キラナの高僧
「しかし本当に王宮を出てきちゃうとはな」
「しっかり準備してきたんだから大丈夫だよぉ。わたし書庫にこもって、ご食べて寝る。みたいな生活の時も多かったし」
キラナに向かう航路上にハルトとノーラはいた。キラキラと陽光を反射する湖畔にそって南下する飛甲機の左手には水平線まで湖が広がっている。
天使様の影響力は大きかった。人の世界には直接関わらない、とする天界の天使から指示が出たわけではないが、天使の意向を知った王都での協議はすんなりと進み、閲兵式は無事に閉幕した。一旦アントナーラに戻ったハルトはロッキ型飛甲機の量産体制をまとめ、共同開発となった中・大型機開発のために王宮に呼び戻されたところでノーラを乗せてキラナに向っている。
俺の方は中型機の素体待ちだし、開発の方もやれることはやってきた。ノエルも影武者をやりながら貴石のことを調べたい、王宮の本が読める!って喜んでたしな。
「わたしも操縦してみたい。マナがあれば動くんでしょ、これ」
シートベルトを外して飛行服に身を包んだノーラはハルトの背中から顔を近づけた。革の帽子とゴーグルのそばでピンク色の髪が風に揺れている。
「ノーラが王族で、扱えるマナが元々中級騎士並にある、とはいっても操縦には慣れが必要だからな。ノーラはおっちょこちょいだからしっかり訓練してからにして。湖の上とか安全なところでの訓練を申請して下さい。壊されちゃかなわないし」
「ひどーい。でもノエルちゃんがいてくれるから時間つくれるかも。ノエルちゃんって適応力高いよね。さすがはわたしの分身! リアル影武者だよぉ」
「影とかいうなし。ノエルはちゃんとした人なんだから尊重しろ」
「しっぽあるけどね。でもそれも可愛いいんだよねぇ。わたしも欲しかった!」
「あのなぁ」
「ケモリーなしっぽって萌えない?ハルトぅん」
うっ、ちょっと萌えたっていうか欲情した、とか言えるわけねーだろ!
「やっぱ嫌いじゃないんでしょー、うりうりー」
「やめろって。危ないって!」
一瞬よろめいた機体を立て直して初号機は進む。
その飛甲機の小さなシルエットを遠くから見つめる人の姿が、湖畔に隠れるように建つ家の中にあった。
「行ってしまいましたね」
メイドのユーナの言葉に何も言わず、カーテンを引いたアリシアはそっと目を閉じた。
「あそこだな」
「ほんとに鳥居と神社がある」
島っていうか、頑張れば歩いても渡れそうな飛び地って感じだな。
大きな河川を越えた陸地の先に見える、小さな島にハルトは初号機を降ろした。
「よろしくお願いします。舞衣さん」
「エレオノーラです。お世話になります」
「ようこそ古宮島へ」
同行するのがノエルの双子の姉で第三王女だと告げられた舞衣は大層な驚きをみせたものの、それを詮索することはなく古宮島に里帰りをして二人を出迎えている。本家から馬車が出されたということだ。迎えられた舞衣に案内されて神社に参拝し、本家に入ると和装で正座をし、居住まいを正した人々に頭を下げられた。その中には舞衣の孫とその両親らしき男女も姿もある。中央の当主らしき中年の女性が頭を上げた。
「ようこそいらっしゃいました。ハルト様、エレオノーラ様」
ノーラも転生者であるという素性を知らない当主とって、天使の寵愛の証を授かったハルトの方が重要人物らしい。
「今回はお忍びで、ということになっています。ノーラとお呼び下さい」
「承りました。当主の狐島琴音と申します。お食事ご用意が出来ております。こちらへどうぞ」
琴音に案内さて廊下を進むハルトとノーラ。
「みんなけもみみさんだね。しっぽふさふさだね」
ハルトにひっそりと耳打ちするノーラ。
「王宮には獣人はあまりいなかったもんな」
「うん、やっと冒険ができてる気がする」
ルンルルン~、ご機嫌なノーラを横にして御膳が用意された座敷の席につくと琴音から古宮島の話しを聞いた。
「聖地とは言っても天界との行き来はニ百年ほど行われておりません。天界からもこちらからもですね。私達にとっては変わらない日常の時間が流れています。ここ何年かでも特に変わったことはございませんのよ」
「すいません。聖職者でもないのに無理やりおしかけてしまって」
「天使様のご寵愛の証を持っていらしゃるのですから大切なお客さまです。それにグランノルンの王女様をお迎えできて大変嬉しく思います」
本家の人々に平頭して出迎えられた二人だが、守りの森の鳥の人と古宮島の狐人族は似たような立場にあり、キラナにおいては統治者と話ができる立場である。しかし客人を厚くもてなすのは風習なのだと琴音は話した。
習慣というか考え方も日本とそっくりなんだな。ノーラが王女であるのはここには伝えてあるけど公式には王女がフラフラ出歩いてるなんてことはありえないからキラナの中では隠さなきゃだよな。
配膳の間に琴音と三人きりになったタイミングを見計らってハルトはノーラと自分が転生者であることを伝えた。
舞衣さんには申し訳ないけど出来るだけ秘密は漏らさない方がいい。まずは当主の琴音さんにだけだ。
琴音は一族の遠い先祖に日本から魂が転移した人間がおり、キラナの文化形成に大きな影響を与えたこと、一族が転移者に対して大きな恩を感じていること、もしハルトがもっと早く日本からの転移者であることを舞衣に告げていればすぐにでもキラナに招待していただろうことを告げた。そうなっていればノーラとハルトの再会は大きく遅れ、運命は別の筋道を描いていたのだが、この時の二人はまだそれを知らない。そしてその転移者とはどうやら江戸時代後期か明治時代の人であるらしいことがハルトとノーラにより判明した。しかしキラナに大きく貢献した人物ではあるものの二百年ほど前のことであり、それ以来天界との交流はなく逸話として残っていることがほとんどだという話しが琴音からなされた。詳細を文面で残すことがなかったということだ。
「本日はあまり時間もございませんので、その昔天界との玄関口であった奥の院をはじめ島の要所をご案内したします。明日は島を渡り、近隣の町に入り宿泊いたします。連絡を入れてありますので明後日に寺院にお連れいたしましょう。舞衣は高齢ですのでここを任せ、私がご案内させて頂きますのでご安心下さい」
「はい、よろしくお願いします」
「ではお食事をお召し上がり下さい」
次々とお椀や料理の乗ったお盆が運ばれてくる。吸い物の蓋をあけて隣の椀をあけると白いご飯が盛られていた。
「こっ、米だ」
「ご飯だぁ、わーい」
感動に打ち震えるハルトをよそに次々と料理と白米を口に運ぶノーラ。ぱくぱくもぐもぐ。
「おいしい~~」
「喜んで頂けたようで良かったですわ」
ハルトも感動と白米を噛み締めながらキラナの食事を味わった。焼き魚に野菜の煮付け、刺し身に天ぷらと漬物。久しぶりの和食がいきなりフルコースだ。古宮島の話しを聞きながらの感動的な食事を終え、島の要所を見物してから檜風呂を堪能すると畳の上に敷かれた布団で一泊した。
明朝、渡し船に乗り込む琴音と二人。江戸時代の小型帆船のような船が島を離れ、ひなびた漁村に着いた。浜辺で網の手入れをしている人々が立ち上がり、砂浜を歩く琴音とハルト達に頭を下げる。彼らは狐人ではなく江戸時代の着流しのような服を着た普通の人々だ。
砂浜の先の松林を越えた街道に馬車が待機し、しっかりとした和装の男に出迎えられた。
男は清右衛門と申しますと名乗った。腰に二本差しの刀を下げた男に馬車の扉を開けられて乗り込む。
ちょんまげじゃないけど日本刀だな。そこにパッカードの馬車。
「大正ロマンだね。ハイカラ、ハイカラ! あはは」
「キラナ文化とグランノルン文化のハイブリッドだな。町もこんな感じなのかな?」
「キラナの本都までは距離がありますので田舎ですが、キラナの町はどこも似たようなものですよ」
その町まではそう遠くなかった。海岸沿いの松並木を二十分ほど進むと瓦屋根の家並みが見えてくる。
魚河岸の魚屋に八百屋、行き交う荷車を引く着流しの人夫、コボルに乗りながら天秤の先に揺れる丸いいけすを器用に肩に担いて魚を運ぶ人夫たち。べらんめぇ調の話し言葉だがみなが活き活きとしている。
「このあたりは下町ですから。もう少し進むとまた雰囲気が変わりますよ」
店の作りが段々としっかりしたものになってゆくと、呉服問屋や装飾品を扱う高級店が見えはじめた。それらが並ぶ通りの店先には屋号を染め抜いた暖簾が下がっている。
「このあたりでお着物をお見立ていたしましょう」
「やった、お買い物だ!」
「いらっしゃいまし。いつもご贔屓頂きありがとうございます」
呉服屋に入った琴音に両手をついて頭を下げた番頭が「旦那さまを」と告げると「承知いたしました」と女中が足袋をすべらせて奥に消え、「これはこれは、琴音様。お待ちしておりました」手をもみながら恰幅のよい店主が出てきて平頭した。
「ご連絡を頂いたお品物の用意が出来ております。ささ、どうぞ」
「うわー、着物だぁ。綺麗~」
通された部屋には衣桁に掛けられた色鮮やかな着物が並んでいた。
「ノーラ様。お好きなものをお選び下さい。明日、寺院に向かう時にはあまり派手なものではないほうがよろしいかと思いますが、こちらに滞在する間のお召し物にいくつかお持ちになってもよろしいかと」
「琴音さん、女心がわかってますねぇ。晴れ着も欲しいです。試着してもいいかしら?」
「もちろんですよ。お着物を選ぶのは楽しいですものね」
「はい! ありがとうございます!」
「では、旦那さまはこちらへ。――旦那さま?」
旦那さまって俺のことか!
「失礼しました。じゃノーラ、後でな」
「うん!」
キラナの正装と略式の和服を一揃選んだハルトが戻ると赤とピンクを基調とひた艶やかな花柄の着物に身を包んだノーラがかんざしを選んでいた。
「この着物にはこれですね。それと明日着るのには……」
楽しそうだなノーラ。王宮から出たことなくて買い物なんてしたことなければそりゃそうか。
微笑みながらノーラを見守る琴音にハルトは小声で尋ねる。
「支払いはカルドですよね?着物一式を三着もだとお値段がはると思うんですけれど……」
「ご心配なく。代金は私に付けておいてもらいます。王宮のカルドをここで使う必要はありませんよ」
よかった。
ハルトが選んだ和装を見たノーラに「ちょっとぉ。これじゃわたしの選んだ着物と似合わないじゃん。すいません、男性物の着物も見せてもらえますか?」ビシッ、と言われたハルトがノーラと和装を選び直すという一幕を経て、呉服屋での買い物を馬車に積み込んでもらいつつ、自分達も和装に身を包んだハルトとノーラは琴音に連れられて通りを歩く。江戸時代な通りを渡ると和洋折衷の建物が並ぶ通りになった。レンガ作りの建物にはガラスのショーケースに洋服や装飾品が並べられている。
「あっ、これ可愛い!」
桃色の髪を結い上げ、着物姿のお転婆娘になったノーラが草履の足元を気遣いながらとてとてと近づいた店のショーケースには短めの振り袖にロングスカートを合わせた大正ロマン風コーディネートが飾られていた。
「これはもう、ほとんどコスだね」
「だな」
ラブライバーとかが大喜びしそう。きっと鬼滅のコスプレとかもそろそろ出てきてるだろうな、あっちでは。
「これも買ってもいいかな?」
「着物より動きやすそうだしいいんじゃない。でも」
「でも?」
「これにちょっと短めのスカートをあわせてロングブーツとかもいいと思うぞ」
駆逐艦スキー、神風型推しだった俺的センスだけどな。
「それいいねっ!」
ノーラはハルト好みのコーディネートに、羽織やなぜか袖なし割烹着などを買い込み、その後も番傘やカバンと小物も一通り揃えた。支払いは現金である燐貨である。
買い物をした店と気になる品物のあった店の名前をくまなくメモしてゆくノーラ。
「満足したか?」
「うん、大満足だよぉ」
「では宿に向ってよろしいですか?お荷物が増えましたね。清右衛門、馬車をここまでまわして下さいな」
舟盛りの刺し身の夕食を終え、四人は別々の個室で休み、翌日寺院に向かった。
本堂に続く参道を、袈裟を着た若い坊主が竹ぼうきで掃除をしている。ハルトはその若い僧侶の姿から焚哉を思い出しながら歩いた。本堂に入って和尚と向き合う琴音の横にハルトとノーラは腰を下ろした
「ノルン様のご加護を頂いたお二人ですか」
落ち着いた声で琴音と語る壮年の和尚。
三人の前の前にはお茶と焼き菓子が添えられている。
「ここのところ何か変わったことはありませんでしたか?」
「琴音様にお伝えするようなことは特にはありませんでしたが……そういえば、昨年の成人の儀のときに憑き物がついた者がおりましたな。妙な念仏を唱えるので古宮島の対岸で行われた儀式から寺に連れ帰り祓おうと匿ったのです。それを見た本山の僧がその男を連れて行った、ということがありました」
成人の儀、俺と同い年で妙な念仏。
「その男は今どうしていますか?」
「さぁ、その後の話しは聞いておりませんが」
「琴音さん、本山までどれくらいかかりますか?」
「馬車で1日です。これから迎えば今夜には麓の本都には入れます」
「行ってみたいです」
「それならば本山の僧侶に紹介状を書きましょう」
和尚のしたためた紹介状を琴音が受け取りキラナの首都に向かった。
「キラナの僧は政治も司ります。大僧正がこの国の頂点にたつのです。まずはその臣下からお話を伺いましょう」
馬車に揺られる長い一日が終わると、日本庭園を取り囲むように建つ本都の宿に入った。通された旅館の部屋から、錦鯉が泳ぐ池を見下ろすと水面に月が揺れていた。
翌朝、僧兵が守る門を越え、本山に通ずる長い斜面を登った車寄せで馬車を降りると、ハルトは少し暑いが紋が入った上着を羽織った。紋はアントナーラの意匠を呉服屋がその場で入れたものだ。
本山の寺、というか城?
「桜、もう散っちゃってるね。桜並木、見たかったな」
「これだけ続いてると壮観だろうな」
「桜木の花道、通りたかったなぁ」
「また古いのをよく知ってるな。せめてキセキの世代にしとこうよ。しかも少年マンガだし」
「名作は名作なの! 知ってて当然ですぅ」
「でも青葉が出始めてるから毛虫に気をつけろよ」
「やっだー、そんなこと言わないでよ! ハルトぅんのいじわるぅ」
「ごめん、ごめん」
もぉー、なんかかゆくなってきたぁ、背中をもぞもぞさせるノーラ。
ノエルともこんなことあったな。しかしホントによく似てる。同一人物なんだろうから当たり前なんだけど。でもノーラとは前の世界の記憶を共有してるのはでかい。親近感がすごく湧いてくる。
ノエルの背中で少し開いた襟元から覗く白いに肌に、桃色の後れ毛がゆれるのを見て、ハルトもモゾモゾとしてしまった。
石畳の坂を登りながら、青葉の桜並木の中を進む。
威風堂々とした天守閣のそびえる山頂の手前、つつじが満開の日本庭園の中に、平屋の黒い屋根瓦の下に白い漆喰の壁が続くお堂が幾つか建っている。そのうちのひとつに琴音と共に入ると、案内の僧侶に導かれて、梵字で書かれた掛け軸が連なる廊下を越えて奥の間に通された。
二十帖ほどの清廉な座敷からは枯山水の庭園が見下ろせ、白い小石が岩を囲んで波紋を描いている。例にもれず、鹿威しの竹が、カコン、と音をたてた。
琴音にならって座布団に座った三人の前に隣の間から入ってきた僧が腰を降ろす。
頭を剃り上げた背の高い若い美貌の僧だ。紫色の法衣と袈裟の高級さから高僧だということがわかる。
「琴音様、ご無沙汰しております。狐島の沿岸で憑き物がついた者のお話を聞きたい、ということでしたね」
「お久しぶりです、胤月。ノルン様のご寵愛を受けておりますこのお二人が、ご興味がおありとのことでお連れしました。どのような事があったのかお話していただけますか?」
「――ノルン様のご寵愛ですか。あの方のことはあまり口外したくはないのですが……仕方がありませんね。お話しいたしましょう」
「ありがとうございます」
頭を下げるハルトとノーラ。
「では。――あの方と申しましたけれど、私達はそのお方を聖人様とお呼びしております。こちらに連れてくるまではそれこそ何かの憑き物に取り憑かれた狂人のようでしたけれども日に日に落ち着きを取り戻されました。とはいってもご自分で回復なされたのです。我々の加持祈祷や儀式で憑き物が落ちたわけではございません。何をしてもその時の聖人様には効きませんでした。やっきになった大僧正さまの祈祷も効かず、奥義を調べて大々的な儀式を行ったにも関わらずです。これは手に負えない、と諦めていたのですが不思議なことに自然と落ち着いてゆかれました」
「しかしそれだけでは聖人と呼ばれることはありませんね?」
「はい、意識のしっかりなされた聖人様は我々でもごく一部にしか伝えらえていない経をそらんじ、これまで誰も読むことの出来なかった経典を解読なさいました。まるで最初から知っていたかのように。今もタクヤル様は奥の院で密儀をお調べになられています」
「タクヤルっ!?」
思わず声を出し、ノーラと顔を見合わせるハルト。
「ちょっと!タクヤル様を呼び捨てるなんて失礼な人ねぇ」
「すいませんっ」
ごめんなさい! でも何でおねえ言葉!?
「そのタクヤル様とお会いさせて下さい」
「それはできません。タクヤル様はこの国の宝です。おいそれと面会できるようなお方ではございません。大僧正様のお許しでもないと無理無理」
しなを作ったような手を払う胤月。
「大僧正様のお許しがあれば良いのですね?」
ノーラの問いに怪訝な顔をしながらも頷く胤舜。
ノーラは着物の袂から取り出した小箱を開く。
「きゃっ、それは、グランノルン王家の紋章」
「グランノルン第三王女、エレオノラ・リーレ・グランノルンです。公の訪問ではないので身分を隠して訪れたことを謝罪いたします。しかしそうとも言っていられない状況なのです。大僧正様にご進言頂けないでしょうか?」
「琴音さま、これは……」
「ハルト様は天使様からご寵愛の証を授けられている方です。エレオノーラ様が王女様ということもありますからそちらも配慮頂けるとうれしいわ」
「ちょ、ちょっとお待ちください」
あら、大変、大変、ちょっと、どきなさい。んもう、大変なことがおこってるのよ!
バタバタと音を立てて廊下を走って消える胤舜。
「あのお坊さん、美貌が台無しだね」
「少女漫画に出てきそうな感じなのにな」
「少し変わっていますが、あれでも胤舜は優秀なのです。僧正様の側近でもありますからお茶でも頂いて待ちましょう」
少しじゃない気がするけど……
「あっ、これモナカだ。美味しいよ、ハルトぅん」
もぐもぐとモナカをほおばるノーラに促されて、お茶菓子を頂きながら枯山水の庭を眺めるハルト。
絶対焚哉だ。でも何でだ? 焚哉はあの時部室にいなかった。それどころか学校にいなかったんじゃないのか? あの日学校にいた生徒は少ない。集団転移なのか?いや、それだと身近にもっと知り合いがいないとおかしい。
「大僧正様がお呼びです。こちらへどうぞ」
胤月に連れられて三人は城内に入った。
キラナに入ったハルトとノーラ。
次回「聖人タクヤル」水曜日の更新になります。
気がついたら随分長い話になりつつ、あれっ、これどう考えてもジャンルが違くね? と思いました。今更かよ!? ではありますがジャンル変更してあらすじを書き直しました。何かと盛り込みすぎ感満載なんですけどね。汗
さてここからどうしたらいいんかいな? 七転八倒しつつも最後まで書き切ますよお。まるでマラソンしてる気分です。笑 頑張ります。うっしゃ。




