表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/47

すべての人の心に花を-10


 二人は帰る途中で店を回って、しのぶの服や雑貨を買い揃えた。まるで身内のように由起子はしのぶを連れ回した。初めは戸惑っていたしのぶも、由起子に振り回され、いつしか何の抵抗もなく話ができるようになった。夕食の荷物も持ちながら、マンションに帰ったときには、思わず、ただいま、と言ってしまった。はっとしたが、由起子は何も気にしていないようだった。それを察してしのぶもほっとした。

 夕食のシチューを口に入れ、笑顔を見せるしのぶに、由起子は、おいしい?、と問い掛けた。ん、とスプーンを食わえたまましのぶは頷いた。よかった、と応える由起子にしのぶは、そのまま笑顔になってしまった。

「どう?学校は?」

「ん。面白いよ」

「そう」

「和美さんも、あゆみさんもまゆみさんも優しくしてくれるし、他のみんなも、結構親切だよ」

「よかったわ」

「あれだね、ここのガッコって、なんかぁ、雰囲気が違うね」

「そう?」

「ん。うまく言えないけど、ぎすぎすしてない、っていうのかな、さっぱりしてる、感じだね」

「ふーん。変わった言い方ね」

「んー、他に言い方が思いつかない…から…」

「勉強は、どう?」

「はは、それは、全然ダメ。わかんない」

「そう」

「あたし、あんまり、ガッコ行ってないから」

「しのぶちゃん、何年生?」

「あ…、言ってなかったんだっけ。二年。だから、ちょうど、いいんだ」

「そうなの。あぁ、よかった。ちょっと、迷ったんだけどね、あたしのクラスに入れるの」

「…由起子先生、無理して…入れてくれたんじゃないの?」

「んん、そんなことないわよ。あたしのクラスの方が都合がよかったから、それだけ」

「…ホント?」

「ホントホント。だって、他の先生に頼めないわ、こんなこと」

「……そう…ね」

「まぁ、もうひとつ理由はあるんだけど…」

「なに?」

「別に、たいしたことじゃないのよ。心配しなくてもいいわ。…あのね、あたしのクラスには、あなたの面倒を見てくれそうな子がいた、それだけ」

「…あゆみさん?」

「そう。よくわかったわね」

「だって、初めに、あゆみさんに頼んだじゃない」

「そう、そうね。初めから、朝夢見ちゃんに頼みたかったの」

「どうして?」

「それは、そのうちわかるわ」

「…そう。いい人だよね、あゆみさんって」

「それだけじゃないのよ」

「…ふーん」

「そのうちわかるわ」

しのぶは由起子の顔を見ながら、手を進めた。ひと口シチューを食べて飲み込むと、思い出したように訊ねた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ