62.制服と晴れ着
領主会合二日目。
今日のチビは早朝にオニキスと森の見回りをしたら、明日のサプライズコンサートに向けて最終打ち合わせ。見回り中もえんえんと浮かれていたようで、帰ってきたオニキスがほとほと疲れて呆れていた。
この三日間、山小屋を中心に遊び回っている妖獣たちはオパールたちがいた場所で寝てもらっている。チビ、オニキスもあわせて牧場に連れて行くのはサリー先輩。昨日は時間が変則的だったのでサリー先輩に会えなかったけれど、今朝は山小屋で話す時間が取れた。
オパールたちのことを気遣っているキィちゃんから、オパールとフクロウたちが元気にやっていることを教えてもらえたという。領主会合の期間中はこちらもバタバタするので、バケモノカサハナの種を持って戻ってくるのは領主会合が終わってからという打ち合わせはしてある。棲もうとするところの近くでも痺れ辛子を栽培できないか場所を探していることも聞いた。
「あそこに植えた、なんだっけ、痺れ辛子? 随分茂ってたからキィちゃんが何枚か持って行ったわ」
「思いのほか茂ったんですよね。痺れ辛子もリベンジしたいんですが、みんなでバーベキューも全然できませんね」
「目まぐるしいのは明日までよ! 頑張ろ!」
本当に明日までだろうか。
私はその後もドタバタすると思っている。絶対バタバタする。だって明日はチビ歌手デビューでもある。直後から騒がしくなりそう。
「……あー、リリカはねー、そうねー」
「覚悟はしているんですけれど」
「そうね。所長が一番ノリノリにノってるから、そっち方面は所長に丸投げしておけばいいんじゃないかな」
やっぱりか。チビの懐が潤って、管理所もお零れで臨時収入を得られたら何かを買い替えたいとか聞きかじった。チビも自分だけでできることではないから、稼げたら還元する気でいる。チビは体だけでなく器も大きい。
サリー先輩が出発するのに合わせて私も山小屋を出た。
山小屋の近くのチョロチョロと流れる川を見るとわさわさの痺れ辛子。いろいろあって気持ちに余裕がなくほったらかしにしていたけれど、サプライズコンサートが過ぎたら、山芋を買ってきてもう一回痺れ辛子の風味のものを作ってみよう。
今日も職員寮の共同談話室が待ち合わせ場所。
起きた時間にトウマから山小屋まで迎えに行ったほうがいいか? と連絡をもらえたけれど、昨日より腹痛はマシなので浮遊バイクで職員寮に向かった。
共同談話室に着いたらトウマが嫌そうな顔をしていて、どうしたんだろうと思ったその手には詰め襟の制服の入った平たい箱。
「ロングジレは向こうのお披露目で着替えるから、これを着ていけってさ」
「……」
私とリーダーのもあった。今日は作業服でいいと言われていたのに、土壇場で駄目になったらしい。
共同談話室は空調が効いているし、今日の行き来は車を手配してくれている。領主館の会場も空調は大丈夫だから、見るだけでも暑そうな詰め襟の制服を着ても汗だくにはならないだろう。
箱の蓋をそっと開けて、そっと閉めた。行くときに着替えよう。
「ねぇトウマ、昨日聞き忘れたけど、トウマも私の成人の晴れ着をどこかから借りようとしてる? アビーさんも貸衣裳屋に連絡してたし、何着も着替えるのは、その、懐事情が、ね……」
「ん? ああ、親父ンところに連絡した」
トウマのお父様に? なぜ?
「屋敷に放置しているのがあるなら貸してくれるように言っといた」
「うへっ?」
ままままま待ってー! ヴィスランティ家のところのものをお借りできませんよー!
「親父ンところになくても、爺と婆にも聞いてくれるって言ってたから、今日会ったら聞いてみるさ」
「──!」
もっと待ってー! 侯爵家のヴィスファスト家のものをお借りするなんて恐れ多い!
「むむむむりむりむりむり」
「? なに慌ててんだよ。成人の晴れ着は何代にも渡って受け継ぐものじゃないし、貸衣裳屋に売っぱらいもせずに寝かせているなんてもったいないだけだ」
貸衣裳屋にある成人の晴れ着の一部は、貴族や裕福な商会の家で作ったものが売られたものが混じっている。誰かの晴れも多く祝って、着倒されてるほうが服のためだという考えで、代々受け継いで着せたいという奇特な家でない限り、早々に手放すんだそうだ。
「俺も仕立ててくれたんだが終わったらすぐに手放した。もう十年か。草臥れて役目は終わってるだろうなあ」
「そういうものなの?」
「他のところじゃ違うかもしれないが、シャーヤランの貸衣裳にある『下げ渡し品』は着倒されることが誉れなんだよ」
トウマは下げ渡し品という言い方は好きじゃないがと言いつつも、屋敷で寝かせているくらいなら着られたほうがいいじゃないかという。
貴族や裕福な家から貸衣裳屋に売られた服が沢山の人に着てもらえるほうがいいという考えは私の故郷シシダにはなかった。シシダのあの周辺は貴族がいないから、そういう文化や考えがなかったのかもしれない。
「本家でもさっさと売っぱらってるかもしれないから、あまり期待はしないでくれ」
「いや、うん、なくても、うん、ぜんぜん、ぜんぜん、大丈夫。自分でも貸衣裳屋に連絡してみるよ。本当にありがとう」
「アビーとブッキングしないようにな。こっちは貸衣裳じゃないから、使わないなら使わないでいいからな」
「ありがとう!」
私が成人の晴れ着で撮っていないことが、こんなにまわりを驚かせることになるとは思わなかった。
シシダでは成人の晴れ着は絶対やるという感じがないことを言う隙間がまったくない。実は兄の成人の晴れ着を見てない。だいたい両親から催促もない。我が家だけおかしいのだろうか? 兄も晴れ着で撮ったのだろうか? 自分の目処がついてから聞いてみよう。
リーダーと一緒にカモダさんや管理所と警備隊の制服を仕立てている職人さんたちがぞろぞろやってきて、制服に着替えなければならない時間が来てしまった。
今日はそこまで汗対策のバッチリ化粧をしなくていい。薄くファンデーションを塗って、眉だけ少し描き足す。私の顔を見て、リーダーもトウマもカモダさんも何も言わないから、よし、これで終わり。
詰め襟の制服は式典デビューの際に試着したけれど、首のまわりがどうにも慣れない。着替えてみたら前に着たものと生地が違う?
「リリカさんのはとにかく通気性をよくすることに振り切って作ったので生地が薄いものです。ただ、この生地だとワッペンで制作できる略綬は胸に装着できても、メダル型のロゼットなどを装着すると重みで生地に皺が寄ってしまいますし、バッジタイプだと針穴で生地が破けやすく。なので普段使いでどうか、生地で却下か……と迷った試作品です」
リーダーとトウマが着る詰め襟もそれぞれ違った試作品だった。いったい幾つをプレゼンする気なんだろう。
シャーヤランの暑さを加味して他の管理所からも提案された試作品もあると聞いている。陸軍と空軍からも提案があると聞いている。何度か話があった中で海軍の名称が出てこなかったけれど結局は国軍として検討はしているんだろう。
そもそも管理所や軍の制服のことを領主会合の議題として取り上げるのは異質で、軍の何らかの会議体で議論すべき内容なのだ。ただ、真夏にあった式典のときに陛下らがシャーヤランのド派手シャツを着たことの余波は大きく、暑い場所で暑苦しい服はないだろうと思う領主は多くいたようだ。その流れで今回の領主会合の議題の時間をやりくりして、陛下と王弟殿下もおられるということで、制服の試作品を見る時間が組まれた。
制服の試作品を着る役目は所長や上層部、庶務の職員でもよかっただろうし、なんなら王族警備隊の方々でもよかったと思う。なのに、ロングジレタイプの制服が妖獣の相棒のものという先入観があるためなのか、その試作品もあるとしてモデル役が私たちになった。
試作品のモデル役は、他領の領主に同行してきた妖獣の相棒の五人を含めて総勢八名。男性五人、女性三人と聞いている。なぜ私たちがの思いはきっと同じだと思う。
カモダさんと仕立て職人さんたちが試行錯誤で断念した失敗作や変更提案用の生地なども持って行くのでなかなかの荷物量。何回着替えることになるのか。出発前からだいぶ意識が遠いところに旅立ってしまった。
領主館までの行き帰りは大型旅客輸送車で内側カーテン付き。人目がないって素晴らしい!
車に乗り込む直前にメイリンさんが見送りに来てくれて、乗り込むときに「お尻よ! お尻!」と何度も言われた。
私は姿勢を正すよう、お尻を締めて背筋を伸ばすことを耳が痛くなるほど注意されている。私とメイリンさんの会話が聞こえたリーダーやトウマは疑問の顔だったが、私の姿勢に対する指導だとわかって苦笑された。
領主館に着いてからは緊張の連続。各地の領主は侯爵位または伯爵位を賜っている貴族ばかり。
ふわあぁと大あくびしているトウマの姿に、お願いだからシャンとして! と心の中で思ったけれど、車から降りたトウマは詰め襟の制服を着ていることもあって、めちゃくちゃかっこいい軍人に見えた。これが育ちの差か。オンオフの切り替えがすごすぎる。それはリーダーも同様で、この二人と並びたくない。
私は、尻を締める、尻を締めると頭の中で念じ続けた。
大きな部屋にいくつもの衝立で着替えるスペースが作ってあり、そこにモデル役は集められた。みんな妖獣の相棒という立場だけで勝手に親近感があり、すぐに軽い会話ができた。緊張していたけれど少しリラックスできたと思う。
制服の着替えだけなのに、一人一人に侯爵家の使用人が一人つく。こういうのが慣れない。チラリと見たらリーダーとトウマは人がつくことを当たり前に受け入れていて、ほかにモデル役の二人が平然と受け入れていた。育ちの差なのか慣れなのか。
私には侯爵夫人の侍女さんがついてくれて、何度かお会いしているので知った顔にホッとする。
「アビー様とペニンダ様からご体調のことはお聞きしています。どのようなときでもお声がけください」
「ありがとうございます」
アビーさん、感謝です!
生理二日目の今日はそこまで痛みは酷くはない。出発前に鎮痛剤は服用してきたけれど、昼の歓談会前に念のため服用したいことを伝えた。
そして流れるように化粧を整えられた。鏡を見たけれど、何がどう変わったのかわからない。何が駄目だったでしょうか……。
試作品の制服のお披露目は思った以上に白熱した。おもに仕立てる職人さんたちが。
陸海空のそれぞれの軍からも裁縫師さんと呼ばれる方々が試作品や失敗作を持ってきていて、私たちは着せ替え人形。
試作品に着替えたのに白熱する議論で放置される私たち……を何度か繰り返した。
今の制服の生地は特殊加工が施されていて、刃物が通りにくい。安全性は高いが重さも厚さもある。怪我などを防護する意味合いで薄着の危険性を指摘されるが、一方で熱中症と隣合わせも危険。寒冷地ではよくてもシャーヤランのような暑い地域で常に着るのは、怪我以上に体調不良を起こしかねない。
シャーヤランという地域性以外に、比較的気侯の落ち着いた場所でも室内などで延々と着てるだけでも暑い。確実に防護服として着なければならない場面を除き、普段もずっと着るには、暑くて重くてしんどくなる。
詰め襟タイプの制服が一番スタンダード。生地のこともあるので、なにをどうしてもシャーヤランでは暑すぎる。言葉が汚くなるが本気でクソ暑い。
半袖にしたら駄目ですか? 詰め襟である必要はありますか? という部分的なパーツの変更案も出た。
詰め襟なのに詰め襟をなくすとは? と疑問符になる言葉も聞こえてきたけど、変なことを言って議論に巻き込まれたくはない。しっかり口は噤んだ。
詰め襟をやめることにはならないだろうという保守的な意見もあれば、大胆に改革をと言って斬新なアイデアが提案に出てきたり。
ロングジレタイプの制服はもはや妖獣の相棒専用と化していて作る数が少ない。他の制服と統一し、ロングジレタイプは製造終了としては駄目なのかという意見も出た。
制服の種類が多いと作るのも管理も面倒。そうだと思う。
もしも戦場に赴かねばならない場合はこれらの制服ではなく戦闘服がある。そちらはこんなにクソ暑くないというのは、陸軍にいた王族警備隊の方と王弟殿下の言葉。ロングジレタイプが妖獣の相棒用になっているというが、詰め襟も結局は式典向けと言える。ならば全体的に見直す必要はあるんじゃないか──。
映像通信で繋いでの参加となった軍の基地長や他地域の管理所の所長らも交え、喧々諤々な議論に発展した。
軍服を着たことがない領主の方々が興味津々で現行の制服を着てみて、その重たさと外に出てクソ暑さを実体験し、よく着ていられるなと王族警備隊を尊敬の眼差しで見ていた。あまりにも暑い場合は、服の下に小さな扇風機の魔導具を仕込んでいるんだって。それでもやっぱり暑いからね。
軍の制服は国政事案。領政ではない内容なので、この場は公式だけど非公式で国政への提案議題。最終的に仕立てる方々ががっちり握手して仲良くなっていたのはいいことだと思う。領主会合の議事録としては、全軍総司令官の王弟殿下の下で改善していくことだけが決定事項となった。
その後の歓談しながらの昼食会は事前に聞いていたとおり緑連豆メニューが中心でマナーに困るものはなかった。陛下や領主皆様も緑連豆メニューの噂は聞いていたので食べたかったらしい。
リーダーとトウマは領主や領主補佐官などに囲まれる席だったけれど、私の着席したテーブルは制服の試着のモデル役だった方々や領主の付き添いの方々だった。誰かが根回してくれたに違いない。
メイリンさんに何度も昼食時に臨時マナー講座をしていただいたことに感謝しながら食べた。
食事よりデザートに興味津々の声が多く聞こえたのは、これまで緑連豆を甘味にしようと思わなかった固定観念だろうか。黒石豆や白長豆を煮詰めて甘くする料理や甘味はあるのに、豆の種類が違うだけで作らない、ある種の思い込み。
そんなことを思った私も何かに対して固定観念で気づけていないことも多々あるんだろう。いろんな方向から物事を見ていけるように頑張ろう。
妖獣がチビに会ってみたいから連れて行けとごねられた人もいた。真夏のピークのときもそんなことを言っている妖獣がいて、人だけでなく妖獣すら呼び寄せるチビ。大きいだけで人気者。
「報道映像で見てわかっていましたが、実際に昨日のパレードで見たら本当に大きいですね」
「でも名前はチビなんです」
「ははははっ」
私が緑連豆メニューの開発に関わっている話も伝わっていたようで、その話題も多く挙がった。故郷で黒石豆を煮詰めて作る黒餅団子と同じように作ってみたら、ここまで大きな話になったと嘘ではないことを言えば、話しは転がってシシダにある大山脈の話になったり、山の話から一転して海の話しをお聞きしたり、食事会は和やかに済んだ。リラックスして挑めたと思う。
食事会も終わり、帰る準備が整うまで休んでいていいという部屋に案内されたら、身内ばかりになったことに安堵してヘロヘロと椅子に座り込んでしまった。着替えて食べただけなのにどっと押し寄せる疲労感。
「ふふふ、お疲れさま」
「! ご、ご無沙汰しております!」
食事会では遠いお席におられた侯爵夫人。午後も領主会合のなにかの議題でスケジュールはみっちりのようだが、しばしの休憩らしい。
私は条件反射のようにぴょんと立ち上がったけれど、りーだー、トウマ以外のカモダさんや仕立て職人さんたちはゆるゆるとしていて、マナーのオンオフの使い分けがわからない!
「リリカさんの成人の晴れ着に使えそうなのがあったわ。いつでも屋敷で見て頂戴」
「お! よかったな」
「あ、あっ、あり、ありがとうございます!」
「使う使わないは別として、そうね、トウマに貸衣裳屋に売る手筈もお願いしようかしら。懐に入れていいわよ?」
「遠慮なく頂戴します」
うわぁ、本当にトウマと侯爵夫人との関係はお祖母様と孫なんだ。
酷く畏まっていないのに侯爵夫人と接するトウマはちゃんと貴族子息。ボサボサ頭に半裸でくたーっとしている姿ばかり見ているので、誰この人? という感じがする。
侯爵夫人は領主会合の対応でお忙しくされているので、ご自身は見て確認されておられないが、ついてきた侍女さんが誰々のものだったと補足され、トウマと侯爵夫人の会話は続いている。幾つかお名前が出てきたけれど、侯爵家のどなたのことなのかわからないので、聞いているようでぜんぶ頭の上を滑っていく。
「そうだわ! なんなら屋敷で撮ったらどう? 私の孫になるかもしれないのだもの。ねえ?」
「ぷへ!?」
急に侯爵夫人に柔らかな笑顔を受けられ、かけられた言葉に物凄く変な声が出た。
トウマと私がお付き合いしていると、なぜ知っ……ていてもおかしくないよね、そうだよね。
みんな肩を震わせて笑わないでください。
侯爵夫人はこのことを言うために立ち寄ってくれたようだ。カモダさんや仕立て職人の方々と服のことを少し話して退室された。
侯爵夫人についてきた侍女さんが少し残って、侯爵夫人はいつでもいいと言ったが、領主会合が終わった翌々日以降がよいと言われた。領主会合とあわせてヴィスファスト家としての私的な食事会などもあるので、それらが終わってからがいいだろうという。
どう考えたって落ち着いたら訪問するのがいい。
侍女さんのいう日以降でトウマと私が休みを合わせていくことにした。
領主館に来るときは山のように試作品の制服を持ってきたけれど、ぜんぶ王弟殿下のところに集められたので帰りの荷物は物凄く少ない。
帰りの車の中はカモダさんと仕立て職人さんたちが大盛りあがりだった。王族警備隊の方々はカモダさんたちがシャーヤランチームのプレゼンした試作品と、空軍の裁縫師さんがプレゼンした試作品のどちらかがいいと言っていたことや、試作品はなかったけれど他の管理所から提案されたラフ画を服に仕立ててみたいなど、服が好きなんだなぁと聞いた。
アビーさんにトウマ経由で侯爵家にある晴れ着をお借りできるかも知れないことをメッセージで連絡したら、少しして「貸衣裳屋はいいやつの空きがない! 侯爵家のものを借りられるなら借りたほうがいい!」と返ってきた。
成人の晴れ着の伝統衣裳は少々暑い。なので、シャーヤランは秋冬に集中しがちになるのは二年前に予約を取ったときに思い知ったが、だけどキャンセルが出ることはある。そこまで予約いっぱいになるかな?
「アビーの求める基準の貸衣裳が確保できないってことじゃないか?」
「その可能性はあるだろうな」
トウマとリーダーの予想があっている気がする。
アビー様、女神様、おねえさま! あちこち聞いてくれているようなので、何かお礼をしなければ!
管理所に着く直前、トウマの通信端末に侯爵家の屋敷で見つけてくれた晴れ着の写真が送られてきた。
「おー、これ、売ってなかったのか」
「伝統の中の伝統の晴れ着があるじゃないか。これだけでも借りたらいいんじゃないか? こっちのは、ははは! なかなか遊んでるな」
トウマに大きい通信端末に表示してもらって見せてもらったら三着もあった。リーダーが遊んでいると言うその一つは異様に豪華に見える。
「おや? 私の若気の至りの仕立てをまだお持ちとは」
え? この豪華絢爛な晴れ着はカモダさん作なの?
「せっかくですから沢山の人に着てほしいですね。ぜひよろしくお願いしますね」
こ、断りきれないー!
お読みいただき、ありがとうございます。
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(2025年4月4日時点)引き続き、家族介護看病の事情で更新の間隔が空いてしまう可能性があります。更新頻度が落ちてしまったら本当に申し訳ないですが、頑張って書いていきますので、引き続きよろしくお願いします!