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すべての人の心に花を-11


「先生ってさ…、由起子先生って呼ばれてるんだよね。苗字じゃなくて」

「そうよ」

「どうして?」

「ヘン?」

「ん。緑川先生、でもいいのに」

「どうしてかしら。みんなそう呼ぶわ」

「みんなに好かれてるのね」

「バカにされてるのかもよ」

「ないない。そんなこと、ない」

「どうして?」

「だって、今日、みんなと話しててわかったもん。先生、すごく好かれてるよ」

「そうかしら?」

「そうよ」

「なら、嬉しいけど」

ふふ、としのぶは笑みながら、由起子の笑顔を見つめた。明るい室内の暖かな雰囲気の中の心落ち着く時間に、昨日までのことを忘れてしまっていた。


          *


 朝夢見の部屋に入ってしのぶはぐるりと見回した。

「はぁ~、広いね」

「まぁね」

「ここで、独り?」

「うん」

 しのぶは朝夢見が独り暮らしだと聞いて、見せてくれと頼んだのだった。どうして独り暮らしなんだろう、という興味がしのぶを駆り立てた。それに、どんな暮らしをしているのだろうか、という興味も。身を乗り出すように頼むしのぶに驚くこともなく朝夢見は了承してくれた。バイトのない日だから、と、そのまましのぶを連れてきた。

「ね、ここで、家賃いくらくらいなの?」

「タダ」

「え?」

「タダ、なのよ」

「え、どうしてぇ?」

「そういうふうに、由起子先生がしてくれたの」

「ホント?」

「もちろん、一銭も払わなくていいって訳じゃないわ。いつか、あたしが、ちゃんと働けるようになったら、そこから払うっていうことになってるの」

「どうして、そんなこと…」

「由起子先生だから」

朝夢見はイスに腰掛けた。しのぶに、ベッドに腰掛けるように促しながら。

「どう話したらいいんだろう」

「どうして、タダなのかってことから」

「そうね…、それより、あたしの身寄りがないことから言わないと。


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