偽彼
僕は目を覚ますと、もう昼の12時を回っていた。
「やっば!!寝過ぎた」
僕は布団をがっばと持ち上げ、上半身を起こした。
すると、味噌汁のいい匂いが漂っており、さらに炊き立てのご飯の匂いがした。
あれ、なんで
あたりを見渡すと、後ろ姿だがエプロンをかけ、髪型がポニーテールの女性がキッチンで料理をしていた。
僕は一時的に思考が停止していた。
「お、お前はだれだ!!人の家で料理をして!!」
「あ、起きましたか浅沼さん」
女性が僕の方を向くと、昨日助けた大きな盾を持っていた美奈さんがいた。
「美奈さん....人の家で何をしているんですかと言うか鍵を閉めていたはずなんですけど....」
「鍵空いていましたけど」
そう言われ、僕は扉の方に目をやると、ドアノブが破壊されていた。
破壊されていた扉を見て、驚きの声が出た。
「え!?」
「私は浅沼さんに恩返しをっと思い料理を作っているんです。もうすぐできるので布団を片付けて机を置いてください。」
「は、はい」
ものすごく自然な感じだったので、指示に従ってしまった。
「ピュウ」
クロおはよ〜はいご飯だよ〜昨日取れた魔石をお皿に移したあと、ご飯ができた。
「はい、お味噌汁とご飯と漬物とお魚です。」
美奈さんは机にお味噌汁とご飯と漬物とお魚を置き、美奈さんも大盛りご飯と味噌汁、漬物、お魚を置き自然な流れで一緒に食べた。
意外にも、ご飯の水加減、お魚の焼き加減、お味噌汁の濃さが最適でとてもおいしかった。
「あ、浅沼さんこのお漬物、私が漬けたんです〜」
「へえ〜」
僕はその大根の漬物を食べてみると、とてもご飯が進む味であった。
「うま!!」
「へへ〜料理には自信があるんですよ〜」
僕は食べ終わり、色々聞く事にした。
「ねえ、なんで居るんですか、家に帰るんじゃないんですか?」
っと僕は問いかけると美奈さんはなぜか照れながら答えた。
「はい、一回家に帰りました。でも、何故かそこには婚約相手の人が居たんです。婚約相手の人はゲスい目で私を見て『何をしていたんですか?心配しましたよ』っと近寄ってきたので私は自分の部屋に入り、お金など色々な必要となるものを持って『私には心に決めた男性がいるのであなたのような人と婚約はできません』っと一言残し家を飛び出たんです。」
「必要なものが、大きな盾も入っているのか....」
「はい、盾は私の相棒です」
僕は玄関に立てかけられている大きな盾を見て言うと、美奈さんは生き生きと答えた。
めっちゃ、男らしい回答だ。
僕は家では良くないと話を戻した、
「話せばわかるんじゃないのかな?」
「そんなはずありません、お父さんはお金のことしか考えないし、この婚約も契約のためだと思うんです。」
最近の令嬢は色々大変なんだな〜っと思い何故僕の場所がわかったのか気になった。
「あと、なんで僕の場所がわかったの」
「え、え〜と〜秘密です。」
美奈さんは僕の質問に目を泳がせ秘密と言い張った。
「そういえば、好きな男性とかいるのか〜青春だね〜」
「それは冗談です。」
「へ!?」
「そういえば、婚約相手の人も諦めるかなって」
「へえ〜」
僕はなるほど〜っと言う顔をしていると、美奈さんは何か言いにくそうな顔をしていた。
「あ、あの....浅沼さん私と偽彼氏になってください。」
「に、偽彼氏!?」
「はい、私はお父さんが決めた婚約者っと確実に縁を切りたいんです。」
「でも、『私には心に決めた男性がいるのであなたのような人と婚約はできません』って言ったんじゃないの?それで諦めてくれないの?」
「諦めてくれないでしょう....だって、あの人に幾度もデートのお誘いがきたけど全て断ったのに諦めないんですよ、そんな男が諦めるはずがないんです。だから、現実を見せるため信頼できて優しい浅沼さんに偽彼氏になって欲しいんです。」
「わ、わかったよ....」
「婚約者相手が断ってくれるまででいいですから」
僕たちは偽彼氏として、美奈さんの家に行く事になった。
急展開すぎじゃない!?
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