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すべての人の心に花を-40
ものの十分もしないうちに、全ての男達を叩きのめした朝夢見と仙貴は、さっきまで偉そうにしていた絆創膏の男の前に立って見下ろした。仙貴が男の胸ぐらを掴み上げ、
「誰に、頼まれた?」と訊ねた。すると、男は震えながら、矢島さん、と小さく答えた。仙貴は、朝夢見の顔を見て確認すると、男を打ち捨てた。
「とっとと帰んな」
仙貴の言葉に、男連中は、よろよろと立ち去った。
ふん、と鼻息荒く見送ると、仙貴と朝夢見は、しのぶに振り返った。しのぶは、怖がるよりも、ただ呆れて、二人を見てた。それに気づいた二人は、
「どうしたの?」と訊ねた。
「だって…、強いんだもん」
「あんなもんでしょ。ね」
「まぁ、チンピラだし、俺たちのことなめてるから、刃物も出さなかったし、楽なもんだな」
「で、でも、あんなにいたのよ」
「あのくらいなら、一人でも大丈夫よ」
「ん。そうだな」
「それより、しのぶちゃん、大丈夫」
「あ…、うん」
「じゃあ、戻ろうか」
「そうだな」
「え?どこへ?」
「学校。由起子先生に報告しておいた方がいいわ」
「う、うん」
三人はまた学校に戻り始めた。楽しそうな仙貴と朝夢見と裏腹に、しのぶは、いま見た鬼神のような二人の戦いに気を取られて、上の空で歩いていた。




