俺と幼馴染と金髪の女の子と肘鉄と・・・・・・・・・・。(in廊下)
生徒会長があの小さい女の子だと知ったすぐのこと、ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染との再会。しかしその幼馴染―――藤ノ岡辻音は俺の知っている藤ノ岡辻音とは全然違っていた。俺の生徒会活動。まだ始まっていないのに死亡フラグ、ガンガン立ってます((汗。
青春系ツンツンラブコメディ、第5話!
「瑞斗っ、大丈夫か?」
突然、庄星の声が頭中に響きわたった。今は、昼休みだ。他のみんなは机をくっつけたりして、食事をしている。しかし、俺は一人机に体を倒していた。
「うぁおっ!・・・・・・なんだ、庄星か。」
「なんだってなんだ、・・・・・弁当、食わないのか?」
そう庄星が、片手に弁当を持って俺の近くに寄ってきた。
「・・・・・ああ、食欲がなくってな。」
俺は(小さい)女の子、『生徒会長』のことがとてもとても不安で食事をとるきになれなかった。
「ふーん、高校生という食べ盛りの時期に食欲がないとは・・・・・・なにかとても深刻なことがあったんだな。」
弁当をひ広げながら、にやにやしている庄星を尻目に答えた。
「正解。」
「へぇ、そんな食欲がなくなる深刻なことか・・・・・それは瑞斗、お前の親友として大いに興味があるな。」
豪快に弁当を食べながら、早く言えと訴えている庄星に俺は“小さい女の子”、いや『生徒会長』のことを話した。
「・・・・・・という訳なんだ。」
庄星は俯いたまま俺の話を聞いていた。そしていつの間にか弁当が空になっていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
しかし庄星は話が終わってもなぜか俯いたままだった。もしかして自分も生徒会長に目をつけられてしまかもしれないから、って絶交とか!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・しょ・・・・庄星くーん?」
「なぁ・・・・・・・瑞斗・・・・・・。」
「はっ・・・はいっ!?」
「お前おもしろすぎるわっ」
「へ?!」
庄星は腹を抱えて笑い出した。
「はっはっはっはっは・・・・・・・・・おまっ、生徒会長に小さいとか・・・くっくっくっ・・・・おかしすぎっ・・・・・・ふははははっはっ」
「なっ!そんな笑うなって・・・・・・でもまぁ、絶交とかじゃなくてよかった・・・・・・ふぅ。」
「ん?なんか言ったか?」
「うっううんっ、なんでもないっ!」
「あっ、そういえば生徒会は今日から活動するんだよな。」
「うん。」
功凛高校では生徒会がこの学校をまとめる代わりに、生徒会は部活動に入るのは禁止されていて、毎日放課後に活動することが命じられている。
「でも残念だねぇ。」
「・・・・・・・・なにが?」
「だって、その生徒会長と毎日顔を合わせるんだろ?」
「あっ!・・・・・・・・・・・・そうだった。」
「いつ退学になってもおかしくないな。」
「そんな不吉なこと言うなよ。」
「あっ、そういえば・・・・・・。」
庄星は人差し指を立てて、俺の顔に近づけた。
「知ってるか?今年度の生徒会役員、帰国子女の美人ハーフの子となんと!」
「・・・・・・・・・なんと?」
なんとなく、嫌な予感がした。
「藤ノ岡辻音だ。」
「―――っ!」
――――――藤ノ岡辻音
幼稚園と小学校、中学校と小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた・・・・・・・・・そう、“幼馴染”だ。小学生までは2人で休日に遊ぶくらい仲がよかった。しかし、中学生になってからだ。
一言も口を聞かなくなった。いや、聞いてもらえなくなった。
俺が話しかけても何も答えてくれなかった。当然遊ばなくもなった。まぁ、思春期によくあるパターンだろう、と俺は思っていた。
「しかし辻音がこの高校に行ってたなんて・・・・・・・・・。」
「なっ!?お前、藤ノ岡辻音を知ってるのか!?」
「ああ、知ってるもなにも“幼馴染”だしな。」
いきなり庄星が獲物に食らいつく勢いで俺の襟首をつかんだ。
「うわぁっ、いきなりなんだ!?庄星!」
「なんだじゃないっ!瑞斗、お前はなんて奴なんだ!」
襟首をつかむ力が強くなった。・・・・・・・くっ・・・苦しい。
「いったいなんだっていうんだ?辻音がどうした?」
「つっ・・・・辻音だと?・・・・・・・お前、今ファンクラブの人全員を敵にまわしたぞ。」
「はっ!なに!どういうこと?!ファンクラブって誰の!?」
「だーかーらー!藤ノ岡辻音のだってば!」
「そんな冗談を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、えぇ!?」
俺は驚愕してしまった。いや、驚愕せずにはいられなかった。
「・・・・・・・まじか?」
俺はもう一度庄星に確認した。
「まじだ。」
しかし返ってくる答えは変わらなかった。
「どうしてそんなに驚くんだ?」
庄星はやっと俺の襟首を放してくれた。
「えっ、だってあの辻音だろ、俺の知ってる限り男との交流は俺以外なかったはず・・・・・・なのに、ファンクラブだと!?」
「高校で変わったんじゃないか?」
「いやっ、でもあの辻音のことだ・・・・・・・・自ら自分を変えるような性格じゃ・・・・。」
「きゃぁ!ツジネ様よっ。」
教室の隅から黄色い歓声があがった。
・・・・・・ツジネ・・・・・・・だと?
「おいっ、瑞斗、藤ノ岡辻音だってさ。」
俺は庄星に連れられるまま、廊下にでる。
「―――――っ!」
声が失われた。
――――――そこには、
鮮やかな茶色の髪をし、短いスカートをはいた、『俺が知っている“藤ノ岡辻音”』とは、想像できない姿の女の子がいた。とてもかわいらしい。ファンクラブができるのもわかる気がする。
しかし、その後姿はあの女の子の面影があった。
俺は、のどから声を絞り出して、おそるおそる言葉を発してみた。
「・・・・・・・・・・・・つっ・・・・・・・・辻音?」
すると、その女の子はびくっと震えた。すると、顔をこちらに向けた。
「―――――なっ!・・・・・・あんたもしかして・・・・・みず・・・・と?」
その声と顔はまさしく、“藤ノ岡辻音”だった。中学まで2つに縛るという、少々子供っぽい髪型からポニーテールに変わっている。それに髪の色も染めていた。中学までは純粋な黒髪だったのに、今は茶色の髪が俺の視界に広がっている。
中学までの辻音は自分をあまり着飾らない感じのタイプだったが、まさかメイクまでしてるなんて・・・・・・・・・・・・・・・。それはまさしく、俺の知っている『藤ノ岡辻音』とは全然違っていた。
「辻音・・・・・・・・だよな?」
俺はもう一度辻音に呼びかける。しかし、彼女は俺の方を一瞬見ただけで俯いてしまった。
「つじのん、知り合い?」
辻音の隣にいた金髪の少女が辻音に話しかけた。そしてやっと彼女が顔を上げたと思うと、俺の方をキッと睨みつけた。
「しっ・・・・・・・・・知らない。こんな人、知らないっ!気安く名前で呼ばないでっ!」
辻音はそう言って背を向け走り出そうとした。
「ちょっ!辻音!?待てよっ」
俺はとっさに辻音の手をとった。
「なっ!・・・・・ちょっ・・・なにすんのよ!触らないで!」
「―――――っ!」
辻音が俺の方を振り向いた瞬間、彼女の表情が見えた。
――――――――憎しみ。
まさしくその顔だった。その強い瞳には大粒の涙が浮かび上がっていた。
その涙は間違いなく俺に向けられていた。
しかしなぜだ?少なくとも俺は辻音にあんな表情を向けられるほど、やらかした覚えはない。
――――――俺はいったい辻音になにをしたんだ?
手が緩んだせいか、俺が握った手が振りほどかれた。すると辻音は走り去っていってしまった。
「辻音っ!おぃ――――――。」
俺は追いかけようと、走り出そうとした。しかし、さっき辻音に話しかけた金髪の女の子が、目の前に仁王立ちし俺の足をとめた。
「君っ!つじのんのことがいくら好きだからって、泣かせちゃダメだに決まってんだろぉ!もぉ~、次あったら手加減しないからねっ!」
すると金髪の女の子はなぜか戦闘態勢に入った。その目は他の誰でもなく確実に俺を敵視していた。
「えぇ!?何!?・・・・・・・・・・・ちょっとまっ――――ぐふぁぁああ?!」
「ふぅ~、これでよしっ・・・・・。つじの~んっっ!~まってよ~っ」
金髪の女の子は俺の腹に肘鉄をくらわせ、そう言って辻音のあとを追っていった。
「幼馴染にまで知らないふりをされて、生徒会でうまくやっていけるのか・・・・・・・・・?」
「どんまい・・・・・。」
庄星が俺の肩をたたいた。それと同時に俺は廊下に倒れこんでしまった。
後書き 閲覧ありがとです!それと、お気に入りなどをしてくれた方、ありがとうございます!是非、次話もみてください!感想などもおまちしています。