シンデレラと殺人鬼1
「おはようございますクロエメイド長!今日もシンデレラ頑張りますので!よろしくお願いします!」
「お、おう……朝っぱらからお元気ですねお嬢様」
「はい!」
この人はクロエメイド長!長くこの屋敷にいるメイドで、お姉様やお母様のお世話以外にも使用人たちに指示を出したりするのが仕事。
「それじゃあ、お嬢様はロビーのお掃除お願いしますね。ロビーが終わったら廊下の方のお掃除もお願いします」
「はい!」
元気いっぱいにそう返事をして、早速バケツと雑巾とモップを持って掃除に取り掛かる。
まずは井戸で水を汲んで、そのままロビーに直行!
さぁ!今日も掃除頑張るぞー!
「あら見て、お嬢様また掃除をされているわ?」
「ぷふっ、貴族令嬢なのに惨めだこと。ねぇ、ちょっとからかってやりましょうよ」
そうして二人のメイドがロビーの床を雑巾掛けするシンデレラの方に歩み寄ってきた。
「今日も朝早くから大変でございますねぇ〜お嬢様」
「あら、ラティーナにレゼ!もしかしてお手伝いしにきたの?」
「いえいえ、私共も他にやる事があるので。ラティーナ」
すると、ラティーナと呼ばれたメイドが持っていた調理用の油が入った瓶をひっくり返しロビーの床に油をドポドポと垂らした。
「えっ?えぇ!?何で油を!?」
「あら、ご存知ありませんか?油を使えばもっと床が綺麗になるんですのよ?それじゃあ、掃除頑張ってくださいねぇ〜」
「きゃはは!」
瓶の中の全ての油を床に垂らした後、ラティーナとレゼはその場から立ち去っていった。
へぇ〜、油にそんな使い道があったなんて……
私がいた現代で言うところのワックスってところなのかしら?
それなら、この油を使って床をピカピカにしよう!
あの二人には後でお礼を言わなきゃね。
それから私は、油を使ってロビーの床を綺麗に掃除した。
あ、ちなみに油を使う際には雑巾ではなくモップを使っているよ!
雑巾なんかでやったら手がテッカテカになっちゃうからね!
「お掃除♪お掃除♪ルンルルーン♪床を油でピッカピカー♪うふふっ♪」
そして、ロビーはあっという間にピッカピカになった。
ふぅ、今まで以上の最高の仕上がりなんじゃないの?
これならいつでもお客様が来ても恥ずかしくない!
ロビーはこれぐらいにして、次は廊下のお掃除ね!
あ、ちなみに廊下に油は使わないわよ?だって廊下は人がよく通るし、滑ったら危ないしゃない!
そして私は、ロビーを出て廊下のお掃除に取り掛かった。
「ねぇ聞いた?街でまた女の人が殺されたって…」
「えっ!?またなの!?これで5人目よ?」
廊下を雑巾掛けしていると、メイドがまた殺人事件の事について話していた。
最近、街で連続女性殺害事件が多発していて、確たる証拠も手掛かりも何もなく犯人は未だに捕まっていない。
結構物騒になったな〜。
まぁ、私はお屋敷から出れないから関係ないんだけど。
とっ、そんなことより掃除掃除!
「きゃあああ!!」
「メリッサ!?どうしたの!?きゃああ!!」
「ん?何事?」
ロビーの方からお母様とお姉様の叫び声が聞こえた。
ロビーの方へ行ってみると、床に倒れたお姉様とお母様の姿があった。
何やってんだろう?
「いった〜い……!なんなのよ〜!」
「これは…油!?誰なの!?ロビーの床に油なんかまいたのは!」
「奥様!お嬢様!大丈夫ですか!?きゃああ!!」
倒れたお母様とお姉様のもとに駆けつけようとしたメイドは先程ピカピカに綺麗にした床に足を踏み入れた瞬間、ツルッと足を滑らせ、まるでアイスホッケーのボールのように滑っていった。
…あっ!しまった!
ロビーの床は油で綺麗にしたので気をつけるように言い忘れてた!!
すると、私の姿を見つけたお姉様が鋭い目つきで私を睨みつけた。
「シンデレラ!!あんたの仕業でしょ!!」
「ひぃ!!」
お姉様が顔を真っ赤にして金切り声でそう怒鳴り散らした。
そんなお姉様に続き、お母様も私を睨みつけ怒鳴り始めた。
「シンデレラァ!!アンタが油を撒いたのねェ!?こんなことしてタダですむとでも思っているの!?」
うわぁ……めちゃくちゃ怒ってる〜!
とにかく謝らないと!
「ご、ごめんなさぁぁいいい!?!?」
お母様とお姉様に謝ろうと早足で歩み寄ろうとしたら、私まで床を滑ってしまい、お母様とお姉様の方へと勢いよく突っ込んでしまった。
「「きゃあああ」」ドーン!!
ロゼリア・ファリスティ
「シンデレラの継母で、平民と貴族の間から産まれたシンデレラをいじめている。赤色のドレスを着ていて、黒髪で大きな団子状の髪型をしている。目は細長いキツネ目で目つきが悪いとよく言われている」
メリッサ・ファリスティ
「ロゼリアの連れ子でシンデレラの義理の姉。イケメンが大好きな面食いで、美しい女が大嫌い。黒髪のツインテールで母親譲りのキツネ目。ピンク色の豪華なドレスを着ている」