらう。

 進め方はパーティ毎に各自自由に取り組むことを許可する!

 他のパーティと合同で進める事も許可しよう」


 ここで一旦理解できているか様子を見るが、皆真剣な表情ではあるが特に質問などは無さそうだ。


「1つ目のルールだ。

 まず、攻略の1サイクルは7日とする。

 7日の内、6日はダンジョンの攻略を必ずすること。

 因みにダンジョンへ潜る為の物資の購入や装備の新調・修理等もこの6日に含まれる。

 そして残りの1日は完全休養日とする」


 その言葉に奴隷達が騒つく。


「静かにしろ!」


 その一言で奴隷達がまた黙り込む。


「因みに7日を越えて潜り続けた場合は潜った日数を7で割った日数だけ休養日を与えるものとする。

 余りがある場合は次のサイクルに持ち越しとする!

 これが一つ目のルールだ!

 質問はあるか?」


 俺は奴隷達を睥睨するが、誰も質問をしない。


「では2つ目のルールだ。

 パーティ内に怪我人や病人が出た場合だ。

 ダンジョン内での不慮の事故や怪我を負った場合は撤退する事を認めよう。

 また、即時復帰が困難であった場合、そのパーティは回復するまで悪魔のダンジョン攻略を一時中断とする。

 そして中断している間は治療に専念すること。

 また、残ったメンバーは其々生活費を稼ぐことを許可しよう。

 但し、休む為に態と怪我をしたり病気になるようなことをすることは決して許さん!


 そして3つ目のルールだ。

 今後は各自、悪魔のダンジョン攻略で得たドロップ品を売る等して生活をし悪魔のダンジョン攻略に邁進するのだ!

 俺からの援助は今後ないものと考えろ!

 そして装備品の変更はその時の現装備よりも優れている場合のみ変更可能とする!


 最後に、悪魔のダンジョン内では襲われた場合のみ、相手が人であっても反撃・殺害の許可を出す!

 己のみは己で守れ!

 以上だ!」


 奴隷達に戦慄が走る。

 そして驚きの中、お互いが視線を交わし合う。


 動揺するのも仕方あるまい。


 俺の感覚では週1休みはかなりキツイのだ。

 出来れば週2は休みが欲しいところを心を鬼にして敢えて厳しく休みを減らした。


 流石に休み無しでは早々に潰れてしまい連中の贖罪もままならない内に終わってしまう。


 それでは意味がないのだ。


 折角悪魔のダンジョン攻略なんて言う、いつ終わるとも知れない地獄に突き落とすのだ、長く苦しんでもらわねばつまらない。


「質問が無ければ、早速悪魔のダンジョン攻略だ!

 行って来い!」


 俺がそう命じるとコーキンを筆頭に奴隷達が悪魔のダンジョンへと行軍する。


 その行進を眺めていると「レミングの行進」と言う言葉がふと浮かんでしまい、嫌なイメージが浮かぶ。


 ダンジョン内で早々に死なれてはギルゴマとか言う悪魔を利する事になるかもしれない。


 それは嫌だな。


 単純にそう思っただけだが、俺は奴隷達に念の為、声を掛ける。


「決して死に急ぐんじゃないぞ!」






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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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