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第92話 楽太郎、旅に出るってよ

 俺は取り敢えず落ち着く為に炭酸ジュース改め、塩サイダーとフライドポテトを「無限収納」から取り出し、ゆっくりと味わった。


 あぁ、フライドポテトが美味い。

 サクッとした皮の食感が心地よく、中から(かぐわ)しいポテトの香りが鼻孔を(くすぐ)り、直後にポテト本来のホクホク感が舌に広がり何とも言えない旨さが口に広がる。


 しばらく味わっていると少し喉が渇いて来たので塩サイダーを飲み込む。


 炭酸のシュワシュワとした刺激に甘味が合わさり何とも言えない幸福感に襲われる。


 そんな事に没頭すること数分。

 取り出した塩サイダーとフライドポテトが空になった。


 ふぅ、何を考えていたんだっけ?

 あぁ、ルインが土下座して寝下座してって・・・ここまでは五体投地か。


 いや、その後転がり回ってたよな・・・ありゃ一体なんだったんだ?


 冷静に考えるが良くわからない。


 結論としてはモノッソイ迷惑。ただそれだけだろう。


 大分時間も経ったしそろそろ居なくなったかな?


 そう思いそっと扉を開けて確認するとまだルインが(うずくま)って待機していた。



 ・・・面倒くせぇ。



 はぁ、仕方ない。無視して通り過ぎよう。



 俺はスッと廊下に出るとルインが反応して「申し訳ありませんでした!」と言って五体投地をする。

 それを無視して階下に下りようとすると五体投地をしながらルインが追いかけてきた。


 ちょっと怖いんだけど・・・


 (はた)から見るとかなりシュールな気がするが、当事者にされた俺は面白くない。


「付いて来ないでください」


 無視したかったが流石にこのまま付いて来られたらキツイので拒絶の一言を発する。

 するとショックを受けたように一瞬ルインの表情が固まるが諦めずに追いかけて来る。


 本当に何がしたいんだ。


「因みにそれ、謝罪している気でいるなら逆効果ですよ? 本当に迷惑でしかありませんから」


 そう言うと絶望?しているような表情で固まった。


 本当に何がしたかったんだか・・・


 俺は固まったルインを無視して階下の食堂へと向かった。













 暫らくすると復活したルインが(あと)を付いて来ては五体投地してゴロゴロと転がるので困らされた。


 食堂では俺が食ってる目の前で五体投地してゴロゴロ。


 ディルクの店で荷車ないの?的な話をしている時も五体投地してゴロゴロ。


 昼飯食べに入った食堂でも五体投地してゴロゴロ。


 流石に無視し続けるのにも限界だ・・・


「ルインさん。ちょっとそこ座ろうか?」


 俺はそう言って自分の前の席を示す。


「ゆ、許していただけるのですか?」


 一瞬喜色を浮かべるルイン。


「いんや、許さない」


「では、このまま謝罪させてください」


 そう言うとまた頭を下げる。


「それは謝罪になっていないと言ってるんだよ」


 俺は内心のイラツキを押し殺してなんとか笑顔を貼り付けつつ威圧する。

 五体投地してゴロゴロしてる人間に怒声を浴びせたら周囲からの印象は最悪だろう。・・・いや、そうでもないのか?


 ま、まぁこの際、『無視し続けるのも印象最悪だろう?』と言う突込みは受け付けない。


 俺は威圧を徐々に強めながら無言でルインが席に着くのを待つ。


 そうして数分すると俺の威圧に耐えられなくなったルインが震えながら席に着いた。


「さて、ルインさん、1つ質問をしよう。

 あなたは謝罪とはなんだと考えていますか?」


「自身の過ちを認め、相手に許しを請う事・・・だと思います」


 意外に真面(まとも)だ。


「正解ですね。それがわかっているのにあなたは今日、あんな珍妙な行動を何故とったんですか?」


「珍妙な行動?」


「土下座して寝転んでゴロゴロと転がるやつですよ」


「あれはキュルケ教では最上の謝罪方法なんですが・・・」


 さも当たり前のように言われたが初耳だ。


「え?!どういう事?」


「キュルケ神とウェイガン神の逸話に出て来るんです。

 2柱の神が若かりし頃、ウェイガン神がキュルケ神を怒らせたことがあって、その謝罪の為にウェイガン神が取った行動で寝下座(ウェイクル)と言うんです。

 ウェイガン神は3日3晩謝罪し続け、キュルケ神も謝罪を受け入れその後は良好な関係を築いて行き、ついには夫婦(めおと)となったそうです」


 ウェイガン何やってんの?!完全に黒歴史だろそれ!


 頭痛くなってきた・・・マトモそうに見えた神様もとち狂うんだな。しかも逸話にまで残されるってどんだけだよ。


 そんな事を考えてしまったが、本題に戻そう。


「ま、まぁ、それは置いておいて、あなたはあれで謝罪しているつもりだったんですよね?」


「はい」


 そう言ってルインは身を縮こませる。


「朝に言いましたよね? 『謝罪している気でいるなら逆効果ですよ』って、その言葉を聞いても同じ行動を取ったのは嫌がらせですか?」


「いえ、気持ちが足りないと言われたと思い、謝罪することに集中しました」


 ・・・言葉通りの意味だったんだがな・・・


「えー、あなたの謝罪はハッキリ言って迷惑ですし、やり方が間違っています」


「え?」


 驚愕の表情で固まるルイン。まぁ、あれが謝罪になってると思いこんっでりゃそうなるわ。


「貴方の謝罪は自分の事しか考えていないんですよ。だから謝罪になっていないんです」


「ど、どういう事でしょうか?」


「あなたがやっているのは謝罪と言う名の独り善がりの自己満足(オ○ニープレイ)です」


「な?!な、なんで私の謝罪がお、お、お、」


 ルインは俺の言葉に顔を真っ赤にして何かを言おうとするが言葉に詰まる。

 ほぉ、オ○ニープレイと言う言葉の意味は知っている様だな。

 とんだ聖職者だぜ。と思いつつ口元が緩みそうになるのを必死に抑える。



「理由は3つあります。

 1つ、あなたは自分が許される事しか考えていない。

 1つ、あなたは謝罪対象の事を考えていない。

 1つ、あなたは周りへの配慮を考えていない。

 つまりあなたは自分の事しか考えず自己満足の謝罪に酔っているだけなんですよ。

 謝罪をする場合、普通なら相手の迷惑にならない事を第一に考えるべきなんです。

 だから謝罪をする場合はアポイントをとって謝罪対象にとって迷惑の掛からない時間・場所に合わせる。

 その上でどうすれば許して貰えるかを考える。

 それが全くできていないんですよあなたは」


「そ、そんな・・・」


 驚愕に震えるルインだが、楽太郎の迷惑を考えずに行動していた事は事実である為反論できない。


「私の言っている事の意味がわかりました?」


「はい、申し訳ありませんでした」


「でしたら私の前から消えてください」


 そう言うと素直に引き下がるルイン。


 よし、取り敢えず今回は帰せたが、次はわからんからな。


 明日から旅に出よう。そして『レイモンの木』と『サトゥーカエデの木』を手に入れるのだ。


 俺は明日からの予定を急きょ組み直し、急いで旅の準備に取り掛かる事にした。
















 楽太郎がルインに付き纏われ、旅に出る決意を固めるより1日ほど時間は遡る。


 場所はキュルケ神殿。


 トッチーノはリディアーヌを連れて自分の執務室を出ると急ぎ足でモニカ神殿長の執務室へ向かいノックをする。


「モニカ神殿長。少々話したい案件が出来たので開けて頂きたい」


 そう声を掛けるが暫らく待っても中からは返事が無い。


 おかしい。モニカはいつもこの時間は聖務の為、執務室で仕事をしている筈だ。


「失礼する」


 そう声を掛け、扉を開けようとすると鍵が掛かっており、開かなかった。


 これは不味い!


 そう思うが早いか、トッチーノは武器保管庫へと走り出す。

 『間に合ってくれ!』そう思いつつもトッチーノの中に生まれた焦りは募るばかりだ。


「トッチーノ様?!どちらに行かれるのですか?!」


 おいて行かれそうになったリディアーヌが声を掛けるとトッチーノは『武器保管庫だ!君は入口に向かってくれ!そこにモニカが居たら私が行くまで足止めをしてくれ!』


「わ、わかりました!」


 そう言うとリディアーヌは神殿の入口へと急いで向かう。


 指示を出しつつも足を止めずトッチーノが武器保管庫へと進む。

 普段は武器保管庫には鍵が掛けられているのだが、トッチーノが取っ手を回すとあっさりと開いた。


 そして中を覗くと10代前半位の少女が自分の身長とそう変わらない長さの鉄槌(メイス)を持ち上げている所であった。

 その他にも20台前半位に見える戦士然とした男性神官と20台半ばの女性神官が武装している所だった。


「あー、その、モニカ。何をしているのかね?」


 トッチーノがそう問いかけると、モニカと呼ばれた少女は悪戯が見つかった子供のような表情で答える。


「や、やみ・・・悪魔のダンジョン攻略に行こうかと・・」


「モニカ。君はこの前帰って来たばかりだろう。それにリディアーヌ君の、神託の巫女誕生祭の準備やそれ以外にも溜まっている聖務もあるだろう。神殿長の君がダンジョンに潜る暇なんてないよ」


「・・・」


 トッチーノの反論に黙り込んでしまうモニカ。


「どうしてそんな見え透いた嘘を吐くのかね?」


「・・ラクタローとか言う俗物を捻り殺しに行く」


 トッチーノの安い挑発に乗ってモニカが素直に答える。

 その答えを聞いてトッチーノは溜め息を漏らす。


「無理だよ。君どころか我々全員で掛かっても彼には勝てない」


「そんな事は無い!私が捻り殺してやる!」


 殺る気満々のモニカにトッチーノはやれやれと言った表情で言葉を掛ける。


「モニカ。監視役から何も聞いていないのかい?」


「トッチーノが奴の前で気絶したと聞いたが?」


 その回答にトッチーノは頭が痛くなった。


「いや、確かにそうだが私は彼に負けたんだよ」


「?」


 言葉の意味がわからないと言った表情をするモニカにトッチーノは説明する。


「彼は恐ろしく強い。どうやって倒されたかもわからない。が、顎に少し痛みがあったから恐らく顎を打たれたんだろうが、どう打たれたかもわからなかったんだよ。この私がね」


 そう言ったトッチーノだったが、果たしてモニカの反応は・・・


「お前、(なま)ったんじゃないか?」


 その一言に部屋の温度が一気に低下する。


「あぁ?!」


 ドスの効いた声でトッチーノが威嚇すると、モニカ以外の部屋にいた全員が委縮する。


「なんなら私が鍛え直してやろうか?それともそこを素直に退いてくれるかい?そうしてくれるなら私が貴様の尻拭いをさせて貰うよ?」


 その言葉を受けてトッチーノが息を吐くように軽く笑う。


「結局こうなるんだねぇ。良いだろう。相手になるよ」


 凄惨な笑顔を見せるトッチーノに対し、モニカも不敵に笑みを見せる。


 モニカは辺りを見回して言う。


「場所を変えよう、ここだと色々と不味い」


 ここは色々な武器が保管してある。それらはそれなりに高価な品だ。

 高レベルのモニカとトッチーノが本気で戦闘するとなると、ここでは損害が馬鹿にならないだろう。


「では私も準備をしよう」


 そう言ってトッチーノも戦う準備を始める。


「それじゃ外に行こう。場所はいつもの修練場で良いだろう?」


 そう言ってトッチーノが先行すると、モニカと他2名も後を付いて歩く。


 そうして神殿の入り口に差し掛かるとリディアーヌが顔を出す。


「あ、トッチーノ様。モニカ様を見付けたんですね」


「あぁ、見付けたんだが予想通りの展開になってしまったよ」


 そう言ったトッチーノ達の姿はリディアーヌには完全武装した集団にしか見えなかった。


「あ、あのぉ。話し合いをするんじゃないんですか?」


 そう言ってトッチーノを窺うリディアーヌ。


「私はそのつもりだったんだが、やはりモニカは脳筋でね。実力行使を辞めようとしないんで仕方なく。仕方なくこちらも実力行使で止める事になってしまった」


 トッチーノは既に対話を諦めているようだ。

 それを知ったリディアーヌは話の矛先をモニカに変え、問いかける。


「モニカ様。本当に楽太郎さんを襲うつもりですか?」


「いやいや、襲うなんて人聞きが悪いじゃないか。これは断罪だよ。己の犯した罪を償わせるのさ」


 そう言って自己弁護するモニカにリディアーヌは突っ込む。


「楽太郎さんが犯したのはどのような罪でしょうか?」


「そりゃ決まってる。君を襲った罪だよ」


 その答えを聞いてリディアーヌは頭が痛くなった。


「いえ、私は彼に襲われていません。今朝もそう言ったじゃないですか」


「男の部屋に泊まって朝帰りしたんだろう?」


「そ、それは・・・そうですけど」


「なら犯られちゃってるよ!」


「犯られてません!そもそも彼は別の部屋を取ってそちらで寝てました!それは宿屋のご主人が証言して下さったじゃないですか」


「そんなの犯した相手と一緒に寝たら寝首をかかれると思ったからじゃないの?」


「それならそもそも私を追い出せば済むじゃないですか!」


「そう言われればそうかも・・・いや、君が犯された事実を隠したがるだろうと思ってアリバイ工作をしたんだよ」


 頑なにリディアーヌが犯されたと主張するモニカにリディアーヌは呆れる。


「もう、どうしたら私が犯されていないって信じるんですか?」


「そうだね・・・ユニコーン(処女厨)に乗ることが出来たら信じるよ」


「無茶苦茶じゃないですか!」


 因みにこの世界でもユニコーンは清らかな乙女にしか興味を示さないガチの処女厨である。

 生息地は不明で時折、深い森の奥で目撃されることがあるらしい。


 襲われた云々については埒が明かないのでリディアーヌは切り口を変える。


「それよりも、楽太郎さんに危害を加えるんですか?」


「危害じゃない。断罪だ」


「楽太郎さんに害を為すと言う意味では同じでしょう?」


「・・・そうだ」


 モニカはリディアーヌの問いを肯定した。


「皆さん。お聞きになりましたか?」


 リディアーヌが周囲にいる者達に問いかけると、返事は近くから届いた。


「いや、モニカがラクタロー君を襲うつもりなのはもう知っているよ。それを止めようと私はこうして準備をしたんだがね」


「トッチーノ様。これはモニカ様ご自身がお認めになった事。言質を取ったと言う事です」


「どういう事かね?」


 今一つ呑み込めないトッチーノはリディアーヌを問い質す。


「つまり、モニカ様はキュルケ様に背信したと言う事です」


「「「「・・・・え?!」」」」


 一同が驚きの声を上げる。


「ど、どういう事かね?リディアーヌ君」


 トッチーノが質問の声を上げる。


「トッチーノ様。私が初めてキュルケ様の神託を受けた時、キュルケ様から「山並 楽太郎様を探しています」と言われたのです。

 そして伝言を頼まれました。その内容は皆様ご存じでしょう?」


「あぁ、たしかキュルケ様とウェイガン様との対話に応じる様に伝えるという内容だったはずだ」


 トッチーノが答えるとモニカや他の信徒も頷く。


「言伝の内容は大体合っていますが、細かい所が抜けています。正しくは

 『私は山の女神キュルケと申します。突然の事で大変驚かれたとは思いますが、どうか私とウェイガンとの対話に応じて頂けないでしょうか? あなた様に危害を加える様な恐れ多い事は一切ございません。どうか、どうかお話をさせて頂けないでしょうか? よろしくお願い致します』

 と言う言伝を伝える事です」


 リディアーヌが言葉を区切ると周りの者達は顔色を蒼白に変える。


「キュルケ様は対話をすることにより楽太郎さんに危害が加わる事は無いと断言されております。

 それなのに信徒であるモニカ様が『楽太郎さんに害を為す』と公言したのです。モニカ様の言はキュルケ様への背信行為そのものでしょう?」


 そう言ってリディアーヌがモニカを見ると、モニカは愕然とした表情で膝を折る。


「そ、そんな馬鹿な・・・」


 それを見てトッチーノが勝ち誇ったような表情で声を掛ける。


「モニカ。神殿長を務める君がキュルケ様への背信行為に及ぼうとするとは、困ったものだ」


 その言葉に悔しそうな顔をするモニカだが、反論の余地はなく何も言い返せない。

 その姿を見てトッチーノはモニカに付いて来た男女2人に声を掛ける。


「君達もご苦労だったね。こっちはもういいから本来の仕事に戻りなさい」


 トッチーノの言葉に2人は一礼すると元来た道を戻って行った。


「さて、モニカ。これで楽太郎君を襲撃する理由は無くなっただろう? いや、したくても出来ないか」


「くっ!」


 モニカの手がブルブルと震え、一触即発の空気になるが、そこにリディアーヌが割って入る。


「トッチーノ様もモニカ様の事は言えませんよ。

 トッチーノ様なんてせっかく来てくださった楽太郎さんに何をしようとしてました?

 楽太郎さんが想像以上に強かったから良かったものの、まかり間違えばトッチーノ様は背信していましたよね?」


 リディアーヌにそう言われてトッチーノも青い顔をして謝罪する。


「申し訳ない・・・」


「わかればいいんです」


「なんだ、トッチーノも(おんな)じじゃないか!」


「モニカ様も人の事は言えませんよ。それにモニカ様。トッチーノ様は反省しましたが、あなたはどうなんですか?」


 モニカが蒸し返そうとしたが、リディアーヌが話を戻す。


「だけど!リディアーヌが穢されたのに何もしないんじゃ神殿の威信に関わるんだゾ!?」


「私は穢されてなんていません!」


「でも!あの男に鉄槌を下さないと!」


「でもじゃありません!」


「それなら私はキュルケ教を辞める!それなら問題ないだろ?」


「大ありです! 神殿長が人を闇討ちする為に神殿長の仕事を投げ出すなんて!それこそキュルケ教の名が地に落ちてしまいます!」


「じゃぁ、どうしろと言うんだ!」


「だから楽太郎さんへの襲撃を止めていただければそれでいいんです!」


「嫌だ!」


 リディアーヌの説得も虚しく、駄々っ子のようなモニカは楽太郎と戦う事を諦めない。

 この虚しい会話が延々30分程続いた結果、脳筋のモニカにリディアーヌが折られた。


「はぁ、もう仕方ありません。楽太郎さんには本当に申し訳ないとは思いますが、(こうむ)る被害は最小限になるよう努力しましょう。

 モニカ様、1つ提案があります」


「なんだ?」


赫々云々(かくかくしかじか)


「ふむ・・・わかった。」



「いいですか。絶対に神殿長とわからない様にして下さいよ?

 もし正体がバレた場合、楽太郎さんがどういう行動に出るかわからないんですからね?」


「心配しなくても大丈夫だ。必ず叩きのめしてやるから!」


「あー、モニカ。本当に頼むよ? 正体は絶対に知られないようにしてくれ。

 君が殺されても問題ないが、正体が知られると被害がこちらにも及ぶんだからね」


「だから大丈夫だ!」


 そう言って息巻くモニカの声が神殿の入り口に反響するのであった。





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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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