第13話 楽太郎 スキルを試す。
第12話を改稿しています。
話が微妙に繋がらないかもなので、気になる方は其方から読み直して頂ければ幸いです。
俺はリンスさんに呼ばれ、半分魂抜けた状態で朝食を摂った。
食事中、リンスさんの生暖かい視線が痛かった・・・
言い訳しようにも神様と話してたとか言ったらさらに心配されそうだ。 どうしたらいいんだよぉ~ 改善策が見つからない。
俺は朝食を済ませると、逃げる様に部屋へ戻り、早速コマンドメニューを開いてググろうとしたが、メニューにはそれらしい記述が見付からなかった。
いくら神様でも早々直ぐに出来るものでもないのだろう。
これは待つ必要がありそうだ。
序でに自分のステータスも確認してみる。
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名前 :山並 楽太郎
性別 :男性
年齢 :16
種族 :人間(異世界人)
職業 :冒険者(ランクG)
称号 :聖人
レベル:12
ステータス
HP : 590
MP : 420
STR : 468
VIT : 444
INT : 636
AGI : 444
DEX : 564
MND : 384
LUK : 289
特記事項
猿田彦の加護
建御雷の加護
サスティナの加護
ナシスの加護
ルシエントの加護
ホントに称号が聖人になってる・・・こんなんでついて良いのか?
普通のオッサンなのに・・・いや、少年か?
とりあえずスキルメニューを見てみるか。
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所持スキル
[武術] :熟練度 100
[神槍] :熟練度 20
[神拳] :熟練度 25
[気功術] :熟練度 90
[超回復] :熟練度 42
[錬金術] :熟練度 100
[無限収納] :熟練度 100
[状態異常無効]:熟練度 100
[鑑定] :熟練度 100
[危機察知] :熟練度 100
[最適化] :熟練度 100
[気配察知] :熟練度 70
[チャネリング]:熟練度 100
[回復魔法] :熟練度 100
おお!ホントに回復魔法がある。
しかし、呪文とかあるのかな?と回復魔法の事を考えていると、回復魔法についての知識や技術が頭の中に流れ込んでくる。
あまりの情報量にクラッと来たが、何とか堪える。
ふむ、一応何となくだが、必要っぽいことは掻い摘んで理解した・・・と思う。
この世界の魔法って、呪文はあるけど、基本的に無詠唱で可能っぽいね。
呪文は初心者向けの補助輪みたいなものらしい。あと、術者のイマジネイション。つまり想像力に依存して変化を起こすことも可能らしい。
威力についてはステータスのINTの値も関係するとのことだ。
回復魔法については、切断された腕を繋げたり、そのまま腕を生やしたりできるようだ。
吃驚したのは、最上位の魔法使うと、どんな病気も怪我も治してしまうようだ。
死人でも1時間以内であれば蘇生可能とか、どんだけだよ回復魔法・・・
だが、これで俺の生存率がグンと上がった気がする。
それは良いことだが、試してみたいな。回復魔法。
そう思って、何処かに怪我人居ないかな?とか考えたが、ギルド行けばトラブル発生で怪我人作れるんじゃね?
とか不謹慎なことを考えたが・・・否定できない好奇心!
と言うことで、インディ(トラブルの元)を連れて、いざ!冒険者ギルドへ!
と思って冒険者ギルドに来たのだが、ギルドに入ると怪我人が山積みされていた。
なんだこれ? そう思いつつ臨戦態勢を整え、周りを警戒すると、声を掛けられた。
「やぁ、ラクタロー君! 待っていたよ!」
元気にジェラルド氏が挨拶してきた。
てか、なんで服のあちこちが血塗れなんだろう?
「おはようございます。ギルドマスター」
「ギルドマスターなんて余所余所しい呼び方はやめてくれたまえ、ジェラルドで頼むよ」
「分かりましたギルマス」
「・・・」
なんか、憮然としてるな。昨日とは別人みたいだよ。
「それより、どうしたんですか?これ」
そう言って怪我人の山を指すと、ジェラルド氏はにこやかに笑って答えた。
「あぁ、ちょっと教育を施していたところなんだよ。 これが中々骨が折れる仕事でね」
そう言って嬉しそうに話してくれる。
うーん、足が治ったのがよっぽど嬉しかったのだろう。張り切り過ぎだよ。
そう思いながら、ジェラルド氏のステータスを確認する。
戦うことになったらヤバそうだからな。情報は大切だ。
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名前 :ジェラルド=ベルジュ
性別 :男性
年齢 :35
種族 :人間
職業 :冒険者(ランクA)
称号 :超人
レベル:66
ステータス
HP : 1650/1660
MP : 520/612
STR : 1330
VIT : 670
INT : 736
AGI : 635/1132
DEX : 670
MND : 1000
LUK : 149
特記事項
サスティナの加護
長期の感覚欠損の為、ステータスにマイナス補正有(自然回復可能)
超人 ・・・ハ〇クか ・・・
なんつうステータスだ・・・絶対闘いたくない!
こんなステータスなのに、冒険者ランクAって、SSSってどんな化けもんだよ!
思考が止まった俺にジェラルド氏が声を掛けてくる。
「どうしたんだね? ラクタロー君。急に黙ってしまって。 何かあったのかね?」
俺は慌てて誤魔化す。
「い、いえ、あ、そのー、少し回復魔法を試したいと思いまして、怪我人作ろ・・じゃなく!怪我人がいないか探していたんですよ」
「ほぉ、なら丁度いい! あっちの右端にいる3人なんだが、私の教育に巻き込んでしまってね。怪我をしてしまったようなんだ。彼女達を治して貰えないかね? もちろん治療費も私が払うよ」
そう言って爽やかに笑顔を見せるジェラルド氏。 衣服が血塗れじゃなきゃ爽やかだったんだろうが、今の状況じゃ、戦場の悪魔にしか見えない。
「ありがとうございます。それじゃ早速行ってみます」
そう言って右端の3人の所に行くと、転がっていたのは見知った面子だった・・・
右端からエミリーさん。メリッサちゃん。シェリルちゃん。
・・・なんだよこれ。 なんか俺、悪い事でもしたのか?
厄介事しか思い浮かばない・・・
少し離れたところでジェラルド氏が見守っている。
やるしかないか。そう思い、シェリルちゃんの前に膝をつく。
彼女は腹部を手で押さえて時々呻いている。
顔色も悪く、顔中脂汗が出て、何とも苦しそうだ。
「苦しそうだな、上級のエクストラヒール使うか」
そう言ってエクストラヒールを唱える。
お、なんか、体から魔力かな? が右の掌に集まってきたな。
俺は右手をシェリルちゃんのお腹の辺りに翳す。
「エクストラヒール!」
呟くように唱えると、シェリルちゃんが青白い光に包まれた。
ほぉ、きれいな光景だな。 自分で使った魔法の効果に魅入られていると、パッと光が消えた。
あれ?失敗か?
そう思ったら、シェリルちゃんが目を開けて、吃驚した顔でこっちを見ていた。
「ラクタローさんんんぐぅんん!」
大声で俺の名前を叫ぼうとしたので、慌てて口を塞いだ。
「昨日の事は忘れるようお願いしたでしょ! ここでは俺達は初対面! いいですね?」
口を塞いだまま小声で彼女の耳元で囁くと、思い出したようで、首を縦に何度か振る。
よし、わかってくれたか。 そう思い口を塞いでいた手を外す。
「ぷはぁ! はぁ、はぁ、あ、ありがとうございます。えーと、どう呼べばいいんでしょう?」
息が苦しかったようだ、何度か深く息を吸い、呼吸を整えてから質問された。
「初めまして、私は山並 楽太郎と言います。今治療を行ったんですが、何処か痛い所とか残ってますか?」
そう言うと、シェリルちゃんは体を軽く動かし、「大丈夫です。と言うか、昨日の疲労も取れてる感じで、調子良いですよ」と返してくれた。
回復魔法は成功したようだ。となると、次はランクを落として試していくか。
そう考え、メリッサちゃんを見る。
彼女は左腕が変な方向向いてる。 うーん、患部に触るのは勇気がいるな。魔法掛ける時は肩にでも触ろう。
彼女は顔からも鼻血が出ている。お蔭で顔がえらい事になってる。
早く治療してあげよう。そう思い、今度はハイヒールを唱える。
シェリルちゃんの時と同じように、体から魔力が右の掌に集まってくるのが体感できた。
「ハイヒール!」
そう言ってメリッサちゃん肩に触ると、やっぱり彼女も青白い光に包まれるが、先程より光が大分弱いようだ。
暫らくすると、左腕が正常な位置に戻り、見た目の外傷はなくなったように見える。
だが、メリッサちゃんは意識を失っているようで、起きてこなかった。
「うーん、多分治ったと思いますが、シェリルさん。彼女が目を覚ましたらどこか不調が無いか聞いてください。もし何かあれば教えてください」
「分かりました」
最後の一人。エミリーさんを見るが、それらしい外傷は無さそうだ。
というか、目を回しているだけのようにも見える。
俺はジェラルド氏に聞いてみる。
「ギルマス。彼女はどうしたんです?」
「あー、彼女の治療は必要ないよ。単に目を回しただけだ。その内目を覚ますだろう」
「そうですか。それじゃ治療は一応終わりましたよ」
「ありがとう。ラクタロー君。いやー、久しぶりにいい汗かいたよ。これもラクタロー君のお蔭だ。あ、そうだ、今時間大丈夫かね?」
「ええ、大丈夫ですよ」
唐突に聞かれたので、反射で答えてしまった。
何かあるのかな?
「それじゃ、訓練場まで来てくれないか」
「・・・」
嫌な予感がする・・・
「そう身構えなくてもいいよ。ちょっと付き合って貰いたいだけだから」
そう言っていい笑顔をするジェラルド氏。
「まさか模擬戦とか言わないですよね?」
ニヤリと笑ってごまかすジェラルド氏、参ったな。
「すいません。そう言うことなら失礼します」
そう言ってギルドを出ようとするが、遅かったようだ。
ジェラルド氏に回り込まれてしまった。
「まぁ、そう言わずに、少しだけ付き合ってくれんかね」
「私が勝てる訳ないでしょう!」
「まぁまぁ、そんなこと気にせずに! アロマ君! クレオ君! ちょっと手伝ってくれ!」
そう言うと、怪我人の山を外に運んでいた2人を呼び止め俺を連行させる。
もちろん逃げようとしたが、2人から「すいません。付き合ってあげてください。悪い人ではないんです」と申し訳なさそうに左右から両腕を取られては、逃げられないだろう。
ジェラルド氏め、なんと卑怯な手を使うんだ。 ちょっと胸が当たって気持ち良いじゃないか。
そんなこと思ってたら、訓練場? についてしまった。
見た感じ学校の運動場みたいな広さだな。
「ここなら多少暴れても大丈夫だ。さ、好きな武器を取りたまえ」
そう言って木剣を手に取って武器のある方を指すジェラルド氏。
指された方を見ると、色々あるようだ。
とりあえず、長めの木の棒を見つけ、持ってみる。
ふむ、軽いが、まぁ、これでいいか。
数回振ったり回したりして感触を確かめる。
「ラクタロー君は棒術使いなのか」
「・・・」
こちらを観察するような目付きで質問してくる。
俺は無言で棒を構えた。
「ほぉ、良い構えだ。それじゃ、ひとつ、お手柔らかに頼むよ」
そう言って、木剣の切っ先を俺の棍の先に軽く当てる。
それが合図であったかのように、ジェラルド氏は素早く踏み込み、俺の懐に潜り込もうとするが、俺は棍の先で剣を滑らせ横に躱す。
俺は躱しざま、棍を左に振るが、ジェラルド氏は木剣で防いだ。
うーん、普通は棍で打ち付けたら木剣位飛ばせるんだがな。
パワーで圧倒されてるから軽く受けられてしまった。
俺が思考に費やした刹那でジェラルド氏が反撃する。
慌てて棍で受けるが、そのまま鍔迫り合いの状況に持って行かれる。これは不味い。パワー差があり過ぎだ。
ジェラルド氏は力任せに俺を吹き飛ばそうと押し込んでくる。
俺は力に逆らわず、タイミングを合わせて後ろに跳ぶ。
なんとか体勢を崩さず間合いを空けるが、そのままジェラルド氏が突撃してくる。
俺は着地と同時にジェラルド氏に向けて連続突きを繰り出す。
ジェラルド氏は動きに相当余裕があるようで、軽々と躱されてしまった。
全くもって大人げないギルマスだな。
そんなことを考えていると、間合いを詰めようと、ジェラルド氏が一気に突っ込んで来る!
と見せかけ、右に左に揺さぶりを掛けてくる。
が、俺も伊達に神様相手に5年も修行はしていない。
相手の方が速い事なんて当たり前の状況で5年も修行してたんだ。
これくらい捌けんで神様の相手なんてできるか!
暫らく小競り合いが続くが、中々懐に入れないジェラルド氏は、少しずつ焦れてきている様だ。
時々動きが雑になる。 その隙を突いて一撃!って思ったら、『危機察知』が反応したのか、猛烈な寒気に襲われ、吃驚して後ろに飛び退く。
「おや、誘いがばれていたか。 中々勘がいいね」
ジェラルド氏は俺が飛び退いたことで、隙を作って誘っていたのがばれたと勘違いしたらしい。
危なかった。
その後はジェラルド氏は更に攻撃スピードを上げてきた。
俺の方は躱す・逸らす・受けるでほぼ手一杯だ。
ジェラルド氏が万全のステータスでなくてよかった。
でなきゃ瞬殺だよ。瞬殺。
段々とジェラルド氏も意地になって来たのか、殺気が乗り始めてる。
こっちは既に全力ですけどね。
しかし、ジェラルド氏の攻撃はなんか粗い感じがするな。
今のところ、動きは速くても俺の業で対応できるレベルだ。
そこが救いだな。っと、・・・
そんなことを考えながら捌き続ける。
そのまま膠着状態が続く。
ジェラルド氏も技で大きく劣っていることに気付いたようで、本気になっている様だが、今一つ決め手に欠ける。
俺も速さで完全に劣っているので、技で捌くのでほぼ精一杯だった。
このままじゃ、スタミナの差で何れ負ける。仕方ない。一か八かで誘ってみるか。
腹を括ると、俺は力強く踏み出し、棍をジェラルド氏に力任せに叩き付ける。
「うらぁ!」
ジェラルド氏は木剣で受け止めると、
「そんな力任せじゃ私には通用しないぞ!」
そう言って渾身の力を込めて俺を棍諸とも搗ち上げる様に押し上げようとする。
今だ!
その瞬間。俺は棍を手放す。
渾身の搗ち上げを抄かされたジェラルド氏上体が浮いたところで、俺は懐に潜り込むと、鳩尾に寸勁をぶち込んだ。
くの字に折れ曲がるジェラルド氏の左手を取り、足を引っ掛けて転がした。
「終わりですね」
そう言うと、ジェラルド氏は大人げなく、
「まだ終わらんよ!」
と言って立とうとするが、俺は左手を引っ張り、足を払ってまた転がす。
ジェラルド氏、今度は俺の腕を振り払おうとするが、力の方向を合わせて振り回すと、ジェラルド氏はその場でクルンッと一回転する。
回転させる序でに顔面に右拳を打ち込む。
数回同じことを繰り返すが、その度に転がしつつ顔面に拳を打ち込む。
「・・・」
「終わりです」
俺は有無を言わさない笑顔で言い切る。
「・・・負けたか」
ジェラルド氏も観念したようだ。
「しかし、君と戦った所為で、自信無くなりそうだよ。レベル差50以上あるのに負けるなんて・・・」
レベル差知っててあの容赦のなさかよ!
鬼だなチクショウ!
まぁ、その鬼に勝ってやったがな!
「どうしてレベルのこと知ってるんです?」
「昨日エミリー君から聞いたんだよ」
なるほど、納得だ。
「それより、技量だけなら君は私を遥かに超えている様だが、どうやってそんな技術を身に着けたんだ?」
「秘密です。 自分の情報をそんな簡単に教える訳ないでしょう」
「それもそうだな、冒険者をやっているなら、個人情報は重要な機密だからな。詮索してすまんな」
そう言って頭を下げるジェラルド氏。
負けず嫌いだが、さっぱりした性格のようだ。
「しかし、強いなラクタロー君は、まさか負けるとは思ってなかったよ」
「ギルマスは昨日、足治したばかりでしょ。無茶し過ぎですよ。 今度壊れたら治しませんよ?」
「それは勘弁願えんかな?」
「それなら自重してください。まずはリハビリで軽い運動から始める様にして下さい」
「リハビリ? ま、まぁ良くわからんが、軽く動かす事から始めるということで良いかね?」
「それでお願いします」
「あ、そうそう、話があるからこの後、私の部屋に来てくれたまえ」
そう言って訓練場からさっさと出て行くジェラルド氏。
アロマ氏とクレオ氏は呆然と俺の方を見ている。
あ、なんか小さい声が聞こえる。
「うそでしょ?! ジェラルドさんが負けるなんて」
「ありえないわ、だって、レベル差50以上で、何で勝てるのよ・・・」
あー、おれ、かなり非常識だったみたいね。
しまったな。負けとけば良かったかな?
そんなこと考えながら、2人に話しかける。
「お2人とも、そろそろ出ませんか?」
そう言うと、2人は慌てて返事をし、表情を取り繕った。
「ラクタローさんって、とても強いんですね」
「そんな事ないですよ」
否定したいが、無理だろうなぁ。
「いえ、お強いです。ギルドマスターは冒険者ランクAなんですよ。そんな人に勝ってしまうなんて、その一事で十分強さを証明しています」
「それに、模擬戦中の動きは、とても洗練された動きでした。ギルドマスターの動きはあまり見えませんでしたが、ラクタローさんの動きは私達にも辛うじて見えました。つまり、ギルドマスターより動きが遅いのに、その攻撃を全て往なしていらした。技量差が相当あったのではないですか?」
・・・なんか、見抜かれてるみたいだ。
ギルド職員って侮れないな。
「すいません。私の強さについては、他言無用でお願いします。 余計な揉め事に巻き込まれたくないのでお願いします」
そう言って頭を下げると、2人とも快く快諾してくれた。
ジェラルド氏の話ってなんだろ? やっぱり嫌な予感しかしないよ、ホント。 逃げたい・・・
そう考えつつ、ギルマスの部屋に向かうことにした。
戦闘シーンて、描写が難しいですね。
なんとか上手く書きたいなぁ。