プロローグ1
初登校・・・初投稿です
プロローグ書くだけで挫けそうです。
よろしくお願いします。
気が付くと、周りは真っ暗だった。
どこだろう? と辺りを見回しても、真っ暗で何も見えない。
頭がボーッとする。
「目が覚めたかね、山並楽太郎君」
突然かけられた声に振り向くが、真っ暗で何も見えない。
「えーと、何方ですか?」
「おや、驚かんのじゃな、感心感心。
わしは一応神様してるんじゃが、猿田彦と言えば分かるかの?」
と、嬉しそうな声が聞こえてくる。
神様?・・・まだ頭が寝てるんだろうか・・・昨日飲み過ぎたのかな・・・結構経つのに暗闇に目が慣れることもなく真っ暗のままだ・・・
「おーい、もしもーし? 聞こえとるか?」
何の反応もしなかったら心配されたようだ。
自分の頭の中にある薄っぺらい知識を引っ張り出して
「あー、猿田彦というと、天孫降臨の際に道案内をしたとかで、道の神、旅人の神とも言われてる神様?」
「そうそう、それじゃ、良くわかったの。 最近の若者は儂等の名前を知っているものはあまり居らんからのぅ」
そう言うと、猿田彦は相好を崩した。
「そうなんですか、ところで、ここ、暗くて何も見えないんですが、何とかなりません?あなたの姿も見えないんですけど・・・」
「おおっっと、そうじゃった。すまんすまん。今明るくするでの」
『パチッ!』という音と共に辺りが明るくなる。
眩しさに目を庇い、目が慣れるのを待つ。
次第に目が慣れてくると、辺りは真っ白で、杖を持った老人がこっちを向いて立っていた。
「改めましてじゃな、猿田彦じゃ、よろしくな」
とにっこり笑って挨拶された。
「山並楽太郎です。よろしくお願いします・・・なのかな?」
「ま、ええじゃろ。さて、本題に入りたいんじゃが、ええかの?」
「あのー、ここがどこで、どうやってここに来たのか、わかんないんですけど?」
「それも含めて説明しようかの、ええか?」
「よろしくお願いします」
「よし、まずここじゃが、儂ら神々が住まう神域じゃよ。
大雑把に説明すると、一般的に『現世』と『天国』・『地獄』と言われる場所のちょうど中間にある場所じゃな」
・・・ うーん、『現世』ってのは俺がいる世界で、『天国』・『地獄』は死後の世界だろ?その間ってことは生と死の狭間に居るってことかな?ってことは・・・
「あのー、俺、死んじゃったんですか?」
手を上げつつ質問すると、慌てたように返事が返ってくる。
「いやいやいや! 死んじゃおらんよ。おぬしがここにおるのは儂が引き込んだからじゃ。あの時は慌ててたから少々強引に引っ張ったでのぅ、その時の衝撃でおぬしは気絶したんじゃよ」
生きててよかった。ホッと胸を撫で下ろすが、そうなると・・・
「ここに来た理由はわかりましたが、何故私がここに引き込まれたんですか?」
「それが今回の本題じゃ、それをまず説明するんじゃが、その前に儂らの仕事から説明せんとな。ええかの?」
神様のお仕事に自分が関わってるのかな?と思いながらも頷くと、神様は真剣な表情で説明を始める。
「まず、儂らの仕事なんじゃが、大雑把に分けて2つある。
一つは世界の管理じゃ、世界というのは一つではなく、複数あり、それぞれの世界にはその世界を管理する神々がおるのじゃ。儂ら神々は自分の世界が成長するよう管理し、人々を導いておるのじゃ。
もう一つは魂の循環じゃ、生き物が生まれる際、その生き物の中に入り核となるものじゃ、そしてその生き物が死ぬと死体から抜け出て次の生き物の核になるんじゃが、そのままではうまく循環できんので神々が手を加えて循環させておるのじゃ。 わし等の仕事は大きく分けてこの二つじゃな」
ふむ、世界の管理はなんとなく会社の経営みたいだな。魂の管理については不謹慎かもしれないけど、なんとなくゴミのリサイクルを連想してしまった。ペットボトルも不純物取り除いて再加工するしね。
「神様のお仕事はなんとなく分かりましたが、それと私がここに引き込まれた理由がどう絡むんですか?」
「理解できたか よしよし、おぬしをここに引き込んだ理由じゃが、実はおぬし、異世界召喚をされておるのじゃよ、現在進行形でじゃ」
「?!」
異世界召喚・・・ 厨二心を擽る、なんともありがちなお約束の展開だな。
十代の頃なら喜び勇んで行きたがっただろうが、既に俺は35歳。今更別天地に行きたいとか、ここじゃないどこかに行きたいなんて願望はもうない。ちょっとした旅行程度なら行ってみたいとは思うが、片道切符の臭いしかしない異世界召喚なんて御免だよ。まったく・・・面倒くさい。
色々考えていると、表情に出ていたのか、神様は申し訳なさそうな顔で言ってくる。
「やっぱり迷惑じゃろうなぁ、異世界召喚は本来、儂ら神々の規則にも反する行いなんじゃよ。異世界の神が他の世界に干渉することは禁止されておるのじゃ」
「どういうことです?」
「神々には幾つか守らねばならぬ規則があるのじゃ。そのうちの一つが『異世界召喚をしてはいけない』という規則なんじゃ。神々がこれを行うと、厳しい罰則があり、下手をすれば消滅するんじゃよ」
「そんなリスクがあるのに俺は召喚されてるんですか?」
「そうじゃ、まぁ、この規則には抜け道があってのぉ、神々には罰則があるんじゃが、それ以外の生き物が行う分には罰則はないんじゃよ。その抜け道の所為で困ったことがあると手っ取り早く解決しようと異世界召喚の方法を自分とこの人間に伝授して異世界の人間を召喚させようとするんじゃよ。これには儂らも困っとるんじゃ」
と言って溜め息を零す神様。
直接神様が行うと罰則が発生するから自分とこの生き物使って罰則を回避。そして召喚された異世界人が問題を解決する・・・か。確かに他力本願だが、問題に適した異世界人を召喚できれば手っ取り早いな。
呼ばれる側は迷惑しか被らないが・・・
俺は今の生活を手放す気はないので正直に神様にお願いする。
「何とかできないんですか? 正直、今の生活を手放すのは嫌なんですよ。車も買ったばっかだし、異世界なんか行ったら、まともに生活する自信なんてないですよ」
すると神様も困った顔で答えてくる。
「異世界召喚自体は何ともならんのじゃ、また、向こうからこちらに召喚し直そうとしても例の規則で儂らにはできんのじゃ、それにこちらの世界には召喚する技術がないんじゃよ。こちらは魔法技術は意図的に衰退させ、科学を発達させたのでな、すまんのぉ」
しかし、俺は諦めない。
「それなら向こうから送還してもらうとか、何か方法がないんですか?」
「召喚と同じで送還も可能じゃが、送還の術者は送り返す世界を認識しておらんと送り出す世界は出鱈目になってしまうのじゃ。ということで、地球に帰れる保証はないんじゃよ。というより奇跡でも起きん限り同じ世界に戻るのは不可能じゃな。儂ら神々が行えば簡単なんじゃが、例の規則で縛られとるのでな」
異世界への片道切符確定・・・ なんてこった・・・人生詰んだ・・・
俺は頭を抱え、その場で蹲ってしまった。
俺のそんな様子を見ながらも神様が話を続けてくる。
「ま、現状はそんな感じなんじゃが、おぬしが向こうの世界に送られると、儂らも困るんじゃよ。なのでおぬしに頼みたいことがあるんじゃ」
「・・・なんだか嫌な予感がするんですが?」
「まぁ、話だけでも聞いてくれんかのぉ?」
「・・・わかりました」
気を引き締めて話を聞く。
「ありがとう、儂らからの頼みなんじゃが、魂を2つに分けてくれんかの?」
「?!」
いきなり酷い依頼された・・・
「ちょっと!どういうことです? 意味が解らないんですが? 死ねってことですか?」
「死にはせんよ。おぬしが異世界召喚されている以上は肉体ごと向こうの世界に行ってしまうんじゃよ。そうなると、地球からおぬしの存在が消えてしまうので、それを防ぐために魂を半分だけ残してもらい、儂らが新しい肉体を用意して地球のおぬしとして生活してもらうんじゃ。もちろんどちらか片方のおぬしが死んだ時点で魂を一つに戻すので問題はないんじゃよ」
理由は分かったけど。なにか腑に落ちない。異世界召喚された人は全員こんなことするんだろうか?TVとかでやっていたが、行方不明の人間なんて地球どころか日本でも毎年10万人位いるし、その中で未発見なのは1000~2000人程度。そのお仲間になるだけならそれほど問題じゃないだろう。そう思い神様に質問する。
「いや、こんな処置はほとんどしないんじゃが、今回はちょっと事情があってのぉ。おぬしに居なくなられるとちょっと困るんでな、できれば頼みたいんじゃよ」
どうにも歯切れが悪い。何かを隠してるような感じだな。
「魂を2つに分ける理由を教えてください。地球で私の存在が消えるとどうして神様が困るんですか? 頼みってことは、断ることもできるんですよね? 納得できる理由であれば協力するかもしれませんが、そうでないなら協力するわけがない」
「理由か・・・うーむ、詳しいことは言えんのじゃが、地球の未来において、おぬしの子孫が重要な鍵になるんじゃよ。それこそ『世界の終焉』を防ぐための重要な鍵にのぉ。その所為で今回の異世界召喚は儂らの『世界の管理』にも影響が出る程の問題なんじゃよ。じゃが、一旦召喚されると戻って来れんのでな、魂を半分残すことで、おぬしの子供が生まれるように細工する必要が出てきたんじゃ」
どうやら未来の地球では世界規模の問題があり、俺の子孫じゃないと解決できないようだ。
「神様の頼みごとを私が断った場合、地球はどうなりますか?」
その言葉に神様は真剣な顔付きになる。
「おぬしに断られた場合、最悪は地球が滅ぶ・・・つまり地球という星が無くなるんじゃ。最大限うまくいっても人間の総人口は5万人程度に激減するんじゃよ」
・・・えーと、現在の総人口が60億人だっけ?それから5万人に減るってことは総人口が・・・0.0008333…%になるのか ・・・滅亡寸前じゃねぇか!?
「因みに私が神様の頼みごとを承諾するとどうなります?」
「おぬしが承諾した場合、最悪は人間の人口が半分になる。最大限うまくいくと誰も死なず、平和な世界に一歩近づくんじゃ」
俺の子孫、半端ない能力持ってるんだな・・・俺は普通人なのに・・・
「そんな訳でおぬしに頼みたいんじゃよ。儂らの願いを叶えてくれるのなら、こちらもそれ相応の対価を支払うんじゃよ」
「その対価ってなんですか?」
俺の最後の質問を聞くと、神様はニヤリとした表情をした。どうやら神様に釣られたようだ。
「その前に異世界召喚をされた者についての説明をしようと思うんじゃが、よいかの?」
「・・・はい」
「異世界召喚をされた者には幾つか特典を付ける事になっておるんじゃ。生きて行く世界そのものが替わるので、その世界に適応できる能力を与えるんじゃ。そうでないと異世界に行っても早々と死んでしまうんじゃよ。最初に必ず与える能力は「異世界言語」と言って、異世界言語での会話や読み書きができるようになる特殊能力じゃ、あとはその異世界に合った『力』の付与じゃが、付与する身体能力は異世界の同じ種族、おぬしの場合は人間なんじゃが、その平均値の2~12倍の身体能力と召喚される者の希望に沿って1~6個ほど何かの特殊能力を与えるんじゃよ。 因みに身体能力の倍率はサイコロ2つの出目で、特殊能力の数はサイコロ1個の出目で決めるんじゃよ」
と言いつつ神様は懐からサイコロを2つ取出し、掌で転がし始める。
・・・サイコロなんかで能力を決められるんかい!
なんてこった・・・
「か、かなりアバウトなんですね。身体能力が2倍でスキル1個の人はかなりきついんじゃないですか?」
「そんなことはないんじゃよ、成長率も2倍じゃから同じ運動をしても一般人の倍伸びるんじゃ、それに特殊能力はあくまで儂らが与えるものが1つであって、後から自力で取得することもできるんじゃよ。それに身体能力や特殊能力が高すぎると今度は政治利用や都合のいい道具扱いされることもあって大変らしいのじゃよ」
なるほど、そう考えると身体能力が12倍でスキル6個なんてのはチートにしても壊れすぎってことか、下手すると野菜の人みたいに軽く触るだけで人が吹っ飛びそうだな・・・
「ま、異世界召喚される者に対する特典はこんなところじゃよ。そして、おぬしが儂らの頼みを叶えてくれた場合のおぬしの利益なんじゃが、一つ目は特典を最大値で与える。2つ目は成長限界の突破。3つ目は儂らの加護といつでも儂らと連絡が取れる直通電話でどうじゃろう?これ以外にもおぬしが望むことを3つ叶えよう。あ、不老不死は無理じゃぞ。自力で手に入れるのは問題ないんじゃが、儂ら神々から与えるのは規則で禁止になっておるんじゃ、不老なら辛うじてOKじゃがな」
すごい条件がいいな。しかし1つ気になるな。
「すいません、成長限界の突破ってなんですか?」
「簡単に説明するとじゃな、本来は各種族毎に成長できる限界があるんじゃが、それを超えて成長することが出来るようになるんじゃよ。日本にも人から神や仙人になった人物の話とかあるじゃろ。あれらの人物は神や仙人になる過程で成長限界の突破をしておるんじゃよ。じゃから神にも仙人にもなれたんじゃ」
人を辞めれる位の力を手に入れることが出来るのか・・・いい条件ばかりだ、これがチートってやつか。
「あのー、スキルって具体的にはどんなものなんです? ゲーム的なものなんでしょうか?」
「ああ、スキルの概念は概ねその通りじゃよ。スキルの説明は向こうの神にさせるんで少し待ってほしいんじゃ」
「わかりました」
神様の依頼の対価はかなりいい条件だ。これなら依頼を受けてもいいな。でも、魂を2つに分けるってことは相当痛いのだろうか。
「あのー、魂を分けるのって、痛いんですか?」
「それはもちろん痛みはある。生きてれば間違いなくショック死する程の痛みじゃ」
「・・・」
やめよう、頼みを断ってもスキルはあるんだし、一般人より強ければ問題ないはずだ。何より死ぬ程の痛みなんて受けたくない!!
「神様、申し訳ありませんが、お『待つのじゃ!』断り・・・」
断ろうとする俺の台詞に被せて神様が叫び、早口で捲し立てる。
「痛みはあるんじゃが、処置をする際には麻酔のようなものでおぬしを眠らせるので実際には何も痛みは感じんのじゃよ。ただ、処置後は魂が半分になっておるので、違和感を感じることはあるかもしれんが、失った分の魂のエネルギーは補充するので慣れれば違和感もなくなるのじゃよ。問題はないのじゃ!」
「・・・そう言うことは先に言ってくださいよ」
「おぬしが早合点しただけじゃろうに、それで頼みは聞いて貰えるんじゃろうか?」
神様がこちらをうかがうように視線を投げてくる。
少々怖いと思ってしまったが、ここは受けることにしよう。
「分かりました。引き受けます」
「良し、では契約成立じゃな」
「はい」
と俺が答えると、神様は杖で宙に丸を描くように振ると一枚の紙が現れた。それを此方に向けると、「それではここにサインを」と、署名を求められた。
俺は紙に書いてある文字を読むと契約書のようだった。文面を一通り読み、先程の内容であることを確認した後、署名欄にサインをした。
サインを書き終えると、紙が発光し、2つの光に分かれて、俺の胸と神様の右手の中に吸い込まれていった。
「これで契約完了じゃ。あとは建御雷が来てからじゃのぉ。おぬし、少し待っててくれんかのぉ?」
「良いですけど、何を待つんです?」
「建御雷が今向こうの世界で捕り物をしておるんじゃよ。帰ってきたら説明するでのぉ。これでも飲んで待っててくれんか」
神様が指を鳴らすとソファーとテーブルとその上に載った黒い飲み物が現れた。
「分かりました」
建御雷っていうと神様だよな、たしか武神とか軍神とか言われていたような・・・ま、とにかく待つとしますか。そう考えながらソファに座り飲み物を飲む。 どうやらコーラのようだ。うまい。
気が向いたら書こうと思います。