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第183話 解放と粛清 ⑫ 忘れていたもの

 ディルクの店を出た後、俺は奴隷の部隊編成の事を考え始めた。


 女性用防具の事を考えると男女混合するとおかしなことが起きかねない。


 そう思い部隊内の男女を別ける事にした。


 それと奴等は今後軍として行動するのではなくダンジョン攻略者として行動する事になる。


 奴隷の人数は201人だったので隊長を除くと丁度200人。


 1パーティ5人として40組で伍長が40人。


 パーティ10組で中隊として小隊長が4人


 女性パーティが10組で、女性中隊長は1人か。


 ふむ、女性中隊長にはディルクの初期型アーマーを進呈しよう。


 1点物だし目立つからな。


 後は部隊分けや伍長と小隊長の任命だが・・・うん、コーキンに一任しよう。

 別名丸投げとも言うが、一々細かいことまでやってられん。


 それに悪魔のダンジョン攻略に必要な物資も集めないといけない。


 7日でやらなきゃいけない事が山積みだ。


 そう思っていたんだけど、悪魔のダンジョンのノウハウのあるウェイガン教のバージェスに相談すると物資の調達を任せてくれと言われたり、パーティ編成の事を伝えると「それなら我々の攻略組の者を其々のパーティに入れると言うのはどうだろう?」と提案された。


 なんでも攻略組はみんな侍祭以上の神職なので全員が回復魔法を使えるのでパーティの生存率が上がる。

 その上、其々が悪魔のダンジョンに複数回潜っているのである程度的確な指示も出せ、攻略の効率も上がる。


 そんな提案をされ、俺は飛び付くようにその提案を快諾した。


 これで悪魔のダンジョン関係のお仕事は全部バージェスとコーキンに丸投げできるぜ!


 俺はバージェスにその場で奴隷達の準備に係る諸々の費用として大金貨を20枚程渡してサクッとお話を切り上げる。


 こうして俺はホクホク顔でさっさと家に帰ってのんびりしようと画策した。


 後にジャネットがこの顛末を聞いて歯噛みしたらしいが、どうしようもない。











 直近の問題を丸投げ出来た俺はお家で優雅にティータイムを楽しんでいた。


 一応、コーラ作りも何度か挑戦したが納得できる味にはどうしてもならない。


 やはり最低でもシナモンがないと・・・


 そう思いながらもコーラの失敗作にレモン汁を足して頂く。


 あぁ、美味しい。


 コーラとしては失敗しているが決して不味いわけではないのだ。


 そして摘みのポテチをパリパリと音を立てて咀嚼する。


 久しぶりに味わう贅沢な時間が流れる。


 だが、何か忘れているような気もする。


 何だったかな?


 うーむ、思い出せないなら大したことじゃないだろう。


 そう思いもう一口炭酸ジュースを口に含み味わっていると、部屋のドアをノックされる。


「旦那、何時まであの女を放置しとくんです?」


 部屋に入って来たサロメが俺に聞いてくる。


「女?」


 誰だっけ? そんな内心を見透かしたように、サロメが言葉を重ねる。


「ほら、旦那がこの前頭陀袋に詰めてお持ち帰りしてきた奴ですよ」


 そう言われて思い出す。


 あぁ、カタリナ、カタリナ=スフォルツェンド。


 そう言えば居たなそんなの。


「今はどうしてます?」


「旦那の指示が無かったんで拘束し直した後は死なない程度に手当して食事を与えてます」


「そうですか、彼女、何か喋りましたか?」


「いえ、何も」


「そうですか」


 ふむ、それなら拷問するより奴隷に落した方が早いか。


 一応、手順は踏んでおいた方が良いだろう。


 そう思い指示を出す。


「これからカタリナを連れてマルコムさんの商館へ向かいます。

 サロメはボコポさんにその事を伝えてマルコムさんの商館に来るように伝えて、序でにジャネットさんも・・・いや、面識ないからわかんないか、ならボコポさんと一緒にジャネットさんもマルコムさんの商館に来るように呼んで来てくれませんか?」


「わかりました」


「では私はカタリナさんを連行しますのでよろしくお願いしますね」


 そう言って俺はカタリナの元へ・・・ってどこだっけ?


「申し訳ないんですが、まずカタリナの所へ案内してください」


「はいはい、了解でーっす!」


 そう言ってニッコリ笑顔でサロメが答えた。











 色々あってマルコムさんの商館へと到着。


 カタリナは俺が直接頭陀袋に詰め込んで運んでいる。


 店の扉を潜ると店員さんの掛け声に応えるように「すみませんがマルコムさんを呼んで頂きたい。楽太郎が来たと言って頂ければ多分通じると思いますので」と伝え、しばし待つ。


 すると店の奥からマルコムさんが現れた。


「これはこれは、商館へ直接来られるとは何かご入用でしょうか?」


「いえ、実は少し訳有りでして、一応ボコポさんとジャネットさんにも来て頂く予定でして、出来れば例の準備をして頂きたいのです」


 そう答えて頭陀袋に視線を移すと何かを察したようでマルコムさんは「わかりました」と一言返すと奥の部屋へと案内してくれた。


「それで、そちらの中身は?」


「これです」


 そう言って頭陀袋の封を開け拘束され、目を塞がれたカタリナを絨毯の上に下ろす。


「カタリナ?!」


「えぇ、少し前に捕らえていたんですが、色々あって今まで忘れてしまっていたんですよ。

 それでこいつにも例の称号が付いている可能性が高いのであれば対処しないとと思いましてね」


「なるほど、事情は分かりました。

 準備はジェロームに今させていますので少々お待ちください」


「ありがとうございます。

 ジャネットさんが到着次第確認してもらい黒なら処置をお願いします」


「えぇ、わかりました」


 カタリナには目隠しだけでなく耳にも耳栓をしているが完全に音が遮断できているとは考えていないので会話の内容も肝心な部分の具体名は避けている。


「そう言えば、例のアイテムはどれ位集まったんですか?」


「急ピッチで伝手を頼って集めているのですが、犯罪奴隷用となると皆さん基本は直接刻印されるので中々取り扱っていないようでして、数を揃えるのが厳しい状況ですね。

 こうなると新しく量産した方が早いかもしれないんですが、その技術を持っている方に連絡を取るには少々遠すぎまして期日に間に合いそうには・・・」


 中々困った状況らしい。


 因みに例のアイテムと言うのは犯罪奴隷用の首輪だ。


 王城を制圧する際に素早く場内を無力化して掌握するには便利なアイテムだ。


 国盗りや戦争の手段としては物凄く合理的なのだが、方法としてあまりに外道過ぎる。

 その為、この戦法を使った国は周辺国からフルボッコされ歴史の闇へと溶けているらしい。


 今回の王位簒奪ではこの鬼畜な方法を使う訳だが、非難される事はない。


 何故なら犯罪奴隷用の首輪を付けられるのは如何なる犯罪者よりも罪深い『人類の敵』に対して使われるからだ。


 悲しい事に今のゴルディ王国にはそんな罪深い『人類の敵』が支配者層に蔓延している。


 うん、ゴメン。


 嘘吐いた。


 俺は全く悲しいとは思っていない。


 俺は悲しいんじゃない。


 怒っているんだ。


 っと、そんな事はどうでもいいか。


 まぁ、そんな感じで現状急ピッチでマルコムさんに犯罪奴隷用の首輪を集めて貰っているんだが、あんまり集まっていない。


 それなら作ればと考えても作れる職人がいない。


 そんな感じで手詰まりらしい。


 そもそも犯罪奴隷用の首輪ってどうやって作るんだ?


 そう疑問に思うと、俺の頭の中に犯罪奴隷用の首輪の作成方法が浮かぶ。


 相手の同意なしで隷属化できるアイテム。


 なるほど、錬金術で作るのね・・・


 あぁーーー!!嫌ぁぁぁぁぁぁーー!


 内心で必死に抵抗しつつも提案するしかない。


「あー、マルコムさん。

 非常に不本意ですが、解決できるかもしれない」


「はい?」


「あー、例のアイテムなんですが、私が作れそうなんです」


 はぁ、本当に嫌だ。


「ほ、本当ですか?」


「えぇ・・・多分」


 マルコムさんの表情が喜色に変わるが俺の表情には死相が現れる。


 折角一仕事丸投げできたのに、またヤバい仕事に追われるなんて・・・


 ちょっと一人に仕事が集中し過ぎじゃないですか?


 そんな事を思っていると丁度ボコポとジャネットが到着したらしい。









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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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