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すべての人の心に花を-32


          *


 恐る恐る外の気配を伺いながら校門を出るしのぶを見ながら、きょとんとしている仙貴だった。

「ナニしてるの?」

仙貴の言葉にしのぶは真剣な表情で応えた。

「だって、また、あいつらが来てるかもしれないもん」

その台詞はともかく、その時の仕草に、仙貴は笑いを隠せなかった。しのぶはそれを察して、怒るように言った。

「どうして、笑うのよ」

「だって…、なんか変だよ、君の行動は」

「でもね、あいつらが来てるかもしれないのよ」

「来てても来てなくても、そんなコソ泥みたいな行動はやめといたほうがいいよ。変だよ」

そこまで言われてしのぶも赤くなってしまった。

「変…かな?」

「変だよ」

仙貴はニコニコしながら応えた。そんなおおらかな仙貴にしのぶも落ち着きを取り戻すことができた。

「ん…。わかった」

「うん。いい子だ」

仙貴はしっかりとそう言い放った。

「大丈夫だよ。相手がどんなやつでも、由起子先生に頼まれた以上、必ず、守ってあげるから」

真っ正面でそう言われたしのぶは、顔が火照ってくるのを感じながら、こくりと頷いた。仙貴はそんなしのぶの仕草を見て頷き返した。

 何を話すでもなく仙貴はしのぶに付き添って歩いてくれた。初めは恐る恐るだったしのぶも次第に安心して、気さくに仙貴に話し掛けることができた。仙貴は、言葉数は少なかったが、しのぶの言葉に確かに反応してくれて、しのぶは安心できた。学校から由起子のマンションまでのわずかな距離の間に、しのぶはすっかり仙貴のことが信用できるようになった。

 「じゃあ、これで」

マンションの扉を開いて中に入ろうとしたしのぶを見て、仙貴がそう言って帰ろうとしたとき、思わず、

「ちょっと、寄っていってよ」と呼び止めてしまった。呼び止めて、呼び止めた自分に驚いてしまった。驚いて、照れてしまい、俯いてしまったが、もう後には引けなかった。

「ね、送ってもらった、お礼に、お茶でも入れるから」

少し上目遣いに様子を伺うと、仙貴はにんまりと微笑んでいた。

「ん。ありがと。でも、いいよ。せっかくだけど。じゃ、また明日」

仙貴は小さく手を振りながらそう言った。しのぶはそう言う仙貴につられるように小さく手を振って、ぼんやりと、見送った。


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