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カーナビの女2

 俺の名は新大久保次郎。


 どこからどこまでが苗字で名前かわかりにくいとよく言われる。


 そんな俺の友人である代々木大作が、G県でいい思いをしたらしい。


 ヒッチハイクをしていた若い女性にいきなりキスされたのだそうだ。


 展開を説明してくれたのだが、どうも要領を得ない。


 奴は片思いをしてしまったようだ。


 その女性を忘れられず、仕事でG県に行くと、出会った辺りを探してしまうらしい。


 バカだな、全く。


 もしその話が本当なら、その女は間違いなくおかしい。


 すぐにでも入院させた方がいいと思う。


 でも多分、代々木の妄想だから、あまり考えても仕方がない。




 そんなある日、偶然にも俺はG県に仕事で行く事になった。


 行けば行ったで、代々木の話が気になる。


 探す事はなかったが、本当にいるなら面白いな、と思いながら車を走らせた。


 そして、国道十七号線をS県方面に移動中の時だった。


「あれ?」


 歩道に立っている若い女性。


 よく見ると、代々木が言っていた女に似ている。


 こんな偶然があるのだろうか?


 俺は興味本位で車を止めた。


「この先にある斎場へ行きたいので、乗せて行って下さいませんか?」


 女性は一見全く普通に見えた。


「いいですよ」


 俺はもしかして、という期待を抱きながら、その女を助手席に乗せた。


「コースを、選択、して、下さい」


 来た! 間違いない。カーナビ女だ!


「一般道優先で」


「了解、しました」


 俺は車をスタートさせた。


「この先、百メートルを、左折、して、下さい」


「はいはい」


 俺はついにやけながら、応じた。


「この先、五十メートルを、右折、して、下さい」


「了解」


 俺はもう笑いを堪えるのに必死だった。


 何て愉快な女だ。しばらくドライブしたいな。


 そう思って、俺は指示に従わず、そのまま真っ直ぐ走った。


「コースを、はずれて、います」


 女はそれでも慌てた様子もなく、カーナビ口調で言った。


「え、そう? ごめんね。もう一度、検索してよ」


「再検索、します」


 女は言った。面白すぎるぞ、こいつ。


「この先、百メートルを、左折、して、下さい」


「はいはい」


 俺は取り敢えず指示通りにした。


 確かこの先にはラブホがあったはず。


 間違えたフリして、そこに入るか。


 おかしい女だが、奇麗だし、スタイルも良さそうだ。


 俺の中の悪魔は、戦闘態勢に入っていた。


「この先、百メートル、目的地です」


「え?」


 俺はギクッとした。そこ、ラブホだぞ……。


 こいつ、誘ってるのか?


 それならそれで、大助かりだ。


「はいはい」


 俺はラブホの駐車場に車を乗り入れた。


「到着、です」


 女はそう言うと俺の方を見た。


「うん?」


 もしかして、いきなりキスか?


 俺はドキドキして待った。


「検索、失敗、です」


 女はそう言うと、俺の顔面に右フックをぶち込んで来た。


「グヘッ!」


 俺はそのままハンドルに頭をぶつけ、気を失ってしまった。


 下心丸出しはいけない。


 そう思った。

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