エピローグ
「……あっ、テンちゃん! やっと来たー」
「お客様? もう夜ですよ」
「うん。テンちゃんのシフトっていつも昼なのに、今日はいなかったでしょう。店長に聞いたら、他の仕事の都合で夜に来る予定って言うから、店内で待たせてもらったんだよね」
「わざわざ? 魔王討伐には行かなかったのですか?」
「テンちゃんに会ってから出発しないと、落ち着かなくてさ。てか、意外とお客さんが来るんだね。いつも俺が来るときは閑古鳥が鳴いてるから、貧乏神なのかと思っちゃってたよ」
「そうですか。今日こそ、魔王のいる階層まで辿り着けるといいですね」
「やってみせるさ! ということで、いつものポーションお願いします」
「……あれ? 俺、最下層にまだ行けてないって、話したことあったっけ?」
***
「あのぅ」
「あら、どうしましたか店長」
「ワシなんぞに敬語はお止めください。……その、例の人間は、まだ気付かないのですか?」
「そうみたい」
「なんとも恐れ多いことですじゃ。最下層からの出勤は大変ではありませんか? 何かご不便をおかけしていることは?」
「いいのよ、私がやりたくてやらせてもらってるんだから。怖がってお客さんが来なくなっちゃうのだけ、申し訳ないけど」
「圧倒的な魔力に気が付かない、あの人間が奇跡の鈍感すぎるのですな」
「ふふ、そうね。ねえ店長」
「どうされましたか」
「魔石チョコって、結構おいしいのね」




