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うん?
さわやかイケメンさんの正体が『宮永先輩』だとは、わかったけど、なんで、私の家で、ご飯を作って、向かい合って座って、そして、一緒にご飯を食べてるの?
だから、どうしてこうなった?
わからん。
私は、わからないですよ―!
内心、プチパニックを起こしていた、私。
それを知ってか知らないか先輩は、私を面白そうに見ている。
「なんで、俺がここにいるのか、わからない?!、って顔をしているね。」
「……そうですね。」
先輩の質問に憮然とした顔で答える。
「ちなみに河森さんは、どの辺りまで、覚えているのかな?」
「うーん、バスに乗って、海に日光浴しに行ったのは、覚えているんですが…」
「あはは…」
なんともいえない笑いが、先輩からあふれてる。
「ほんとに、長峰の言う通りなんだな……」
などと、今度は、訳の分からない事をブツクサと呟き始めておいでです。
はあ〜、悩んでも仕方ない、とりあえず、ご飯を頂こう。
自分の世界から帰ってこない先輩を放置して、また、ひとり食事を再開した。
「そういえば、先輩?」
「うん、なにかな?」
「なぜ、先輩は、私の家にいて、ご飯を作ってくれたんです?」
とりあえず、いちばんの疑問を直接、先輩にぶつけてみる。
「あぁ、長峰さんに頼まれたから、かな?」
「ユイちゃんに…」
「海で寝ている君を介抱して、俺の車で連れて帰って来たけど、長峰さんは、夜勤で付き添えないとの事だから、条件付きで、代わりに居てるのさ。」
そう言って、ニコリと笑う先輩。
はあ、そうですか…
「条件付きって、どういう事ですか?」
思い切って、聞いてみる。
先輩は、苦虫を噛み潰したような顔をすると、大したことないよ、と言って、目を逸らすと、ご飯を食べ始めた。
うーん、気になるけど、ユイちゃんの事だから、私に不利な条件は、つけないだろうけど、やり過ぎてないよね…
まあ、いっか。
そうして、奇妙な食事会を終えたのだった。