合宿
「来ったーー。海だよ! 合宿だよ!」
「みず、うみ。だけどな」
果てなき泉の砂浜に輝く日差しの下で大はしゃぎのノーラにハルトが突っ込みを入れた。
「細かいことはいーの、いーの。ほら、波もたってるし、砂浜は白いし、天気はいいし。もう最高! それに飛甲機が来るのは夜なんだから今日はおもいっきり遊ばなきゃ、だよ」
「確かにこれだけ大きいと海に見えますねぇ」
「でしょ、でしょ。さっそく水着に着替えに行こうよ。女子はしゅーごー!」
「レッツ行きましょー! うっきょーー!」
テンションマックスなノーラがソフィー、珠絵、ノエル、を引き連れて別荘に入っていった。
岩場に囲まれた白浜のプライベートビーチには燦々と陽が照っている。盛夏というにはまだ幾分か早いが、浜辺には夏の気配が漂い始めていた。ハルト達男子チームも個人的な荷物を持って別荘に入り「ここが男子部屋ねー」ノーラにいわれた部屋に入ると部屋着や寝台が整えられていた。焚哉、カッツェに続き「保護者の付き添いじゃ」「タクヤルちゃんと旅行ね♪」とついてきたハロルドと胤月の部屋も用意されている。
ハルト達がビーチに出ると女子チームが白い浜辺でビーチバレーを始めていた。ノーラとノエルは同じデザインの水着で、ツートーンカラーの白とピンクが入れ替わったお揃いのワンピースに豊満なボディーをおさめている。同じチームの二人は双子の姉妹に見える。
「そりゃー」
砂浜にスライディングしてレシーブに行ったノーラだったが後一歩追いつかなかった。
「うーん、残念」
胸元のフリルが大きくふくらんだ水着からパフパフと砂を落とすノーラ。
「だいじょーぶ?」
ノエルが水着のお尻の上から出しているピンク色のしっぽを揺らしながらボールを拾う。
「ごめーん。次は受けるよお」
「そうはさせませんよ」
ボールを受け取りサーブの体制に入った珠絵はスクール水着に似た紺色の水着を着ている。
「そーれ」
小柄で幼児体型の珠絵から送られたボールの行き先を、ニカっとした屈託のない笑顔で見つめる相方のソフィーは、背伸びをしたいのか黒いビキニ姿に褐色の肌を露わにしている。踊り子姿で慣れているらしく羞恥心を全く放見せずに元気そのものなところが逆に幼く見えていることに本人は気がついていないようだ。
女子の水着姿を思う存分堪能した男子は元水泳部の焚哉と脳筋カッツェが湖に入り競争を始めた。夕食のデザートを賭けた二人の戦いを眺めながらハルトは磯場を探索する。色鮮やかなウミウシらしき生物やヒトデに感動していると、ボール遊びに飽きたのか、珠絵がハルトに近寄って岩場から出てきた蟹を突っついた。白い肌があらわになった足元を水につけて屈んだ珠絵が、短めのストレートな茶髪の下でいたずらっ娘の顔をしてハルトを見上げる。
「おにぎりあげたら喜びますかね?」
「本物の蟹がオニギリ食べるかな?」
「それもそうですね。――いいことを思いつきましたっ。焚やんの背中に火をつけてきます!」
それカチカチヤマだろ、ハルトが突っ込む間もなく、砂しぶきを上げてダダっと砂浜を走り去る珠絵の先には、水から上がってノーラとノエルにちょっかいを出そうとしている焚哉の姿がある。後ろから密かににじり寄り、焚哉の赤く焼けた背中に熱い砂を掛けて容赦なく擦り込むスクール水着の珠絵。
「うぎゃーー!」
白い海パンに珠絵が手を掛けたまま焚哉が走り出し、お尻を見せながら水に向かって走る姿をノーラとノエルが両目に手を当てて盗み見ている。指差しながら大笑いするカッツェ。女子の水着姿を双眼鏡で覗いていたらしいハロルドと、脱ぐと逞しい焚哉の水着姿に夢中だった胤月もデッキチェアーから笑い過ぎて転げ落ちそうな勢いだ。
やれやれ。でもこういう時間も久しぶりだな。
ハルトはふと空を見上げ、青く輝く空の中で遠くにかかっている雲を見つめながら、足の裏を沈める砂に太陽の熱を感じながらハロルド達に向かって歩く。
「あっちの方角にだけやけに厚い雲がありますね」
「なぜそれが気になるんじゃ?」
「もしかして陸地があるんじゃないかなと思って。前の世界でいた国は島国で海からの風が陸に当たると雲が出来るって何かで読んだのを思い出して。冒険小説だったかな」
「お前はホント勘が鋭いっちゅーか、なんというか……確かにあの方角は湖の中心じゃ。島がある。と、云われておる。じゃがそれを見た者はおらん。水竜や飛龍がおって近づくことが出来ん上に島は常に嵐の中じゃからな」
何か天空の城が隠れてそうな話しだな。
「それじゃ島を見つけたらヒーローになれますかね?」
「真夏の一週間ばかし、だいたい八月の十五日を中心とした一週間じゃが、そのときだけは雲が取れるらしい。そのときならあるいは、と思わんでもないが湖の芯はこの世界の中心じゃ。のぞきに行くと呪われるぞ」
「やっぱいいです。平穏な日常系を目指します」
お盆の日じゃん。あの世と繋がりそうな日のうえに呪いとかカンベンだわ。
そういえばまた夏が来る。時間の止まる季節だ。今年は何が時間を止めるのだろう。
ハルトは思い浮かんできた考えを、波打ち際から吹いてくる風に乗せて流した。
夏合宿という特別な日常を堪能し、皆で砂浜に座って夕日を眺めた。
ゆっくりと染まってゆく夕焼けの色から、ハルトは守りの森の温室から見た夕暮れ時の景色を思い出す。久しく封印していたアリシアとの記憶が浮かんでは消えた。
太陽が水平線に沈むと別荘風のコテージに戻ってシャワーを浴び、食堂に集合した。
「何ですか!? これはっ」
珠絵が皿に乗った物体に素っ頓狂な驚きの声を上げた蟹の足の輪切りステーキがメインの夕食の時間になった。皆でワイワイ話しながらの和やかな時間が流れてゆく。食事を終えて男子が部屋でくつろいでいると、パジャマ姿の女子が男子を呼びに来た。パジャマはノーラが用意したものらしい。
「綿の夜着なんて高級ですねぇ。うっきょー」
「こっちではデッカイ蚕が絹糸を沢山作るし、綿は手間がかかるから高級品だけど、わたし達のいた世界では綿の方が安くて一般的だったの。こういう夜にはパジャマパーティーをする決まりなんだよ」
どういう決まりなのかよくわからないまま、ノーラの提唱でUNOによく似たカードゲームが食堂で始まった。保護者達は温泉三昧である。罰ゲームが王様ゲームに突入することもなく健全な夜が更けてゆく。
「やったーー! 勝ったー」
思いきりバンザイするノーラの大きめな胸がポヨンと揺れる様を、メイドたちがホワイトブリムをつけた頭を抱えて見ていた。ひと通りの遊びが終わり、食堂で行われたパジャマパーティーもお開きとなった。長湯を上がってきたハロルドと胤月が酒をグラスに注ぎだすと、ハルトはサンダルをひっかけて別荘を出て湖畔の岩場に向かい一人座った。
静かに寄せては返す波の音。凪いだ水面に映る月の道。満月を過ぎた月を見上げながらハルトは物思いにふける。誰かが近づいてくる気配に振り向くと、暗がりの中にうっすらとピンク色のふんわりとした髪の毛が浮かんでいる。ノーラなのかと思ったが、背中の後ろにしっぽが揺れているのを見てノエルだと知れた。
「最近二人でゆっくり話せる機会もなかったから」
言いながらノエルはハルトの隣に腰を降ろした。
「そうだな。俺もノエルも急に環境が変わって忙しかったからな」
「ほんと、目がまわるかと思ったよ」
ノエルはハルトに笑いかけながら薄手のカーディガンの袖をまくりちゃぷりと水に手をつけた。久しぶりのノエルとの密接した距離を懐かしいと感じながらハルトは星を見上げた。
「王都に来てからもいろいろあったけど、ロダの父さんに教えてもらったことは大きいなって思うこともあるよ。こんなことになってるけどやっぱり俺は職人の子なんだなって思うときがある」
「そうなんだ。良かった、ハルがロダの家族のことを忘れてなくて。――でもハル、無理をしてない?――ずっと何かを我慢してるような気がして……今日もせっかくの前の世界の友達と遊びに来たのに一人でいることが多かったし、夕日を見てた時も何かを考え込んでるみたいに見えたよ。――思い切って言うけど、アリシアさんのことを無理に押さえ込んでないかな? 全然アリシアさんの話が出ないし無理してるんじゃないかなぁ、ってちょっと心配になるよ?」
「そんなことは思ってないけど。――いや、自覚してないだけで心の奥では思ってるのかもしれない」
「二人の間にあったことだから軽々しく話すことじゃないだろうけど、わたしやカッツェは経緯を知ってる。苦しい時は話してくれてもいいんだよ。わたしもカッツェも、もう気持ちの整理はついてるから」
「――強いな、ノエルは。見習わないとだな」
「ほら、やっぱり思うところがあるからそういう言葉が出るんだよ。辛い時は頼ってよね。仲間なんだから」
「――ありがとう」
「うん、じゃ戻ろうか? あまり遅いとみんな心配するよ。みんなも何となく感じてるみたいだから」
自分のことなのに一番分かってないのは自分なのか。
そう思い知らされつつも、あたたかいもの包まれたようなハルトは岩場の前の水の中に足を降ろした。
水に浸かったサンダルの上を漂う波が輝いている。
「夜光虫だ。綺麗だねぇ」
にこやかに笑うノエルの姿が月光に照らされていた。
少し離れた別荘の明かりに照らされる砂浜には、夜間の警護を担う騎士達が運んできた二機のロッキ型の飛甲機が着陸している。王都で作られた量産型だ。王都で作られた飛甲機らしく、白く染め抜かれたボディーの要所々々にビクトリアン調の草木を模した燐粉細工の装飾が金色に輝いている。後部座席のシートはフラットリクライニングができる仕様になり、負傷者を搬入しやすいように後部にハッチが切られている。扉の下側にある蝶つがいで倒れるように開く後部ハッチは搬入用のスロープになるように工夫され、コクピットの計器は方角と飛行距離がデジタル表示されるようになっていた。改良点の幾つかはハルトが提案したもので、コクピットの距離と方角表示もハルトの原案を王都の技師が形にしたものだ。
飛甲機のすぐそばにハロルドの姿があった。
「見てくれは王都の物らしく装飾過剰じゃが、随分と良い機体になった。蟲の毒を防ぐ風防を赤い貴石の魔術で物質化するオプション装備も開発中じゃ。お前は随分それに拘っておったの」
「安全性を高めるのは大事だから……」
「お前の心の傷をわかってやれるとは言わんが、よく頑張ったの」
ハルトは傷口の真ん中をこじ開けられたような気がした。しかしアリシアとの別離を表に出すことなく気丈にふるまってきたハルトをハロルドは讃えた。
「オーブもジェルマンも頑張っておる。飛甲機はますます良いものになるじゃろう。今の状況があるのはお前の功績あってのことじゃ、胸を張れ。――そして、そろそろ本当の意味で受け入れることを学んでも良いころじゃ。区切りとは自分でつけるもんじゃよ」
ほんじぁの、明日はキザイアにしごかれるぞ。はよ休め。そう言い残してハロルドは先を歩く。自分が想っていた以上に皆に心配をかけていたことが身に染みた。
窓際の寝台に横たわり、目を閉じたハルトはアリシアの姿を思い出す。出会いの時から順を追って、その時々の自分の気持ちを思い出してゆく。ひとしきり過去の思い出に浸り切った後で身体を起こし、天空に浮かぶ月と出窓に飾られた早咲きのひまわりをながめた。
翌朝、眩しい朝日に目を細めながら食堂に入ると訓練教官の三人が到着していた。薄着ながらもマントをまとったキザイアに、この場にあっても鎧に身を固めた黒騎士の二人がすでにノーラと一緒に朝食を始めていた。
朝食を終えて浜辺に出る生徒とキザイア達。キザイアは白いビキニにつつまれた豊満な胸を揺らしている。
「さすがは大人の女性のプロポーション。しかも金髪美女!」
ウキウキわっくわくの焚哉。
「あの水着はわたしが選んだからね」
「ノーラちゃんグッジョブ」
焚哉がノーラに親指を立ててみせた。
本来なら自分からは絶対に着ないであろうビキニ姿になり、シスコンの本領を発揮したキザイアが洋上で飛甲機を駆る。垂直上昇から反転し、直滑降に水面に向かって飛甲機を直進させたキザイアはすんでのところで水平飛行にしてみせた。かなりの風圧にビキニの紐が激しく揺れていたが、「いやぁん」、気丈なキザイアが顔を赤らめながら両腕で胸を隠すサービスシーンはなかった。
「ちっ、おしい」
「もうちょっとじゃったのにな」
残念そうな顔をして焚哉とハロルドが顔を見合わせた。
砂浜に飛甲機を降ろし、砂上に降り立ったキザイアは鎧姿の黒騎士二人に「行ってこい」と告げると二機の飛甲機が上空に舞い上がる。
「今日の訓練の指導教官の二人の操縦だ。良く見ておけ」
キザイアはノーラたちに大きめの声をかけるとハルトを手招きして呼んだ。
二人の黒騎士が縦横無尽に大空を駆ける。滞空高度いっぱいま昇ったマティスの機体が先に降下を始め、それに対面していたグレースもマティスを追うように飛甲機の鼻先を下に向けた。キザイアよりも水面に切迫した二機が水しぶきを上げて正面衝突寸前ですれ違うと同時に上昇する。二つの物体が螺旋を描きつつ天空を目指す。
「凄いですね。切り返す時のG、体にかかる圧力で失神してもおかしくない操縦です。ちょっとヒヤッとしました」
「我々は限界まで体を酷使すことに慣れているからな。そう簡単に意識は落ちんよ」
私はヴァルキリア様のご加護のお陰というのもあるが、引き締まった体を見せつけるようにキザイアは続ける。
「しかし戦の女神の祝福を受けたときには、この身と生まれを素直に歓べなかった。何故私なのだ、とな。――私はな、幼い頃から姉上のようなおおらかな女性に憧れていたのだ。しかし祝福なのかご加護なのかは分からぬが、我が身の限界を越えようとすることと相対すると血が滾るようになった。そして私はそれを受け入れた。姉のアンナのように慈愛と優しさで民を包むのではなく、民に希望の光を翳す道を選んだ。何事にも決して諦めることなく、立ち向かい続ける女であろうと決めた」
黒騎士達が地上に降り、飛甲機に近づいたノーラを操縦席に乗せるマティスと焚哉に説明を始めるグレース。それを遠目に見ながらキザイアは続ける。
「エレオノーラにも大きな試練があった。私よりも余程大きなことだったはずだ。私の心配をよそに本人はケロっとしているがな。ノーラ・オルセンという別世界の人間の魂ではあるのだろうが、彼女はエレオノーラの記憶を背負うと言ってくれた。だから悲しまないで欲しいと。生まれ変わっただけなのだ、そう思えば良い、エレオノーラならきっとそう言う、とな。その言葉に更に決心を深められたのもある」
白い水着の上に羽織った薄い上着の襟を立てるキザイア。ティアドロップ型のサングラスの奥に隠された碧い瞳が見ているのは、初めて自分の手で飛甲機を空に浮かべたエレオノーラなのか、それともその遥か向こうに見える水平線なのか。多分その両方だろう、そうハルトは思った。
「ところでアバターシュのテストパイロットについてなのだが」
騎士団を統べる者の口調に戻ったキザイアがハルトに告げる。
「フォルマージュと同じくアバターシュに使われるコアと呼ばれる貴石は育てるものなのだ。フォルマージュの開発時には極初期段階から我々も関わった。三体のフォルマージュの構造的な仕様は同じだが、使い込むことでその性能が個性になってゆくのだ。私の武器であるスピアやマティスの鎌、グレースの滑走機能にマナが流れやすくなり、操作しているというよりは自分と一体化していった、と感じている。政治的な状況もあるのだがテストパイロットを伴った開発でないことに異論が出ている」
ハルトは時間をかけて考えてから答えた。
「僕としては専用機ではなく汎用性を重視したいところがあるんです。新しい技術というのは、最初は特別なものでもの凄く高価なものなんでしょうけど、誰にでも扱える安価なものに向かって進化していくのが正しいんじゃに¥ないか? と思っているので。アバターシュは誰にでもというわけにはいかないでしょうけど、人型であるがゆえの平和利用の可能性を棄てたくないんです。例えば、湖と王宮を隔てる壁の工事なんて高い所で大変そうだし、危険な仕事だと思うんですよ。そういう仕事に就いている人達に役立つものでもあっても欲しいと思っています」
「弱き立場の者を助ける、か。それもまた騎士道だな。しかしそれが認められるのには時間がかかる。黒騎士のどちらかをテストパイロットとして受け入れてはくれぬか? 私は姉上との確執を深めたくないのもあって今回は辞退しグレースを勧めようと思っている。マティスの方が適任だという声も当然あるが、グレースは今功績に飢えている。そういう時に人は伸びるものだ」
「今の人間関係的な開発環境が非常によい状態なので、せめて一機だけでも先に僕に作らさせてもらえませんか?」
「ならばグレースと対等かそれ以上にパイロットとしても有用であることを証明してみせるしかないな。しかしグレースは手強いぞ。あの男は故郷を背負っている。没落しかけている地方の再興をかけて王都騎士団の頂点近くまで登り詰めてきた男だからからな。具体的な判断を何をもってするのかは追って伝えよう」
「分かりました」
「私はマティスかグレースを婿に迎えることになるだろう。マティスはサラブレッドだが、グレースも一度の失態で退けるには惜しい男だ。手合わせでハルト達にやられたのも機体の特性上の弱点を突かれたにすぎない。しかし奴にもプライドがある。全力でかかってくるだろうことを肝に銘じておけ」
しかし、もしハルトが勝つならばお前も私の婿候補になるのか? はて? 人差し指を紅が塗られた下唇の端下にあるホクロの近くにあてて顔を傾けてみせるキザイア。
「冗談だ。妹の想い人に手をだしたりはしないさ」
かかか。一人でボケ突っ込みをこなして笑うキザイアにハルトが唖然としたところに、訓練をノーラと焚哉の単独操縦に移した黒騎士の二人がブーツで砂浜を踏みしめながら近づいてくる。
グレースの兜の中のハルトを見据える黒い瞳は、ライバルというよりも敵に向ける光をたたえていた。
黒騎士が怖い、とダダを捏ねた珠絵にカッツェが付き、あたしもやるっ! と、飛び跳ねるソフィーの訓練をハルトが引受けて、転移組の飛甲機操縦訓練合宿は幕を閉じた。みな基本操作は出来るようになり「これならば訓練場での訓練に移ってもようだろう」とキザイアに合格点を貰った面々の顔は晴れやかだ。
しかしソフィーもマナを扱えるとはな。しかも結構な量を使ったはずなのに全く体調に変化がなかった。ノエルは獣人族だし守りの森で訓練をしてたにしても。
まだカルドを持たないノエルとソフィーの成果に疑問を持ちつつもハルトは帰り支度をした。
警護の騎士が乗る馬に囲まれながら陸オウムのコボルの上で生徒達が帰り道を揺れている。
「わたしもコボルで走りたい」
ノーラの希望で乗ってきたモモと同じ色のコボルに乗るノーラとノエルを、相棒である伊右衛門に揺られながら見るハルト。昨夜のノエルと日本に戻ってきた時にハルトを心配したノーラ。二人の姿が被ってみえた。
もう心配はさせない。もう少し今のメンバーで開発という部活を続けたい。
ハルトはグレースとの対決に意識を向けた。
水着回でした。やっぱり一回はやらないとね。笑
ノエルはやっぱりいい娘です。
模擬戦で倒したグレースと勝負することになったハルト。開発以外の運命が動き出します。
次回「加護と試練」 金曜日の投稿になります。




