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すべての人の心に花を-23

「仮編入っていうのは、変わった制度だけど、ごく簡単なことなの。例えば…、登校拒否の生徒とか、帰国子女の生徒で学校に馴染めない子、そういう子たちを積極的に受け入れる制度なの。そういう子たち自身には問題がないのに、学校生活ができない、学校に行くことともできなくなってる、そんな子たちを受け入れるための制度。わかる?自分に何も問題がないのに、学校に行けなくなってしまうのよ。そういう子たちは、本当は学校に行きたいの。本当は、みんなと仲良くなりたいの。だけど、それが、できない。そういう子たちを、受け入れる。そして、ちゃんと学校に行けるようにしてあげる。それが本当の学校だと思わない?

 いまのしのぶちゃんを見てると、しのぶちゃんは学校に行きたくないようには見えないわ。しのぶちゃんに、問題があるようにも見えない。悪い子には見えない。本当は、普通の学生でいたいのに、それができない、そんな風にあたしには見える。だって、朝夢見ちゃんたちと仲良くやってるもの。ちゃんと授業受けてるじゃない?本当に学校に行きたくないなら、あたしが学校に連れていっても逃げ出すし、誰とも仲良くなれないわ。でしょ?しのぶちゃんが、悪いことは何もないの。あなたを取り巻く環境が悪いの。だから、ね、もうわかるでしょ、あなたが一歩踏み出してくれれば、編入はできるの。ね、しのぶちゃん」

「……それって、…本当にできるの?」

うっ伏したまましのぶは訊ねた。

「その前に訊かなきゃならないわ。しのぶちゃん、こっち見て」

由起子に促されるようにしのぶはゆっくりと身を起こした。そしてゆっくりと顔を由起子に向けた。赤くなった目を、じっと由起子に向けた。それを見て、由起子はゆっくりと口を開いた。

「しのぶちゃん。もう家には帰らないの?」

しのぶはこくりと頷いた。由起子はそれを見て強く頷くと、続けた。

「家族と縁を切るつもりなの?」

驚くでもなくしのぶは由起子を見つめていた。そして、ゆっくりと、頷いた。由起子はそれを見て、訊ねた。

「後悔しない?」

しのぶはもう一度、こくり、と頷いた。由起子もそれを見て頷いた。

「そう…。覚悟ができてるなら、あたしが、間に入ってもいいわ。あたしが、話をつけてあげる。もし望むなら…、絶縁の手続きもしてあげる。あなたに、どんな辛いことにも耐えられる覚悟があるのなら、あなたは独りで生きなさい。

 住む所は用意してあげる。編入のチャンスもあげる。仕事も探してあげる」

しのぶは、静かに、力強く、頷いた。

「そう。じゃあ、話してくれる?あなたの、家のことを」

しのぶは、ためらわずに、頷いた。


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