チートな知恵
誰かに呼ばれている気がした。
そこで目が覚めた。長い夢を見ていたと思う。
俺はゆっくり上体を起こす。
俺は、広い部屋で、テレビとかでしか見たことがない立派なベッドで誰かに寝かされたようだ。
一体誰が?
この疑問はすぐに晴れた。なぜなら、可愛い寝顔を見せながら俺が助けた少女が椅子にもたれて、寝ていたからだ。
しばらく寝顔を見ていたら、ふと少女は目を覚まし、大きなあくびとともに勢いよく体を伸ばした。それから、俺を見ると、急に泣き出してしまった。いきなり泣かれて、困惑していると
「よかった。10日間も眠り続けていたんですよ。」
彼女が泣いていた理由が、俺のためだと分かり、申し訳なさと嬉しさを感じた。
「君が、ここまで連れて来てくれて、看病までしてくれたの? ありがとう」
少女は、少し顔を赤らめる。
「こちらこそ、助けてくれてありがとう。あなたをここに運んだのは、父の親衛隊隊長ベクトリスよ。
そういえば、名前を名乗っていなかったよね。私は、アンシーよ。あなたは?」
「俺は、霧里 隆人隆人と呼んでくれよな。ところで、アンシーここは、一体どこなんだ?」
「ここは、カートン城。私の父で、カートン国王であるカルケン1世の居城よ。」
アンシーの身なりや言動で、地位の高い家の娘だろうと思っていたが、まさか国王の娘なんて。そんな事を考えていると、急に激しい空腹感に襲われ腹が鳴った。
「そうね。あなた、いや隆人は、10日間何も食べていなかったわね。」
「急いで、食事の準備をさせるわ」
そう言って、アンシーは部屋から出て行った。
俺は、10日間寝続けてしまったのか。
ふと思ったが、異世界ものでありがちなステータスの確認は、できないだろうかと思い、とりあえず、
「ステータス」と心の中で唱えた。
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名前:霧里 隆人
種族:人間
レベル1
能力
打撃:8
防御:6
俊敏:3
魔法:1
知能:168553
特性:ウアジェトの目(すべてを見通す知恵)
スキル:プレディション(目標の永続的な行動予測)
戦闘系ショボッ。でも、異常に知能だけ高いな。普通、知能みたいなのは、表示されないと思うが。
まぁ、知能は、チートのように高いと思うし、特性のすべてを見通す力もすごいと思うが、如何せん戦闘系のステータスが、プラスマイナスゼロいや、マイナスの方かもしれない。俺の異世界生活どうなるんだ!
そう心の中で叫んだところで、アンシーから食事の準備ができたと言われ、国王の家族達が食事をする場所に連れて行ってもらった。
その途中で、この領国がいかに豊かだと思い知らされた。使用人らしき人も大勢おり、それらの人の身なりをだいぶ良かった。
国王らに会うと思うと、俺は必要以上に緊張している。
俺は、昔から緊張しいなのだ。