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すべての人の心に花を-31

 立ち去る車を見送って振り返った朝夢見はいつもの朝夢見だった。三人は、その朝夢見の表情にほっとして、安堵の様子を見せた。それとは対照的に、朝夢見はきょとんとして、三人を見た。

「どうしたの?」

「どうしたの、って、ねぇ」

「ん。あゆみさんって、つよいのね」

「すごいすごい」

「そう?なにが?」

「何がって、あんなに強いなんて」

「あたし、前にも見たよ」

「まゆみちゃんは、前は、ヤンキーにからまれたときに、ちょっと」

「…でも、助かった…」

「しのぶちゃん……」

 安堵の表情を浮かべながらその場にへたり込むしのぶを見ながら、朝夢見は驚きを隠せなかった。まゆみと和美がしのぶを宥めている。そんな光景を目にして、朝夢見は意を決した。

「しのぶちゃん。由起子先生のところに行こう」

「え?」

「ちゃんと、話しておこう。きっと、あいつら、また、来るよ」

「…ぅん」

しのぶは言われるままに頷いた。


        *


 朝夢見の話をひと通り聞くと、由起子は頷きながら答えた。

「仕方ないわね。朝夢見ちゃん、悪いけど、しのぶちゃんのボディガード頼めない?」

「あたしはいいけど…。あたしも、バイトあるから、その日はできないよ」

「ん、そうね。…どうしよう……。あ、そうね、仙貴せんき君にも頼もうか」

「仙貴?そりゃ、仙貴ならいいけど、頼まれてくれるかな?」

「まぁ、あの子は、バイトは朝だけだから、時間は大丈夫なんだけど。あとは、しのぶちゃんの面倒見てくれるか、ってとこね」

「…あたし」

「あ、心配しなくてもいいわ。仙貴君なら、朝夢見ちゃんと同じくらい強いから、相手がヤクザでも大丈夫よ」

「…でも……」

「ん、あたしが一緒に帰れるときは、帰ってあげる。あとは、朝夢見ちゃんと仙貴君に頼む。それでとりあえずいきましょ」

「……ごめんなさい」

「いいのよ。まさか、そんなことしてくるとは思わなかったあたしもあたしなのよ。ありがとね、朝夢見ちゃん」

「あ、そんなこと別に」

「ま、今日は悪いけど、送って帰ってもらえない?あたし、もう少し仕事があるから」

「ん、じゃあ、そうします。ね、帰ろ、しのぶちゃん」

「…あ…あたし」

「いいから。気にしない」

「……ん。じゃあ、…お願いします」

「じゃあ、先生。帰ります」

「はい、お願いね」

 由起子は四人を見送ると、笑みを失った。席に着いて書類を覗き込みながらじっと考えた。隣の席の原武先生は、その横顔を見ながら、言葉を失ってしまった。いつか、遠い昔、見たことのある、険しい表情を由起子はしていた。由起子は、事務作業を進めながらも、その表情を崩すことはなかった。

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