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すべての人の心に花を-30

 しのぶはいきなり名指しで呼ばれて、身を隠すように朝夢見に寄り添った。

「なに、あんたたち」

朝夢見は気押されずに言い放ったが、男たちはにやにやとしたままだった。

「あんたじゃないよな、しのぶ、ちゃん、は?そっちの子だろ。な、出ておいで」

しのぶは身を竦めて、三人の陰に入るようにしていた。男たちは手招きをするように、しのぶを呼んだ。

「な、出ておいでよ。なに、ちょっと、あんたのお母さんに頼まれただけだよ。連れて帰ってきてくれって」

「嘘!」

「嘘じゃないよ。ホントだよ。じゃなきゃ、どうして、あんたの名前と顔を知ってるんだい?」

「どっちでもいいよ」朝夢見は言った。「あんたたちが、誘拐犯だって保証もないんだろ」

男たちは明らかにむっとした表情を向けた。

「なんだ、このガキィ」

 兄貴分の男は朝夢見の正面に立つと脅しを掛けるように怒鳴った。しかし、朝夢見は怯むことなく二人を見つめた。二人の男は、次第に近づいてくると、いきなり若い方の一人がしのぶの腕を取った。

「おい、来いよ。お母ちゃんが呼んでるんだよ」

必死で嫌がるしのぶの腕を掴んだまま引きずるように、若い男はしのぶを車に連れていった。それを止めようと身を乗り出した朝夢見の前に年長の男が立ちはだかった。

「邪魔なんだよ、ガキはぁ!」

 一喝して朝夢見を制しようとした男は、次の瞬間、朝夢見のパンチを喰らって、宙を舞った。弾き飛ばされた体は、そのまま止めてあった車にぶち当たり、跳ね返った。しん、とした雰囲気の中で、注目が朝夢見に集まった。しかし、朝夢見は平然としたまま、つかつかと若い男としのぶに近づいた。そして、しのぶの腕を掴んでいる男の手をねじ上げると、しのぶの腕から男の手を引き離し、しのぶを解放した。しのぶは逃げるようにまゆみと和美のもとに駆け寄った。朝夢見は男の手をねじ上げたまま、睨んだ。男は必死に逃げようとしたが、朝夢見の力の前に成す術がなかった。ただ、痛む腕を堪えながら、朝夢見の様子を伺っていた。朝夢見は、険しい表情のまま、男を見下すと、顎で倒れている男を差した。

「とっとと、連れて帰りな」

そう言って、男の腕を離した。男は、体面を保とうとしながらも、朝夢見の目に怯んで、慌てて倒れている兄貴分の男を担ぐと、車に乗せて、慌ただしく立ち去った。


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