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うーん、華元 祥?
はなもと…!?
私は、ハッとして、男性を見る。
「もしかして、覚えてない? 2年も経ってるから、忘れてるか……」
…大学時代よ、ね?
アッ、しつこかった斡旋の彼か――!
思い出しましたよ。
はぁ〜〜
私は、ニコリと笑うと、お久しぶりです、と答える。
すると、うれしそうな顔をする華元くん。
そんなやりとりを見ていた、ヒロイン役の彼女の顔が、歪む。
……あいざわ
ゲッ、あの藍澤さん!?
大学時代のイヤな記憶を思い出したけど、スッと引っ込めて、微笑みを浮かべた。
そのやりとりを見ていた、担当さんが、プロデューサーさんに声をかけると話をしに、私の側から離れる。
プロデューサーさんが離れたのを気に、藍澤さんが、口を開こうとすると、耳に聞き覚えがある声が聞こえた。
「藍澤? そろそろ、帰ってもいいかな…」
その声の主の顔を見て、思わず、ゲッ、とまた、言ってしまった。
その声の主は、私に不審な目を向けてくる。
はぁ〜、望んでもいないのに、今日は、同窓会ですか?!
私は、ため息をつくと、声の主に、帰らなくていいですよ、と伝えた。
そして、ニッコリと笑う。
笑われた声の主は、しばらく、ジーッと私を見つめた後、アッ、小さくつぶやく。
今日の私は、普段とは違う装い。
眼鏡ではなく、コンタクトをしている。
パッと見ただけでは、少しばかり、わかりにくいかな?
「河森さ、ん。」
私は、ニコリと、笑うと、
「胡桃 モコ、と申します。 以後、よろしくお願い致します。」
と、言って頭を下げて、その場を去った。
担当さんの側に寄ると、お疲れ様です、と言われたので、今日の微笑みタイムは、終了!
私は、担当さんとプロデューサーさんに挨拶すると、会場を出たのだった。
つ、疲れた――




