第168話 一歩前進?
屋敷の穴を塞いだ翌日。
敷地内を闊歩するミノタウロス達の掃討作戦が始まる。
敷地内の掃討役には「スピードスウィング」の面々を当て、敷地外の警備に「誰がために」の面々とウェイガン教の関係者達を当てた。
そして建物の中にいるミノタウロス達は建物に被害が出ないように俺が担当する。
そして騎士団が隔離されている方の屋敷はウェイガン教の関係者と衛兵達が見張ることになっている。
ミーネは昨日夜更かしした所為かまだ寝ているが問題ない。
俺も許可した事なので敢えて起こさず、自然に起きてきたら朝の運動をさせるようにキャシーに言い付けてある。
そして作戦準備が整った。
「さて、それじゃ始めますか」
「おう、頼むぜラク!」
ボコポが相槌を打つ。
「勿論ですよ。これでようやく自宅を取り戻せるんですから」
そして楽太郎は本作戦に関わる皆を見回し声を上げる。
「では、皆さん!これから害獣駆除を始めますよ!
日が暮れる前に害獣を殲滅出来たら例の酒場で私の奢りで飲み会です!
と言う事で、気合入れて仕事しやがれぇ!」
「「「おぉーーーーーー!」」」
奢り発言に歓喜の声で答える面々に先立ち屋敷の敷地内へと足を踏み入れた。
「「「わっはっはっは!」」」
ドワーフや冒険者達のはしゃぐ声が酒場中に鳴り響く。
屋敷での掃討作戦は気合が奢り発言で気合が入ったのか、お昼過ぎには呆気なく思える程にあっさりとミノタウロス達を殲滅出来てしまった。
なので俺達は例の酒場で飲み会を始めていた。
二日連続での飲み会です。
ただ飯、ただ酒の威力ってすごいね。
あ、因みに殲滅後の屋敷の警護は衛兵さんにお任せしています。
一応穴は塞いだけど、再発生しないかの確認は出来ていないので衛兵さんにお任せしています。
まぁ、街の一大事なのに大して役に立ってなかったので雑よ・・・大事な確認作業をお願いしました。
それに穴も塞いで殲滅したので出て来たくても出て来れないだろうけど、万が一と言う事も考えての処置だ。
因みに何かあった場合は俺が対処することになっている。
何故かって? 俺、飲まないから・・・ なし崩し的にね。
そんなこんなで飲食が進めば乱闘場も盛り上がる。
先日は自重していたのか、今日はボコポが大暴れ。
並みいる弟子たちを千切っては投げ、千切っては投げを繰り返し、楽しそうに騒いでいる。
そして客席からも時々大きな歓声が沸き起こり酒場は熱狂の渦に呑まれて行く。
これまでの所は順調すぎる程に順調に計画が進み、ウェルズの街の治安も回復しつつある状況にみんなが喜んでいる。
それが伝わって来るだけで俺もまた笑顔になる。
そんな満足いく光景を眺めていると、あまり聞きたくない声が掛かる。
俺は仕方なく顔を顰めつつ声の方へ振り返ると、相手の顔もまた引き攣った。
「す、すみません、ラクタローさん。
実は明日以降の予定についてお話しておきたいことがありまして・・・」
そう前置きして話し掛けて来たのはトッチーノ。
キュルケ教の神殿長補佐だ。
神殿長はモニカと言うドワーフだが、中身があれだし、会議なんかで進行役や実質的な業務はこいつが取り仕切っているのでキュルケ教を実質的に切り盛りしているのは多分こいつじゃないかと俺は勝手に推測している。
正直、嫌いな人物ではあるが、お仕事と言われれば邪険にするのも大人げない。
歯切れの悪いトッチーノの言葉に無難に返事を返す
「明日以降ですか?
確か明日はもう一つの騎士団・・・ではなく、ミノタウロス達を隔離している区画の掃討作戦でしたよね?」
「えぇ、その件と解放後の騎士団員についてなんですが、鑑定持ちの神官がなんとか3名確保できました。
なのでその者達に鑑定をさせて例の称号を確認し、称号の有無によって扱いを分ける予定となっているのですが、200名からなる武装集団を制圧するにはこちらの戦力が少々心許ない状況です。
もし、もし可能であれば、ラクタローさんにもご助力を願えないでしょうか」
確かに神殿関係者や衛兵では抑えきれないかもしれない。
うーむ、どうしようか・・・あ! あぁ、良い方法があるじゃないか!
あれの腕試しも出来るし、一石二鳥だ。
「良い方法を思い付きましたよ。
明日は任せてください。
多分、あまり手間はかからないと思いますが、一応念のため治療のできる神官達も多めに集めておいてください」
一瞬ぽかんとした表情を浮かべたトッチーノだったが、その表情のまま返事をする。
「は、はい・・・わかりました」
そのまま去るかと思っていたが、トッチーノは立ったままそこにいる。
・・・
「まだ何か用が?」
そう声を掛けると、意を決したように頭を下げて来た。
「以前の私の行いを謝罪したく思います。
当時は初対面にも拘らず大変失礼を致しました」
はぁ、せっかくの良い気分が台無しだ。
「謝罪は受け取りませんよ」
「?!
も、申し訳あり「許さんと言っているんだ!」ま・・・」
こっちを見て固まるトッチーノ。
「あなたの謝罪には誠意が感じられない。
私には相手の立場で態度を変える風見鶏の様なあなたの態度が気に入らないんだ!」
「そ、そんなことは・・・」
「ならば何故信仰する神が下手に出ている相手にあれ程居丈高に接したんだ?
お前が仕えようと思った神の言葉はそれほど軽佻浮薄に聞こえたか?
それともキュルケ神はそれほど威厳が足りないのか?」
そう問い質すとトッチーノの顔面が蒼白になる。
「相手の身分が分かってからの謝罪などに価値はない。
俺はな、お前のような者が神の徒を名乗れる時点でキュルケ教も高が知れていると思っている。
神であらざる人はその神を信徒の振る舞いを通して知覚するのだ。
俗世に塗れ、欲に溺れ、奢り高ぶるお前のような者の態度がキュルケ神の品格や威厳を損なわせるんだ。
それに事実としてお前達キュルケ教の信者は信仰する神の言葉を軽んじた。
そんな者の言葉だけの謝罪にどんな価値がある?」
心の底に沈めていた怒りが再燃する。
そんな内心とは裏腹に俺の表情は感情が抜け落ちたように能面の様な、いっそ笑っているようにも見える無表情を晒す。
そんな俺に更なる恐れを抱いたのか、震え始めるトッチーノ
「ほ、本当に申しわ「違うだろう! トッチーノ!」け・・・」
トッチーノが無意味な謝罪の言葉を口にしかけると、少し離れたテーブルから荒ぶる声が飛び、トッチーノはその人物を見て呆ける。
俺も声の方を見る。
見ると、ひとりの男が立ち上がっていた。
確か、バージェスと言うウェイガン教の神殿長だったか?
そう訝しむと、バージェスもこちらの視線に気付いたのか同席している者達に断りを入れてこちらに近付き頭を下げる。
「ご歓談中に失礼しました。
先程からあなた方の話が聞こえて来てしまい、無作法とは思いましたがつい聞き入ってしまいました。
その上、この者の察しの悪さにほとほと呆れてしまいまして、ついお声を掛けてしまいました。
大変失礼を致しました」
まぁ、酒場の近い席だし、小声でもなく普通に話していれば声も聞こえるだろう。
それに聞かれても別に何とも思わない内容だし、問題ない。
それに相手も俺に悪意があるわけではない事は言動から見て取れたので何の差し障りもない。
「そうですか、問題ないので大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。
話の腰を折った序でとは言いますか、少々お節介をばさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい?」
「ありがとうございます」
?!
意味が解らないと言う意味でつい声が出てしまっただけだったが、バージェスは肯定と捉えたようだ。
その事に『いや、ちょっと待て』と言いたいが、横槍が入った時点で楽太郎もペースを乱され、バージェスが何をしたいのかわからず困惑する。
「トッチーノ殿、こんな場であなたは何をしているのですか?」
そう言うと、バージェスは冷たい視線をトッチーノに向ける。
「い、いや、その・・・謝罪をしようと」
そう言うトッチーノに向かってあからさまな溜息を吐く。
「先程からお聞きしていましたが、謝罪と言いつつ言葉だけですか?
つくづく度し難い。
はぁ、本気で謝罪をするのであればその覚悟を示しなさい!」
そう言われてトッチーノもようやく察することが出来たが、何を差し出せば良いのかがわからない。
金銭で行うべきか、態度で示すべきか・・・
そんな事を考えていると、またもバージェスから溜息が漏れる。
「申し訳ありません、ラクタロー殿。
キュルケ教の神殿長補佐ともあろうお方が、まさかこれ程までに礼儀に欠く行為をしていたとは、同じく神に仕える者として謝罪させて頂きたい」
そう言ってバージェスは楽太郎に頭を下げる。
流石に楽太郎も無関係の者に頭を下げられると居心地が悪いのですぐに返事をする。
「確か、ウェイガン教の神殿長・・殿。でしたね」
「はい、バージェス=オラクルと申します。
バージェス。とだけお呼びください」
折り目正しく返事をするバージェス。
それに対して楽太郎は『おぉ、なんか、初めて神父さんって感じがする挨拶をされた』と、場違いな感動を覚えていた。
「バージェスさん、あなたの謝罪は必要ありませんよ。
この件は私とトッチーノ氏、引いてはキュルケ教との問題で、ウェイガン教やあなたには何の関係もありませんから」
楽太郎は思ったままを口に出したが、その答えを聞いてバージェスは内心でガッツポーズをとる。
この言質が取れたことで今まで言われていた様な『神殿関係者』と一括りにされて楽太郎に避けられていると思われていた状況が、『キュルケ教』が楽太郎に避けられていると言う意味の言質を取れたからだ。
楽太郎本人は気付いていないが、近ごろのウェルズの街では楽太郎の噂が良い意味で注目を集めている。
特に職人ギルドや衛兵、一部の商人の間では知己を得ようと色々と画策していると言う話もある。
そして残念なことに楽太郎と神殿関係者が揉めていると言う噂も広がっているのだ。
しかも、専らの噂として神殿関係者が楽太郎に無体な事をして嫌われていると言う内容。
その上、楽太郎自身が何処かの大宗教の聖人で、下手をすると宗教戦争になるかも?
と言ったトンデモ話まで出ている。
実際に聖人の称号を持ち、猿田彦を始めとした複数の神の加護を持っているので、それがバレれば噂の真実味が増してしまうだろう。
ただ、楽太郎自身はどこの宗教にも属していないので宗教戦争なんて起きようもないのだが、知らないからこそそんな憶測からトンデモ話が飛び出してしまう。
そして馬鹿正直に噂について訊かれる事もあったが、バージェスとしてもノインが一度やらかした話を聞いており、その上、楽太郎本人に確認を取ったわけでもないので『我々は違う!揉めていない!』と声高に言う事も出来ず『我々ウェイガン教としては揉めていると言う認識はありませんよ』とやんわりとした否定しかできなかった。
だが、今回本人からの言質が取れたことで今後は「うちは揉めてなんかいないよ!揉めてるのはキュルケ教だけ!」とはっきり言える。
風評被害もいい所で、キュルケ教に足を思いっきり引っ張られたが、これでうちは挽回できる。
バージェスは万感の思いを込めて「そのお言葉に感謝します!」と満面の笑顔で応えた。
一方楽太郎はその笑顔の意味が理解できなかったが、変わり者はどこにでもいるもんだしな。
と思い直し、バージェスが喜んでいる事だけは伝わったので自身の発言に問題はなかった筈だと判断した。
そして、バージェスはトッチーノに向き直ると満面の笑顔から能面のように表情を消し、厳しい声で問いかける。
「さて、トッチーノ殿。
謝罪としてどうされるのですか?」
トッチーノを出汁に目的の一つを達成したバージェスだが、これまで切磋琢磨してお互いを磨き上げて来た間柄だ。
厳しい態度はとっているが、トッチーノにも救いの手は差し伸べている。
その意図を正しく読み取れたかはわからないが、返答を待っていると、少ししてトッチーノが答える。
「わ、私は今回、ラクタローさんへ大変失礼な行いをしました。
それもキュルケ教の神殿を代表とする身分でありながらです。
なので、私は神殿長補佐の役職を辞退し、一見習いとして改めて出直したいと思います」
詰めが甘い。
バージェスは思わず内心で舌打ちをしてしまう。
楽太郎が指摘しまってはお終いだ。
そう思い、いち早く口を開く。
「トッチーノ殿。
それはいつまで行うのですか?
たとえ見習いに一時的に戻ったとしても一月や半年程度で元の役職に戻ったら意味が無いでしょう?」
そう指摘するとトッチーノは心外そうな顔をするが、楽太郎に見えないように顔を少し背けるとオモックソ睨み付け無言で口を動かす。
「い・い・か・ら・こ・た・え・ろ・!」
あまりの迫力にトッチーノは軽く息を呑み、思いつくまま答えようとする。
「で、では、見習いとして最低5ね『10年!』ん?!」
「最低10年、見習いとして勤めるんですね!」
「は、はい」
凄みで有無を言わせずトッチーノを頷かせるバージェス。
「ラクタロー殿。
トッチーノ殿もこうして覚悟を決められております。
どうかお許し頂けないでしょうか?」
そう言ってバージェスが改めて頭を下げる。
楽太郎もバージェスの介入で頭が冷えたのか、少し冷静に考える。
やらかされたのは確かで、腹が立っていたが、今の提案を考える。
神殿の階級を自分にわかり易く置き換えると、神殿長補佐って事は社長秘書なのか?
そう思ったが、街の代表が集まる会議の司会や進行役を務めていたし、色々と意見を述べたりして会議に参加していた。 秘所なら司会などはやるかもしれないが、会議での発言権はないだろう。
そう考えると副社長って感じかな?
そうなると副社長が平社員に降格するのか?
でも平社員って普通の神官って事だよな?
見習いって事は平社員の下か・・・
そうなるとアルバイトって事か?
しかも10年もバイト扱いって・・・まともな生活できるのか?
あまりの転落ぶりに楽太郎の怒りも鳴りを潜める。
まぁ、そこまでの覚悟があり、やり遂げるなら謝罪を受け取ってもいいか。
そう思えた。
「そうですね。
彼が本当にそれを全う出来るのであれば謝罪は受け入れましょう」
「ありがとうございます」
そう言ってお辞儀をするバージェスに続いてトッチーノも「あ、ありがとうございます」と謝辞を述べる。
「ところで、彼の覚悟の件なんですが、少しお話がありまして・・・」
そう言ってバージェスが少し緊張した面持ちで楽太郎に話し掛ける。
「何でしょう?」
「実はですね、キュルケ教なんですが・・・」
そこまで言った所で今度は楽太郎が手をバージェスの前で開き、発言を止める。
「もしかして、今キュルケ教で采配を振るえる人物が彼しかいないので今回の件が終わるまでは見習いになる件は保留して欲しいとか言うんじゃないでしょうね?」
そう言われてバージェスはギクリとする。
彼は思った以上に楽太郎が話しのわかる人物で扱い易いと勘違いしてしまったようだ。
これなら上手く丸め込めると思ったようだが、楽太郎の発言とその威圧にバージェスは後悔した。
「い、いえ、そうではなくて・・・ですね」
「そうですか、私はてっきり、後出しで条件を緩めようとして彼の覚悟を蔑ろにするんだと思いましたよ。
そう言う小狡い手段を使って来る輩は、嫌いなんですよね私。
あぁ、そうそう、あなた達は既に許されたと思っているのかもしれませんが、私、今現在では許してませんから、発言や行動には気を付けてくださいね」
その言葉にバージェスとトッチーノは意味が解らず顔を見合わせる。
「あ、あの、どういうことでしょうか?」
「私言いましたよね?
『彼が本当にそれを全う出来るのであれば謝罪は受け入れましょう』って、
逆に言えば全うできない場合は受け入れないって事ですよ。
つまり、私が謝罪を受け入れるか受け入れないかは10年後までわからないって事です」
バージェスは絶句した。
やられたと思った。
話のわかる甘い男と思っていたが、言い回しと仕草で伝わる意味を誤認させられた。
思った以上に慎重に危機察知能力に優れている。
「おっと、すみません。
私の予想が外れたのであれば、謝罪をさせてください。
話の腰を折り、大変失礼な事を申しました」
「い、いえ、大丈夫ですよ」
「そうですか、ありがとうございます。
では、改めてお聞きしましょうか。
キュルケ教がどうかしましたか?」
そう言って笑顔で聞いてくる楽太郎にバージェスは焦る。
キュルケ教についての話なんてトッチーノの事しかない。
この危難を払う為には彼の力が必要なのだ、彼が居なければモニカや脳筋共を抑えられない。
いや、そ、そんな事よりも今を乗り切らねば!
な、何かないか、何か?!
「そのぉ、キュルケ教との・・・ですね。
協力関係についてなんですが・・・」
「はいはい」
楽太郎は凄みを乗せた笑顔で『本当はわかってんだぞ!』感をたっぷりと出しつつ相槌を打つ。
「えー・・・つ、つまり・・・ですね」
そんな感じで何とか考える時間を稼いでいるとトッチーノが割り込む。
「バージェス殿、すみません。
私が不甲斐ないばかりにご迷惑をお掛けします」
「うん?!」
頓狂な声が上がりそうになるのを必死にこらえるバージェス。
「ここからは私が話します」
「お、おぉ、そうか。
そうか、あい、わかった。
ではここはお譲りしましょう」
よくわかっていないが雰囲気に乗るバージェス。
内心助かったと安堵する。
「ラクタローさん、私は明日にでも辞職して神官見習いとして一から出直すつもりです。
ですが、お恥ずかしい話なのですが、私共キュルケ教の主だった者はあなたにご迷惑をお掛けしたものばかりでして、あなたとの連絡が直接的に取れる者が居ません。
今までは私からボコポさんにお願いして間接的に関わって参りましたが、先日ボコポさんからもそろそろ直接やり取りしてくれとの苦情も受けてしまいまして・・・」
その独白に楽太郎は呆れた顔をし、バージェスはそんな状況だったのかと思いつつ、驚きが表情に出ないように必死にこらえる。
「これからの大業を考えますと、連携することは必須。
しかし、私共の愚かな行いの所為でその連携することも侭ならない状況です。
身が縮む思いでお願い致します。
ご不快とは思いますが、我々キュルケ教の者で顔つなぎの出来そうなものが居りましたら、お教え願えないでしょうか?」
「うん? どういう事?」
詳しい話を聞くと、トッチーノは俺への連絡や報告を直接することが憚られると思い、キュルケ教からの連絡事項なんかは今までボコポにお願いして伝えていたと。
最初の内は良かったけど、ボコポも色々と忙しくなってきてそんな伝言ゲームに付き合えないと断られ、そろそろ仲直りして直接やり取りしろと言われたと・・・
それでまずは自分が謝罪をして過去を清算してから関係を再構築しようと思ったけど、トッチーノ自身がその立場を降りる事になったから、他に俺と連絡が取れそうな人物をと考えたが思い浮かなかったと、そもそも思い浮かぶ人物が皆、俺に対して何かしらやらかしている人物ばかりでどうにもならない。
なのでいっその事俺に直接聞いてまだマシと思える人物を教えて欲しい。
教えてもらえるならその人物にメッセンジャーの役割をさせる。と、そう言う事だった。
今後の計画に大きく影響しそうな内容だったので俺も流石に考える。
モニカは、話が通じないから無理。
トッチーノも降格するから無理。
ルインは・・・言動がヤバいからパス。
リディアーヌは・・・うん?
別に良いんじゃないか?
特に思う所はないな・・・強いて言えば面倒事を持って来られたが普通に話は通じた。
うん、リディアーヌに決定。
その事を伝えるとトッチーノは感謝の言葉を述べると共に安堵した。
そしてバージェスは何とか乗り切れた事に安堵した。
そして俺は乱闘場へと足を向けた。