第105話 調きょ、いえ、教育です。
「えー、初めまして。私が山並楽太郎です。以後お見知りおきを」
そう言って俺は冒険者10人に頭を下げると、冒険者達は面食らった様な表情をし、一拍遅れて深く頭を下げてきた。
「手紙は読ませて頂きました。一応、兄弟子からの依頼なので取り敢えず皆さんを鍛えますが、1つ確認をさせて貰います」
一旦言葉を区切ると、俺は笑顔で問いを発する。
「地獄を見る覚悟はおありでしょうか?」
俺の気の抜けた笑顔に少し戸惑いを感じたようだが、全員が返事を返す。
「「「もちろんです!」」」
ふむ、何人か周りに合わせていそうな顔をしているが、まぁ、大丈夫だろう。
俺はもちろん全員の番号を覚えているが、初対面である事を強調する為にそれぞれに自己紹介を促した。
「1番です。本名はライナと言う・・・言います。パーティ『スピードスウィング』で戦士やって・・ます。主武器はメイスです」
1番の彼はガッチリした感じの大柄な男だ。
訓練中は口数が少なく寡黙な感じがしたが、喋りはあまり得意ではないのか、緊張しているのか口調はたどたどしい感じになっている。
「うーん。戦闘スタイルとかはどういった感じですか?」
「あ、はい、パーティの盾役・・です。基本的には敵の注意を引きつけて盾で防いでいる・・います。その間に仲間に攻撃して貰う感じ・・です。あ、もちろん隙があれば攻撃もします」
「はい、ありがとうございます。では次の方お願いします。」
「2番と呼ばれている。パーティ『スピードスウィング』で義賊をしている」
2番の彼女は無駄な贅肉をゴッソリ落としている感じがする。なんというかシャープな体型とでも言えばいいのか、出る所のお肉も落としちゃってる感じが残念・・・っと話が逸れたな。
まぁ、そんな体型なんだが、なんかこっちを見る目が険しい感じがする。
なんというか、俺の全身を舐める様に見ている。
「戦闘スタイルは?」
そう聞くと鼻で笑うような仕草をした後、ちょっと小馬鹿にするような感じで返事をしてきた。
「義賊なんですよ?戦闘中は攪乱や前衛補助、遊撃を担当しているに決まっているでしょう?」
ふむ、言葉が通じていない。と言うより何か勘違いしてないか?
「私の知る義賊の戦い方は大分幅が広い筈なんですがね。私が知っている人は攪乱はあまりせず普通に前衛を熟す人もいたし、もっと攻撃的な人は敵の先手を打って背後を取って後背刺突を決める人もいました。逆に中・遠距離での戦いを得意にしている人もいたり、支援重視の人もいましたよ?」
俺の質問に2番は少し焦った表情をしているが、まだ俺は話し終わっていない。
「そもそもあなたが答えたのはあくまで義賊の基本的な役割の事ですよね? 私はそんな事ではなく、あなたの戦いにおける立ち回り方を聞いているんです。
例えば『攪乱はあまりせず、前衛として戦っています』とか、『中・遠距離からの攻撃支援が主で近接戦闘は殆んどしません』とか、そう言う事を聞いているんです。言葉の意味を理解できましたか?」
そう言うと2番がムッとした表情で押し黙る。
ふむ、扱きが足りなかったか?
俺も少々苛つくが面倒な自己紹介はまだ続く。
そう思い、嫌味たっぷりの笑顔を浮かべて2番へ先を促す。
「理解が出来たのならもう一度答えて貰えませんか?」
そう言うと渋々と言った表情で2番が答える。
「私は近・中距離での戦闘が得意よ。戦闘中は視野が少し狭くなるから支援はあまり得意じゃないわ。これでいい?」
「結構です。ありがとうございました」
やれやれ、これが後8回か・・・たるい。
そう思っていたが、その後はスムーズに進んだ。
そうして俺は次にこいつ等の実力を見るフリをする。
あくまで初対面を強調する為だ。
「では、とりあえずボコポさんに裏庭を借りたんでそちらに移動します。そこで皆さんの実力を見せて貰いますね」
そう言って俺は部屋を出ると冒険者達はゾロゾロと俺の後を付いて来る。
そうして裏庭に出た俺はまずブラック=カンパニーから習った素振りを見せて貰う事にした。
冒険者達を武器の素振りをしても問題ないくらいに間を空けて並べ、それぞれの武器を持って素振りをして貰ったんだが、3人。ブラック=カンパニーから教わったものではない素振りを見せた奴が居た。
2番と4番と8番だ。
2番は小剣での突きを教えたが今見せているのは切り下ろしだ。
4番はバスタードソードでの切り下ろしを教えたが今見せているのは薙ぎ払いだ。
そして8番はハルバートでの薙ぎ払いを教えたが今見せているのは突きだ。
正直、結構扱いたつもりだったが、礼儀の方はまだ甘かったようだ。
俺は怒りを押し殺し、務めて穏やかな笑顔を作って告げる。
「2番、4番、8番。お疲れ様。
お帰りください」
「「「?!・・・何故です?」」」
「実力不足です。
お帰りはあちらですよ」
そう言って俺は一瞥もくれずに敷地外を右手でヒラヒラと指し示すと、3人が居ないものとして他の者に指示をする。
「はい、皆さん。素振りはもういいですよ。
明日から地獄に叩き込むんで今日はゆっくり休んでください。
そうですね・・・明日は魔物が湧いている貴族屋敷に行くので朝9時頃にまたここに集まってください。それじゃあ解散!」
そう言って俺は両手をパンパンと叩いて解散を告げ、サッサと立ち去ろうとすると、俺の前に納得いかないと2番、4番、8番が走り込んで来た。
「どうしてですか?」
真っ先に質問してきたのは8番だ。
「先程の言葉の通りですが?」
「納得が行きません」
「実力を示せと言われて手を抜くお馬鹿さんを相手にする暇はないんですよ」
「「「そ、それは?!」」」
「全く、大して実力も無いくせに自尊心だけは一丁前。クロさんは何を教えていたんだか・・・」
ため息を吐きつつ演技も忘れない。
こいつ等を鍛えたのはあくまでブラック=カンパニーであって楽太郎じゃないってのをアピールするが、内心では馬鹿はやはり馬鹿のままなのか?
それとも俺の厳しさが足りなかったのか?と自問自答もしてしまい、心のイライラが募って行く。と、2番が言葉を挟んでくる。
「そこまで言うなら、勝負しな!」
この言葉に本気で呆れる。
実力差って奴が全くわかっていないのか?
「勝負ですか?なんの為に?」
「・・・私の実力をあんたに認めさせる為によ!」
その言葉を聞いて俺は吹き出してしまった。
それなら最初から反抗しなければいいのに。
何ともアホな事を・・・と言うか本末転倒な言い様に笑えたが時間の無駄だ。
主に俺の時間が無駄にされたんだがな?
「な、何よ!」
「いや、すいませんね。中々に間の抜けた答えだったのでね。
実力を示したいのであれば手を抜かずに素振りすればよかっただけでしょう?」
「う、五月蠅いわね!それよりも勝負よ!」
なんだこいつ。
頭に脳みそ入ってるのか?
徹頭徹尾、頭の悪い事ばかり言いやがって・・・
他の2人も同じなのか?
だとしたら頭に覚えさせるのは難しそうだから身体に教え込むしかないか。
そう考え残りの2人にも調きょ・・教育を施すことにする。
「それならそちらのお2人も合わせてお相手しましょうか?」
俺がそう言うと4番と8番も頷く。
「なら私1人対そちら3人で宜しいですか?」
「「「お願いします」」」
さて、それじゃぁ・・・と、少し考えて閃く。丁度9番の男の腰にいい感じの布が巻かれていた。
「9番さん。ちょっとその腰に巻いた布を貸して貰えませんか?」
「え?」
何を勘違いしたのか顔を青くして一歩後退ろうとしている。
「いや、実力差があり過ぎるので私の方に制限を設けようと思いましてね。私はその布でしか攻撃しないし、防御もしない。この条件でどうです?」
それを聞いた瞬間、全員の顔が驚きに変わる。
俺が武器にしようとしている布は2番、4番、8番の武器で容易く斬り裂かれるからだ。
そしてそれが無くなれば俺は攻撃も防御も出来なくなる。そう言う条件を出したからだ。
まぁ、回避は出来るがな。
「こんなの端から勝負にならないわ!」
2番が吠える。
「ふむ、何か勘違いしていませんか?
これでも大分手加減しないとあなた達を殺してしまいそうなんですよね。
でもこれ以上の制限は中々思いつかなくて・・・」
「「「?!」」」
俺の軽い挑発に甚くプライドを傷付けられたようで顔を怒りに歪める2番。
「それでいいわ」
「あ、あと、勝負の決着方法ですが、『相手が気を失うか死ぬまで』と言う事で宜しいですか?」
俺が軽くそう言うと煩わしそうに2番が了承し、それに続くように4番、8番も了承する。
中々腰布を手放さない9番に2番が布を差し出すよう促し、9番は渋々俺に腰布を渡す。
まぁ、腰布が斬り裂かれる可能性が高いと考えているからだろう。
俺だったら絶対渡さないが巻き込んだ俺からそんな事は言えないので黙っておく。
俺は腰布に気を通し、強度を上げると数回腰布を振り回して感覚を掴む。
そうして俺は3人が戦闘準備を終えると声を掛ける。
「さて、それではいつでもどうぞ」
そう言うとまず8番がハルバートを構えて突進してきたので8番の間合いに入った瞬間に一歩前に進み手首のスナップのみで腰布を飛ばし、素早く手首を返す事で腰布を撓らせ8番の顔を弾くとパァンッと気持ちの良い音と共に8番が吹っ飛ぶ。
それを見た他の者は皆声が出せず、一瞬静寂が訪れる。
・・・やり過ぎか?と思ったが、8番が全身を震わせ立とうとしているので死んでいない事は確認できた。
俺はホッとすると同時に余裕のありそうな笑みを必死に浮かべる。
「失敗失敗。大分手加減しましたが、それでもまだ強すぎたようですね」
そう言うと2番と4番がハッと我に返り俺の方を警戒してくる。
それを見て俺は悠然と今度は4番に向かってゆっくり歩き出すとバスタードソードを構えた4番は俺の歩みに合わせるように後退する。
「おいおい、逃げてちゃ話になりませんよ?」
挑発するように、小馬鹿にするように腰布を連打するとスパパパパパァンと言う衝撃音が響き、4番の体を震わせる。
「グゥゥゥゥッ!」
と4番が衝撃に呻き声を漏らすが、堪えられる程度のダメージで済んでいる様だ。
これならもう少し力を入れても大丈夫だろう。
「ふむ、もう少し威力を上げても良さそうですね」
「な?!」
4番が驚きの声を上げるのと同時、俺は後ろから忍び寄って来ていた2番の刺突を腰布で弾き、返す腰布で小剣を叩くと刀身がポッキリと折れた。
「そんな?!」
「腰布1枚切れないなんて・・・そんな鈍らしか持っていないんですか?」
未だに折れた剣を信じられないと言った表情で見詰めている2番に腰布を叩き付けると吹き飛んで行った。
「戦いの最中に固まるなんて愚の骨頂ですよ」
俺は落胆するようにピクピクと痙攣する2番を見下ろし、次に4番へと視線を移す。
「さて、後はあなただけ・・・ではないようですね」
よく見ると4番の後ろでハルバードを杖代わりにして立ち上がった8番が見える。
俺の言葉に一瞬だけ4番が8番の方に視線を向る。
「行けるか?」
俺を警戒しつつ4番が8番に声を掛ける。
「え、えぇ、危うく逝きかけたけど何とか堪えたわ」
何か幸せそうな恍惚とした表情でそう言うと8番は気合を入れ直すように杖にしていた槍を持ち上げて雄叫びを上げる。
「そろそろ良いですかね?」
俺は待ち草臥れたと言った雰囲気を出して小馬鹿にするように欠伸をする。
俺の挑発を受けても動かず待ちに徹する2人を見て嘆息すると俺は宣言する。
「それじゃ、行きますよ」
そう言って俺は4番に向けて歩き出すと、4番は後退せず待ち構える姿勢を崩さなかった。
代わりに8番が俺の右横に回る様に移動し、槍を横に構える。
そして4番が8番の移動が終わった瞬間に仕掛けてくる。
バスタードソードを振り上げ振り下ろす。切り下ろしだ。
俺は更なる気を腰布に送り込み強度を上げると素早く撓らせバスタードソードの刀身に打ち付けると、甲高い音を上げバスタードソードが折れる。
「「莫迦な?!」」
4番の切り下ろしに合わせて8番が薙ぎ払いを放っていたが俺が返す腰布でハルバートを叩くとこちらはハルバートがひん曲がった。
「全く、揃いも揃って安物しか持っていないんですか?」
小馬鹿にしたような表情で2人を眺めると「ば、化け物・・・」とか言って戦意を喪失していたので腰布で滅多打ちにする。
全く失礼な奴等だ。人に向かって化け物とは・・・
俺が2人を叩きのめしていると「待った」を掛ける声が上がる。
俺は声がした方を向くと6番がいた。
「何か言いたいことでも?」
「勝負はもう付いています」
その言葉を俺は否定する。
「いえ、まだ付いていません」
「その3人はもう戦えません!これ以上は!」
「最初に言いましたが、この勝負は『相手が気を失うか死ぬまで』と言う条件です。3人はまだ気絶していませんし、死んでもいませんよ?」
そう言って視線を3人に向けると1人は苦しそうな顔をして呻き、1人は恍惚の表情で喘ぎ、最後の1人は痙攣している。
「2番は気絶していますよ?」
「気絶したフリですよ」
そう言って2番の脹脛を腰布で叩くと甲高い悲鳴が上がった。
「ほらね?」
「・・・」
何とも言えない表情になる6番。
良い奴っぽいな、こいつ。
「と言う事で勝負は付いていないので攻撃を続行します」
「ま、待ってください。これ以上は本当に死んでしまいます!」
「大丈夫ですよ。急所は外していますし、人間この程度では中々死にません。これは調きょ・・ゴホンッ。教育しているだけですから」
「な、何を?」
「自分が如何に弱く愚かな事をしたのか身体に教え込ませているんですよ。
いつまでも自分が強いつもりでいるから舐めた態度になるんです。
自分が弱いと自覚すれば少しは謙虚になるでしょう?」
「そ、それは・・・」
何とも困った表情をする6番に畳み掛けるように言葉を叩き付ける。
「教えを乞う立場の癖に相手を試そうなんて巫山戯た考えを今後しない様に徹底して教え込んでいるんですよ」
そう言うと言葉を詰まらせる6番に最後通告を行う。
「これ以上邪魔するなら、あなたもそこに加わりますか?」
その一言で6番は後ろ髪を引かれつつも引き下がった。
だが、6番の目論見は多少達成されたようだ。俺は水を差された所為か、やる気が殺がれてしまった。
いや、イラツキを本人達にぶつけて溜飲が下がっただけか?
まぁいいや、俺のやる気が失せてしまうとこの仕置きも単に面倒臭い作業に成り下がる。
サッサと終わらせよう。
俺は何故こいつ等が今の状況に陥ったのかを教え込む為、既に立ち上がる事も出来ないであろう3人に向かって声を掛ける。
「さて、お前達が何故このような状況になったのか、理解しているか?」
「「「・・・」」」
そう聞くと沈黙が返って来るだけだった。
いきなりの質問だったから聞き逃したかと思いもう一度同じ質問をするが沈黙が返って来るだけだった。
「質問されているのだから答えなさい」
そう言って俺は2番を腰布で叩き、悲鳴を上げる2番を余所に更に言葉を掛ける。
「もう一度言いますが、何故このような状況になったのか、理解していますか?」
「あ、あんたに負けたから・・・」
俺の質問に対し、見当違いの答えを4番が返す。
「的外れな回答ありがとう。間違いだ。
そもそもの問題はお前等が礼を失する行動を取ったからこうなったんだよ。
そんな事も理解できていないのか?」
褪めた目で4番を見ると4番が恐怖に震えるが、俺の言葉を理解していないようだ。
「「「・・・」」」
「わからないか?」
俺がそう言うと図星を付かれたように3人が顔を上げる。
「俺に指導して貰うのが嫌なら兄弟子が去った後、ここに来なければよかったんだ。
そうすればこんな所で死にかける事は無かった。何故ここに来たんだ?」
「そ、それは、強くなる為に・・・」
そう言ったのは8番だった。
「強くなる為に教えを乞うのであれば礼を尽くす必要があるんじゃないのか?
それなのに何故無礼を働いたんだ?」
俺は当たり前の事を3人に聞くと、それぞれが目を伏せる。
「「「・・・」」」
3人は答えられない。
いや、己が間違っている事を理解できてしまったから答えたくないのだろう。
相手の心理が透けて見える沈黙は正直ものすごく苛つく。
俺は3人全員を腰布で叩く事でイラツキを抑えようと試みると2番と4番からは悲鳴が、8番からは嬌声が上がる。
なんか8番だけ反応がおかしい気がするんだが・・・
8番の気持ち悪さが俺に少しだけ冷静さを取り戻させるが、俺は言葉を荒げて威圧し、糾弾する。
「お前達は俺を見て年下と侮り、驕慢な態度に出た。
だから俺の指示を聞かず手を抜き、俺を試そうとしたんだろう?
その行動自体が驕っている事に気付かなかったのか?
そんな分を弁えない馬鹿に教える訳がないだろうが!
その上、自分が勝てない事もわかっているだろうにこの俺に勝負を挑むなんて言う巫山戯た無礼を働く。
自分は殺されないとでも思っているのか?
『自分は強い』なんて言うちっぽけな自尊心を守ろうとしたんだろうが、どう見ても愚行だ。
本来なら殺している所だが、お前等は運が良い。『兄弟子の弟子を殺す』と言うのは同門を手に掛ける事になる。
今回の事は見逃してやるから、2度と面を見せるな。わかったな?」
俺がそう言うと以外にも3人以外から声が上がった。
「「「それだけはお許しください」」」
そう言って3人以外の全員が息を合わせたように『寝下座』を始めた。
・・・マジでか。
俺はルインの悪夢を思い出す。
あんな迷惑行為を7人、いや、10人全員にされるのか・・・
そんな事を考えて呆然としていると寝下座をしながら6番が懇願する。
「私は8番とはパーティを組んでおります。
そして私はパーティのリーダーをしています。
メンバーの不始末は私の不始末でもあります。
私からも8番には言って聞かせますので、どうか、どうか今回はお許し頂けないでしょうか!」
そう言ってゴロゴロ転がる6番と、それに続く一堂。
言ってることは凄い真面目で良い事なんだが、地面を転がりながらだと巫山戯ているとしか思えない。
だが、異世界では最上級の謝罪方法って事らしいんだよな。
直接関係のない7人が許されるまで俺の後を寝下座をしながら追って来る。
俺はその光景を幻視して戦慄を覚えるが、そこまで出来る6番達の絆にも感心した。
そして俺は仕方なく許す事にする。
「仕方ないですね。今回だけは許しましょう。ただし、次、あなた達の誰かが故意に無礼を働いたと私が判断した時は全員同罪としますので肝に銘じておいてください」
そう言うと全員ホッとした顔をした。
その顔を見て、ふと疑問が湧いた。
「そう言えばお前たちはそこの3人を何故止めなかったんだ?」
「「「?! も、申し訳ありません!!」」」
その回答に俺は残りの7人全員を叩きのめし、4時間ほど説教する事となった。
そして最後に俺に対する『寝下座』をすることを禁じた。




