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14返信

 結婚式は連絡があった日から、ちょうど二か月後に行われることになっていた。今が2月の終わりなので、結婚式はGWゴールデンウィークの最初の土曜日だということだ。


 紅葉との通話を終えた楓子は、ベッドでごろごろしていた。しかし、数分後には起き上がり、ベッドわきのスマホを拾い上げ、美耶に結婚式に参加する旨を返信した。


『結婚おめでとう!結婚式は弟の紅葉と一緒に参加します』


『ありがとう。当日は会えるのを楽しみにしているよ』


 美耶からはすぐに返信がきた。美耶の名前がスマホに表示されて、つい反射的に身構えてしまう。恐る恐る内容を確認するが、そこには簡単な言葉が並べられているだけだった。数分待っても、それ以上のメッセージは届かない。


(いったい、美耶はどんな気持ちで私のメッセージを見ているの?)


 こんな簡素なメッセージを送りながらも、内心は楓子からの返信に喜んでいるのだろうか。楓子はスマホを見つめながら、美耶の様子を想像する。想像しながらも、スマホにメッセージを入力する。


『こちらこそ、私も久しぶりに美耶に会えるのを楽しみにしているよ』


 楓子は返信を終えると、ベッドから下りてスマホをテーブルの上に裏返しに置いた。ベッドわきに置かれた目覚まし時計を見ると、14時を過ぎていた。夕食の材料がないことを思い出した楓子は急いで出かける用意を始める。


(こんな形だけど、友達の結婚式に参加するの、美耶が初めてだ)


 楓子の周りで結婚した人間はまだいないため、結婚式に参加するのは美耶が初めてだ。化粧をしながら、楓子は結婚式に必要なものを考える。当日に着ていく服や髪型、靴にカバン、ご祝儀の値段など、考えることはたくさんある。


 早くも楓子の頭の中ではやることリストが出来上がっている。


「そういえば、どこでやるのか見てなかった」


 結婚式に参加するのは良いが、どこでやるのだろうか。結婚式という文字に浮かれて、肝心の結婚式場を見落としていた。楓子は洗面所から移動して自室からスマホを持ち出し、っ美耶から来たメッセージを再確認する。


『場所は○○結婚式会場』


 声に出してみるが、聞き覚えのない場所だった。楓子はメッセージに記載されたURLにアクセスして式場の住所や雰囲気を見ていく。


「私の家からは意外と近いかも」


 大学を卒業して楓子と美耶は別々の場所で働くことになったが、式場は楓子の住んでいる場所から結構近かった。反対に美耶の住んでいる場所からだとかなりの距離がある。相手の実家に近い場所を選んだのかもしれない。


(いったい、どんな相手と結婚したんだろう)


 楓子のことが好きだと言っていたのに、あっさりとほかの男と結婚することに決めた親友。男性が苦手だと言っていたのに、克服したのだろうか。楓子への思いは断ち切れたのだろうか。


 弟と電話の最中に考えていたことがまた頭の中に浮かんでくる。


「とりあえず、買い物に行って今日の夕飯の材料を買わなくちゃ」


 いつまでも美耶のことを考えていても仕方ない。楓子は自分の頬を軽くたたいて気持ちを切り替える。


 家用の黒のスウェットの上下から外出用の服装に着替える。近くのスーパーに歩いていくだけなのでおしゃれする必要はない。白黒のボーダーの長袖Tシャツに灰色のパーカー、ジーンズというラフな格好で美耶は買い物に出かけた。

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