第3話
「ブラッケン公爵。あなたは爵位を笠に着て、先触れも出さずに押しかけました。その無礼を理由に面会を拒否されたあなたは執事たちを恫喝して押し込み応接室を占拠し居座っております」
「違う、私はアーシャを」
「いい加減に馴れ馴れしく名前を呼ぶのは止めてください! 私が目覚めないかもしれないことを理由に婚約は破棄されました。今の私たちは一切無関係! にも関わらず、図々しく療養する私の前に現れて! 私の身体を気遣うセリフでも口にするのかと思えばそれもなく。あなたがここにきて言ったのは自己正当化する内容だけです」
表情が固まり声を失ったのか口を開閉させるだけだ。
「ブラッケン公爵、すでに娘との婚約を白紙ではなく破棄に持ち込み我が家と無関係となったあなたがなぜここに?」
「なっ! なぜレイフォード侯爵がここに!?」
「何故も何も、ここは妻の所有する別荘のひとつです。そして私たちが健康を害した愛娘をひとりで療養に送り出すと思いましたか?」
突然現れた父の姿にフランソワ様は驚愕した表情をみせたあと私を睨む。
両親と共にここへ来たことを告げなかったことを恨んでのことでしょうか。
その一瞬で我が家の使用人たちが動き、フランソワ様を取り押さえた。