すべての人の心に花を-18
―――こんな話どうでもいいわね。ね、しのぶちゃん。訊いていい?
―――ん…、…なに?
―――いますぐじゃなくてもいいわ。きっと、いつか、話してくれる、って約束して。
―――え…?
―――あたしのことが信用できたら、…信頼できるようになったら、話してくれる?
―――…なにを?
―――あなたの家のこと。それまでは、ずっとここにいてもいいし、学校の方も気にしなくていいわ。だけど、出席日数には換算されないから、進級できないかもね。
―――そんなのどうでもいい。あたし、ホントに、ここにいていいの?
―――ホントホント。でも、出て行きたいって言うかもね。
―――………あたし、わがまま、だよ。
―――あたしはこわいわよ。(両方の人差し指を頭に突き出して鬼のようなしぐさをする)
―――嘘。やさしいよ。
―――…いつか、しのぶちゃんが話してくれるまで、ここにいて。そしたら、後の事はその時考えましょう。家に帰るもよし、独りで暮らすもよし、それから、ここに居候するのもよし。
―――……ん。
―――いつか、話してくれる、わね。
―――…ぅん。
―――ホントね?
―――ぅん。
―――指切り。
―――え?……、うん!
*
由起子の指は長く、思いのほか太かった。でも、柔らかで暖かなその感触に、しのぶはほっとして、絡めた指を見つめた。その指の向こうには、いつものように微笑んでいる由起子の笑顔が見えた。




