第111話 悪魔のダンジョン攻略 1
おさまりが悪かったので短いですが2話に分けました。
と言う事でダンジョン攻略開始でーす。
翌日悪魔のダンジョンの前まで来るとそこには完全武装した衛兵が5人と粗末な服装の男女が20人位いた。
粗末な服装の男女は良く見ると全員首輪をしている。奴隷だろうか?
まぁ、俺には関係ないことだが、一応衛兵さんには一言声を掛けておこう。
「すいませーん。これから悪魔のダンジョンに入りたいんですが、問題ないでしょうか?」
「はぁ?あんた正気か?」
なんて失礼な!
とは思ったが、確かに普通なら神のダンジョン行きますよね。
「えぇ、正気です。ちょっと知り合いの依頼で攻略を頼まれてしまいまして・・・」
「なんだそりゃ、酷い知り合いだな。そんなの無理だろう。
ここは300年も攻略できずに残っている悪魔のダンジョンなんだぞ?
それにその恰好で入る気か?」
衛兵さんは俺の格好を胡乱気に見て言う。
今の俺の格好は旅人っぽい服の腰に鎖を下げ、肩掛け鞄と黒鉄製の槍を1本肩に担いでいるだけ。
特に防具らしい防具は身に付けていない。
それに見た目は自称ポッチャリ系だ。
戦えるとは到底思えないのだろう。
「まぁ、大丈夫ですよ。『攻撃なんて当たらなければ意味は無い』って奴ですよ」
「いや、攻撃喰らうだろう。
それに1人で攻略なんて無理だぞ?
まだ人生これからだ。
捨て鉢になっちゃいかん。
悪い事は言わないから帰りなさい」
衛兵さんが更にやめるよう忠告してくる。
なんか自殺志願者に間違われてるような発言が飛んでくる。
「いやいやいや、死ぬ気なんてありませんよ。
これでもそこそこ強いんでなんとかなりますから」
「いやいやいやいや、人生まだまだこれからだぞ少年。
捨て鉢になっちゃ・・・ひょっとして例の噂でも聞いて来たのか?」
そう言うと衛兵さんの表情が急になくなる。
「うわさ?何かあるんですか?」
俺の表情をじーっと見つめる衛兵さんだったが、少しすると表情が元に戻る。
「あぁ、いや、すまない。少し勘違いをしていた様だ。
まぁ、悪い事は言わないからこっちは止めて神のダンジョンの方へ行きなさい」
そう言って俺を追い返そうとするので、俺は仕方なく冒険者カードを見せる。
「秘密にして貰えると助かるんですが、私のレベルじゃそうそう死なないと思いますよ?」
俺の冒険者カードを見た衛兵さんは目が点になる。
「ま、マジでか・・・人間やめてるレベルじゃねぇかこれ・・・
あ!いや、失礼しました!」
衛兵さんが畏まってしまったが、現在の俺のレベルは140。
この世界ではレベルが60超えると一流扱いだから軽くその倍のレベルを超えている。
化け物と言われても否定できる材料がない辺りが中々に返答に困るところだ。
「いや、気にしないでください。それよりもダンジョンに入っても良いですか?」
「はい、問題ありません!ただ、ここは神のダンジョンと違って1度死んだら終わりです。その点だけはくれぐれも注意してください」
「わかりました。どうもありがとうございます」
そう言って入口に向かうおうとそちらを見ると粗末な服装の男女が視界に入る。
「そう言えば彼らは奴隷なんですか?」
「えぇ、そうです。
所謂戦闘奴隷と言う奴でして、山賊や盗賊などの犯罪者や戦争で捕虜になった者等ですね」
「戦争の捕虜が奴隷になるんですか?」
「一応捕虜の名前と出身を書き出して引き渡し要求はされるんですが、要求されたお金が払われなかった場合は奴隷として売られますね。
捕虜への食料も只ではないので売られてしまうんです。
それに戦争では非合法ではありますが奴隷狩りも行われるのでそう言った経緯でも奴隷になる可能性があります。
まぁ、非合法で売られた奴隷であってもここに送られて来る奴等は基本的に買い手が付かなかった所謂訳あり品って奴がほとんどでその時点でどうしようもない連中ですよ」
最後のは小声で教えてくれたが、なんと言えばいいのか、流石異世界ってところか。
少々引いてしまった。
「色々と教えて頂きありがとうございます」
「いやいや、そのレベルですからね。期待してますよ」
にこやかな顔で言う衛兵さんに俺は「まぁ、出来るだけ善処します」と答えて悪魔のダンジョンに入った。
現在悪魔のダンジョン5階層。
中は薄暗く少しじめっとしている。
今のところ出て来るのは低レベルのゴブリンと角兎にラッシュボア位で、罠もほとんどない。
正直攻略は順調だ。と言うよりこの低階層では転びようがない。
それにダンジョン内なので辺りも薄暗いが「暗視1」スキルがあるので問題なく見通せる。
ただ、この5階層からは魔物の湧きポイントがかなり陰湿に設置してあった。
迷路自体はそれ程でもないが魔物が数匹の集団で巡回しており、しかも各集団が大声を上げれば隣の集団に届く程度の絶妙の距離を保って移動しているのだ。
なので戦闘をその場で始めるともれなく近場の魔物集団が集まってくる。
そして戦闘が長引けば敵はその数を増して行き、気が付くと囲まれている。なんて事態に陥るだろう。
まぁ、魔物のレベル自体が低レベルなのである程度以上のレベルがあれば死ぬ事は無いだろうが長時間の戦闘は肉体と精神に多大な負荷を掛ける事になる。
それに加え逃げ出した場合でも上へと続く階段の後方にゴブリンの湧き場所が設置してあるようで何度倒しても時間経過でゴブリンが湧いていた。
ダンジョンマスターの厭らしさの一端を垣間見た気がした。
まぁ、魔物のレベルが低く、全く詰まることは無かったのでそのまま10階層のポータルを確認してからボス部屋へ。
中に入るとソコソコ広い空間があり、そこにオークが1匹ぽつんと立っていた。
オークがこちらに気付き威嚇の雄たけびを上げるが、俺はゆっくりと歩いて行き猛り狂うオークを軽く殴りつけると上半身が吹っ飛んで消えた。
道中も思ったが、レベル差ってエゲツナイ。
俺は魔石とオーク肉を「無限収納」へ入れると更に奥へと進んだ。