25話
僕は2回目のボス戦を迎えた。
ボスは変わらず大きな金棒を持ち、僕より大きな図体をしたオークが扉の先にいた。
僕は、あぬみんがくれた丈夫で切れ味のいい短剣を腰に付けている鞘から抜き、短剣を持った右腕を胸のあたりに寄せ構えた。
僕たち二人と一匹でオークに立ち向かおうとしている。
あぬみんは戦いとなると顔が真面目になるので頼り甲斐がある。
クロは羽が生えたので、あぬみんから気を逸らすためオークの顔辺りを飛んでもらうことにした。
「行きます」
「おう」
「ビュウ〜」
先に攻撃をしたのはあぬみんだった。
あぬみんはオークの顔目掛けファイアーボールを撃った。
オークはあぬみんが撃ったファイアーボールを太い腕でガードした。
「しぶとい」
「クロ!!」
「ビュウ!!」
あぬみんは一発ごとに杖の先端の魔石を取り替えるためインターバルが生じるのでそこでクロがあぬみんから気をそらすためオークの顔辺りをビュンビュンと飛んだ。
オークは単純でクロに気が入った、オークは金棒を持っていない左手を使い、クロを掴むような仕草をしていた。
だが、クロは飛ぶのが意外にも早く、オークの遅い攻撃ではクロは捕まらない。
「クロちゃん離れて」
「ビュウウ〜」
クロが離れると、あぬみんが二発目のファイアーボールを撃った。
オークはそれも太い腕でガードされた。
「浅沼も早く攻撃をやるのだ」
「お、おう....」
僕は扉の近くで棒立ちをしていた。そして僕はいつの間にか剣の構えもやめていた。
あの時の原因があの時の恐怖だった。
なんで足が動かないんだよ....
戦いに行こうと足を動かすと、あの時のオークの顔、死の恐怖が僕を襲って足が動かない。
僕は今の光景を唖然として見ているしかできなかった。
すると、クロも疲れたのかよく見ると最初の頃のスピードは出ていなかった。
オークはクロのスピードに気づいたのか一瞬遅くなる瞬間に左手でクロをつかみクロを壁の方に向けて放り投げた。
「ギュウウ」
「クロちゃん!!」
「クロ!!」
僕はクロとあぬみんがピンチになった瞬間でも、まだ足が動かなかった。
クソ!!クソ!!なんで、なんで動かないんだよ。
自分の太ももを殴っていた。
「浅沼!!早くこっちを援護をするのだ」
オークはあぬみんの方に向かっていた。
あぬみんが今現在、ピンチにもかかわらず僕は足が動かない。
あぬみんが僕の方を見ている。
ああ、呆れてるんだろうな....僕はそう思っていた瞬間、クロの声が聞こえた。
「ビュゥゥ、ビュウ!!、ビュウウウ!!」
クロは、壁にヒビが入る威力で放り投げられたのにもかかわらず、めげずオークに立ち向かおうと立とうとしていた。
「クロ....」
僕は不思議とクロの諦めない姿を見て僕はオークに向かう第一歩を踏み出せた。
そこから、僕は一気にオークに駆け寄った。
「オークゥウウウウ!!」
「浅沼」
あぬみんが援護でオークに向け、ファイアーボールを撃った。
オークは当然のように太い腕でガードをした。
僕はその一瞬を見逃さなかった。
オークが僕から目を離す一瞬を僕は見逃さない、オークとの間合いを詰めた。
オークは少し遅れ僕のことに気づき、右手の金棒を使い僕に攻撃をしようとしたが、僕は十分助走をつけ、飛びオークの心臓を突き刺す僕が早かった。
オークは僕に金棒を当てることなく消滅をした。
「よっしゃあああ!!」
僕は立ち尽くし喜んだ。




