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第93話 脱ウェルズ

今回

かなり短いです。


 夜が明けきらない早朝。


 俺は部屋の前に誰もいない事を確認して階下へと降りる。


 前日に宿の親父には早朝に立つ旨を伝えているので親父は起きていた。


「それじゃ、お世話になりました」


「えぇ、それでは良い旅を」


 そう言葉を交わすと俺は素早く宿の裏手へ回りインディとメルを連れ出す。


 目的は例の森でサトーカエデの木とレイモンの木を手に入れる事だ。


 この2種類の木を資金稼ぎの主軸にする予定なのでどうにか植樹するつもりだ。


 それに暫らく街を離れれば(ほとぼ)りも冷めるだろう。


 そんな事を考えつつ、ルインと出くわさないよう気配察知を入念に行うと宿に向かってくるルインを察知できた。


 危ない危ない。見付かったら面倒になるところだ。


 俺はインディとメルを連れて建物の陰に隠れてルインをやり過ごすと慌てず静かに街門へと向かった。


 早朝の街は昼間と違い静寂が支配しており、一種の神聖さを感じさせた。

 こう言った空気は新鮮で気分も軽く自然と嬉しくなってくる。


 気分が高揚するのを感じつつ街門へ辿り着くと丁度街門が開くところだった。


「おはようございます」


「おぉ?おはよう。早いな」


 街門にいる衛兵に声を掛けると眠そうな返事が返ってきた。


「えぇ、目的地が遠いので日がある内にできるだけ距離を稼ごうと思いまして」


「なるほどな。仕事熱心な事だ」


 そう言うと俺の冒険者カードを確認し、少し驚いた顔をした後、街の外へと通してくれた。


「が、頑張ってな」


「ありがとうございます」


 少し顔が引き攣っていたが気の所為だろう。

 返事を返して門を通り抜けると地揺れがした。


 地震か?


 俺は足を止めて周りを見回す。

 それ程大きな地震ではないようだが、衛兵は少し慌てた様子で話し合っていた。


 ここには山もあるからおかしなことでもないだろう。

 俺はそう考えるとそのまま街をでて森を目指した。
















 一方、地震が起きたウェルズの街では・・・



「うお?! 地震だと! スコティ!ギラン! 神のダンジョンまで様子見に行って来い!」


「「へい!親っさん!」」


 そう言うと2人は走り去っていく。


「ディルボ!俺ぁ今、手が離せねぇから、お前ぇーはギルドに行ってダンジョンでの採掘依頼を一旦中止にして来い!」


「わかりやした!」


 返事をするとディルボも工房から出て行く。


「ちくしょぉ!こんな時に変遷が起こるなんてタイミングが悪ぃぜ」


 そう言いながらも打ち付ける槌の音はリズミカルに止まる事なく響き続けている。











「むぅ?地震・・・マズイな」


 執務室で聖務に勤しんでいたトッチーノは慌ててモニカの執務室に移動すると廊下でモニカを見付ける。


「モニカ!これは変遷か?」


「わかんない!だから調べに行く!」


「そうか、それなら悪魔のダンジョンの中に居る者を退避させてくれ。私は入り口を固めて魔物が出てきても対処できるように準備をする」


「わかった! フリッツ!エーナ!行くぞ!」


 そう言ってモニカは武器保管庫へと向かう。


 トッチーノは部下に指示を飛ばし、自身も戦闘準備を始める。


「全く。なんてタイミングで起こるんだ・・・」





 ウェルズの住民それぞれが忙しく立ち回り始めた。




















 ウェルズの街門を抜けた楽太郎はインディとメルを連れて走っていた。


 普通に歩くと片道3週間。


 ボコポに依頼した武器作成はあと2週間ほどで出来る予定だ。


 往復で1月半かかるからボコポを待たせ過ぎる事になる。


 と言う事で出来るだけショートカットをして最短ルートで走れば間に合うだろうと適当に皮算用したのだ。

 帰りはサトーカエデの木とレイモンの木を複数本運ばなければいけないのでかなり時間が掛かるだろう。


 なにせ「無限収納」には生きたものを入れる事が出来ないからだ。


 植物に関しての判定は今一良くわからないが、種や切ったり折ったりした枝や葉っぱは収納できるのに苗木はアウト。

 木そのものも収納できないし、切ったばかりの切株も収納できない。だが切ったばかりの木はそのまま収納できる。


 なので今回は荷車を「無限収納」に入れてあるので帰りはそれに原木を載せる必要があるのだ。


 面倒くさいが必要な事と割り切って行動あるのみだ。







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小説家になろう 勝手にランキング
ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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