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93話
虎之助は自分の実力は浅沼には敵わないと察した。
(ど、どうする。アイツには攻撃が効かない)
(私の、全力で支援魔法をかけましたが、ダメです。)
二人は思念で話し合った。
「君たちの力では、まだ敵わないか」
低い声迷宮内を響き渡った。
「な、なんだこの声」
「君が悪い声ですね」
「不気味じゃの」
三人は不気味がっていた。
「ま、魔王様!!」
浅沼達に背を向け、魔王がいる門に膝まづいた。
浅沼達はさっきの声が魔王だとわかった。
「君たちに更なる力を与えよう」
そういうと、膝まづいている二人に黒い靄が覆い二人の苦痛の声が聞こえてきた。
しばらくして、苦痛の声が止み、黒い霧が晴れてきた。
目の前には二人いたはずだが、一人になっていた。
見た目は、黒いウロコに覆われ、身長が虎之助の二人分の大きさ、角は太く大きいのが頭に生え金色に輝き、右の手には大きな棍棒を持っていた。
さっきまで知性があり品のある人間だったのにも関わらず、今では合体して知性と理性は無いモンスターになっていた。




