クロスロード
長くなってしまいましたが今日は分割しないで一話でいってみます。
アントナーラから先は初めての道だ。
王都に繋がる道に否が応にも気分が盛り上がるハルト。
「ほんじゃ気ぃつけてな」
「行ってきます。ハロルド爺さん」
「珍しい酒があったら買ってこいよ」
はいはい、わりましたよ。とは言っても爺さんの戯言だって馬鹿にも出来ないだよな。花酒っていうもあるらしいし純度の高いアルコールがあれば何かに使えるかもしれない。爺さん何気に大事なこと言ったりするし。はっきり言ってくれれば良いのに。
「では良いですかな。出発しましょう。出発が遅いので宿場町まで急ぎますよ」
アントナーラから王都までの道のりは三泊。今日泊まる宿場町はアントナーラを夜が明ける前に出発し、日没後も少し頑張れば泊まる必要はない。しかしロダ村から出発してアントナーラでの打ち合わせと面会をこなしたハルト達には取れない選択で、道中を一泊増やした日程での道行きだ。
アリシアは「うちの馬車を使って」と勧めてくれたけど王都の中で動くことを考えたらコボルの方が取り回しが良いらしいし各自が自由に動ける方が良いだろう。それに馬だと餌代がかかる。
陸オウムのコボルはその大きさの割に少食なのだ。それも馬車が貴族御用達の乗り物であることの一因となっている。
デニスの乗るコボルを先頭に旅団が東に向ってひた走る。盾の中に天使の羽をあしらった紋章の標識には『至る 王都グランノルン 66」と書かれていた。
さすがは王都に続く道、標識が立派だ。景色は大して変わらないけど気分的に盛り上がる。
「ロダ村からアントナーラまでの62号線から66号線に数字が飛ぶんですね」
「アントナーラと王都を結ぶ66号線は今日泊まる所で南のハシュタル領に下る63号線、王都手前の宿場町の十字路で南北の64,65号線に別れるんです。王都から見たら理に適ってますよ」
「それにしても数字が大きいですよね。王都が始点の道なら一桁の数字でもおかしくないと思うんですけど」
前にノエルにも聞いたけどやっぱり気になる。
「その昔、人の暮らす地は非常に広大だったそうです。グランノルンは人の暮らす地としてはかなり大きい国なのですがその何十倍もの土地に人が暮らしていたのだとか。蟲との、そして人同士の戦で放棄された土地に蟲や魔獣の森が広がって世界は今の大きさになったのだと言い伝えらえています。人も随分と減ったんでしょうな。グランノルンはノルンの地というだけあって天使様のご加護に守られて残ったのでしょう。しかし多くの国が無くなったしまった事を忘れないように今でも古の道の名を使うのだそうですよ」
そんな話しを聞きながらハルトは伊右衛門を駆る。そうは言っても常に全力で走らせる訳にもいかない。道中は長いのだ。併走するカッツェとノエルが何かを話したそうに近寄って来た。ハルトの伊右衛門に近づいたノエルの乗るモモが白とピンクの尾を立てて親愛のサインを送っている。伊右衛門が翼を少し開いてそれに答えた。カッツェの手振りからすると三人で話したいようだ。ハルトはデニスから少し離れた。
「領主様と何話したんだ?」
「騎士になれ、だって。考えておけってさ」
「ハルトが騎士ぃ? そりゃ鍛えがいがあるな!」
カッツェの目が輝いている。
勘弁してつかーさい。カッツェが上司になったら訓練厳しそー。
「凄いね!ハル。平民から騎士になるなんて『姫好き蟻の下剋上』みたいだね!」
蟻が騎士になる話しってそんなタイトルだったんだ。
「まだ決めたわけじゃないよ。それに俺は開発がしたいから剣を振るうって訳じゃないし」
「そう言えばマナの量はどうなんだ?」
「それが全然増えなくなっちゃたんだよね、何でだろ?」
ハルトのカルドに表示されるマナの量が伸びなくなっていた。まだ下級貴族のボーダーの量を集められるようにはなっていない。
「理由は考えても無駄だな。マナは全てが理解されてる訳じゃない。正式な騎士になるなら貴族になる訳だからマナを増やす訓練方法を教えて貰うことになるんだろ?」
「多分そうだと思うけどね。どうするのか考えときます、で話しが止まってるから」
そんな話しを交えながら街道を走るコボルの一団を取り囲む風景はどこまでも荒野だ。
「荒野が続きますね。ロダからアントナーラもうそうだったけどアントナーラから先の荒野も広い。開拓すればいいのに」
「この辺りは土地の質が良くないんです。河も無く、多くの土地が蟲の毒らしきもので汚染されているらしく作物が育たないそうです」
「蟲の毒?中和する研究とかやってないんですか?」
「蟲の毒なのかすら解っていないようですな。一応王都に研究している所があるようですが、解明出来そうにない事柄を研究する部署は左遷された者の行き先になっているそうですよ。それくらいお手上げなんでしょうな」
日が落ちかけた頃にポツリポツリと建物が見えてきた。湯屋だろうか高い煙突も見える。
結構冷えた。早く風呂に入りたい。飛甲機にも風防はマストだな、これは。
「湯屋っ、ゆや~♪」
ハルトが風呂ソングを歌い出すとノエル、カッツェと伝染し、ついにはミックまでもが歌い出した。声を出して寒さを誤魔化しつつ街道の分岐点に辿り着いた時にはとっぷりと日が暮れていた。
「あそこが今夜の宿です」
デニスが示した宿はそれまでの街道沿いに建つ建物の中では良い部類だがそう大きくもない鄙びた四角い建物だった。街道の分岐点にある宿場町とは名ばかりでまるで農村の集落のようだ。冬は日が短かいのでまだ宿泊する商人もいるが、日が長くなるとわざわざ泊まってゆく商人は殆どいないのだと言う。
「重い荷を引いたりと足の遅い商人などは日が短い冬は宿泊費が余計にかかるようになります。麦の収穫が終わって日が短くなると人通りが少なくなる理由のひとつがこれなんです。アントナーラがもう少し東に位置していて、この宿場町が必要なければ冬のアントナーラの様子も随分と違ったものになっていたことでしょう」
ロダは辺境だから物の流通はそういうもんなんだと思ってたけど、雪で道が埋まらなくても日の長さが流通に影響するんだな。街灯があるわけでもないし。電気があればまた違うんだろうけど。マナを使えば光石で街道を照らす事も出来そうだけど結界の維持が優先って感じか。アントナーラから更に奥地になる村では冬支度もするわけだ。
繋ぎ場にコボルをつないで世話を済ませた一行が宿の入り口に入る中、ハルトはふと足を止めた。宿の入り口に地図が出ている。
さっきの三叉路を南に下るとハシュタルっていう領地になって同じ名前の街に出るのか。ハシュタルの先は国境でキラナっていう別の国になる、と。
地図と言ってもざっくりとした簡単なものだ。
ちゃんとした地図が欲しいな。飛甲機を作ることに頭が一杯で旅程を決めるのもデニスさんに任せっぱなしだったし。
ハルトが宿に地図が売ってないかデニスに尋ねると「地図は王都で買った方が良いですよ。ここは高いから。それに王都なら選べます」そう言われたハルトは素直に従うことにした。
当然のように旅商人が主な客の宿に遊戯施設的なものは無い。しかし幸いにも風呂は宿の中に内湯があった。風呂と食事で体を温めて翌日に備えた。
遅めの出発となった翌日も延々と荒野が続いた。走り疲れて皆の口数が減り、日が傾き始めた頃に街の外壁が見えて来た。
「今夜泊まるナトラの街は湧き水の泉を中心にした人口5千人程の小さな街です。アントナーラの人口が5万人ですのでそういう規模だと思って下さい。ナトラがアントナーラ領としては東の端の街になります。次のプレッジアからはグランノルン王の直轄地です」
ナトラの街に入ると街道に面した門の近辺に宿泊施設が集まっていた。外壁のある宿泊地といった趣の街のつくりのようだ。
何とか走りきったな。腰が痛い。今日も早く寝ようっと。カッツェの余裕そうな感じは予想してたけどミックが何食わぬ顔をしてるのが意外だ。ノエルも元気そうだし俺が虚弱なの?
早々にベッドに潜り込み、早めに起きてしっかりと朝食を摂った。
「次の宿場のプレッジアは大きいですよ。アントナーラのメインストリートに負けないくらい賑やかです。温泉もありますから疲れが溜まって大変でしょうけど頑張りましょう」
爺さんもくれば良かったのに。でもちょっと遠いよな。
グランノルンの徽章が描かれた標識が直轄地に入った事を告げると、もう見飽きたよ、と言いたくもなりそうな荒野の風景が終わり、麦が刈り取られた畑が街道の両側に広がるようになった。少しずつ点在する家が増え、その密度が急に濃くなると高い建物が密集する町並みが見えて来た。町に入ると道の両側に立ち並ぶ建物にはグランノルンの紀章を染め抜いた旗がはためき、歩いて観光しているカップルや軒先のオープンカフェでジョツキを片手に早くも盛り上がっている男達の前で演奏をする旅の楽士の姿も見える。
王都からだと片道1日の温泉地って感じなのかもな。宿場というより歓楽街って感じだ。
プレッジアには外壁が無い。どの領地の人間にも王都に入る交通の要所を襲うメリットよりもデメリットの方が大きいのだという。
デニスは階層の高い建物と建物に挟まれるように佇む小じんまりとした建物の裏にコボルを通した。裏手にある繋ぎ場は清掃が行き届き、水場も大きく桶も充分用意されている。干し草も換えらればかりのようだ。そこで使う物の配置も利用する人の側にたって考えられていることがハルトにもよく分かった。
通りからは裏口にあたる位置にある入り口から中に入る。宿の一階は20人程が座れる食堂で、宿泊客の受付を兼ねたカウンターでデニスが名乗った。予約済みのようだ。デニスに尋ねられたノエルは大部屋で一緒に寝ることになった。
「内湯もございますが、露天温泉の割引券もありますのでご用命の際はお声がけ下さい」
店主らしき男性が話している間に着替えが運ばれてくる。着替えが乗せられた籠にはタオルに石鹸も入っていて至れり尽くせりだ。
おもてなし精神最高!
「ここを利用するのは旅慣れた商人ばかりです。観光客向けの宿は高いし騒々しくていけません。食事は色々なお店があるので他で食べても良いですよ。ここの料理も美味しいですが」
「どうする?」
「わたし、取り敢えず温泉行きたい!」
先に温泉に行って歩きながら考えることになった。
では、お荷物をお部屋の方に運んでおきますでごゆっくり。と女将さんらしき人に頭を下げられ割引券を渡される。
いい宿だわぁ。さすがはデニスさん。良く知ってる。
一行は宿を出て華やかなプレッジアの町を散策しながら露天に向かった。
「カッツェは翼を隠す腹巻き持って来た?」
「抜かりはねえ」
はは。なんか変なテンションになってるし。俺もアガって来たぁ!
「あー、極楽だったぁ」
旅の疲れが一気に癒えるような露天風呂を満喫して湯屋ソングが鼻歌で出そうなくらい皆ご機嫌だ。
でもミックは相変わらずクールだな。表情も全然変わんないし。
一番遅かったノエルが露天風呂の待合室で合流し、一杯やりたいカッツェとデニスに付き合う事になった一行は宿への帰り道にある酒場に入った。
明日が心配だから俺は酒は止めとこう、ミックは飲むの?大人だなぁ。うん、ソーセージや温野菜のおつまみだけでも十分美味しい。
「ここよりも宿の料理の方が美味しいですよ」
ここも結構美味しいのに、そう言われたらそっちでメインでしょう。皆が一段落着いて最初に席を立とうとしたハルトにミックが声を掛けた。
「もうちょっと見ていかないか?」
酒場の中心でマーガレットと同じか少し年上くらいの吟遊詩人の女の子が歌いながら踊っている。
伴奏の音楽は少女と同じ紫色の髪をした人の良さそうな老年の女性が奏でている。ギターの胴を深くしたようなボディの先端についたハンドルを右手で回し、左手でスライド式の鍵盤を操りながら奏でられる旋律はリズミカルで西洋の民族音楽のようだ。
女の子が元気一杯にクルリと回る。飛び散る汗が星のよう。溌剌とした歌が客を惹きつけて離さない。
歌と踊りが終わると拍手が巻き起こった。
「あの子すごいね」
「見事ですな。そのうち王都でも有名になるかもしれません」
ミックは瞬きもせずに見入っていた。
「ねぇねぇ、ああいう子が好みなの?ミック」
ハルトが肘でツンツンしてもミックの表情は変わらない。
「いや、あんなに感情豊かに歌って踊ってる時にマナはどう動いてるんだろう?と思ってさ」
「…………折り紙付きのオタクだよ、ミックは。頼もしい限りです」
「さて、宿に戻りましょうか?」
帽子を持って回って来た女の子に気持ち多めの燐貨を入れて店を出た。
デニスの言った通り絶品の宿の料理に舌鼓を打ちながら寛いでいると、さっきの吟遊詩人の二人が入って来た。
女の子が、おばあちゃんって呼んでるからやっぱり家族なんだな。
「さっきは素晴らしかったよ」
「ありがとおう!」
ノエルの掛けた声にぴしっとポーズを決める女の子。二人はハルトとノエルの前の席に座った。
「あたしソフィーって言うんだ、ソフィー・パラテーナ。只今絶賛売り出し中だよ!」
ニシシと笑うソフィーの横で壮年の女性が名乗る。
「ナターシャ・パラテーナです。先程はどうもありがとうございました」
「いやぁ、本当に素晴らしかったです」
カッツェも感動したようだ。ミックはいつも通りの無表情。ある意味凄い。
デニスは2人に好感を示しつつも、若い人達でやって下さい、的な雰囲気で飲んでいる。
「お兄さん珍しい物してるね。どこから来たの?」
ソフィーはハルトの左手首に巻かれた綾乃の組み紐が気になる模様。
「これはお守りなんだ」
「お、ま、も、り?」
「寵愛の証みたいなもんだ」
カッツェが助け舟を出してくれた。
「俺達はアントナーラの西の端のロダ村ってとこから来たんだ、俺はハルト、よろしくな」
「そうなんだぁ、あたし達これから旅に出るの。色んなお話を集めに行くんだぁ」
「物語を語る吟遊詩人さんなの?てっきり音楽専門の詩人さんかと思った、あんなに上手なんだもん」
「歌って踊るのも楽しいけど、あたしおばあちゃんみたいに物語を上手に話せる語りべになりたいんだぁ。おばあちゃんは凄いんだよ!」
「そうなんだね。ハル、あっ、わたしはノエルね。ハル、何か話してあげれば」
「なになになに?」
「ハルはめずらしいお話を沢山知ってるんだよ」
「是非に!お願いしまする!!」
ぺっこんとテーブルに頭をつけたソフィーにハルトは故郷の昔話を始めた。
「……海の底の宮殿から戻った青年がお姫様から貰ったおみやげの箱を開けると、あら不思議、お爺さんさんになってしまいましたとさ」
「こんなお話初めて聞いた!素晴らすぃい!!他には、ねぇ他には、ねぇねぇ」
しつこくても可愛いい子だな。ネタはいくらでもあるけど。でもノエルも色々知ってるんだよなぁ。
「次はノエルが話してあげれば?」
「えっ、わたし!? うーん、そうだなぁ……」
ソフィーは目をキラキラさせてノエルの顔を覗き込んでいる。
「あるところに、狼の右手が乗り移った少女がいました。あこがれの少年に呪術師のところに連れていってもらった少女は……………。……………………………。…………。なんとその手は悪魔だったのです。少女の右手に宿った呪いは少女の本当に願いを叶えるために少年を襲いました。少女は本当は少年の婚約者のことが好きだったのです」
おい、それ俺が話した女バス百合っ子の話しとラフィー様が混じってるんだけど!
「お兄さんたちすごおおおい!お姉さんの話しも面白い!! でも……」
「でも?」
「ここで悪魔の話しはあまりしない方がいいよ。十字路には悪魔が出るんだって」
「えっ、そうなの!?」
「悪魔がお前を食べちゃうぞー がおー」
「「「あははは」」」
「冗談はさておき、お兄さんたちは王都に行くんでしょ。ここは、あたし達王都の吟遊詩人には運命の十字路って言われてるんだよ。良き運命がお兄さんたちに訪れますように」
「ソフィー。こんなに珍しいお話を聞かせてくれたんですよ。なにかお礼をしなくては」
「そうだね! えっと……。ちょっと待ってて!」
ソフィーはカウンターの親父さんのところで何やら話すとお店の客に声をかけた。
「えー夜も更けてまいりましたが、わたしから1曲お届けしてもよろしいでしょうか?」
「お願いするわ」「元気すぎないくらいので頼むよ」
商人らしき老夫婦が答えた。
「了解いたしました!じゃ、おばぁちゃん、楽器はハルダンちゃんでおねがい」
ナターシャはバイオリンのような楽器を持ってソフィーの後ろに座った。
あの楽器守りの森の教会で見たやつだ。副弦っていうのがついてるやつ。
「では、ご静聴ねがいます」
ナターシャの顎に据えられた楽器に弓が引かれると豊かな音色がメロディーを奏で始める。
そのメロディーに乗って伸びやかな歌声が響いた。
悲しみを越えて
私は羽ばたく
天使様の愛を風にして
翼があなたを
大空に浮かべる
流れる時を越え共に行こう
すれ違うことも
認めあうことも
織りなす時の流れが
全てを包み込んで行く
約束の光が
大空をつらぬく
天使様の愛を受け止めて
雲一つない透明なソプラノが通り抜けていった。
ソフィーが歌い終わってもしばらく静寂が続いた。
それから温かい拍手が部屋を包み込んだ。
「嬢ちゃん、よくこんな古い歌を知っているね」
「私とこの人が出会った頃に流行った歌よ。それにとても素晴らしかったわ。ありがとう」
老夫婦からお礼をもらい、今日は気持ちよく寝れそうだ、と客が部屋に上がり始めた食堂で「こんなにゆっくり出来るのは久しぶり、それにとてもいい時間だったわ。ありがとう」女将さんにもお礼をもらったソフィーはハルトとノエルに手渡そうとした。
「いいって。こっちがお礼したいくらいだよ」
「そうだよ。素敵な歌声だった。本当に」
ハルトとノエルに受け取ることを拒まれたソフィーは、ええー、と不服そうだ。
「それでは、少し私に時間を下さるかしら」
何もお渡ししない訳にはいきませんから、とナターシャが語ることになった。
眼鏡を取り、一度目を瞑ってから語りが始まる。
「その昔、星々の世界からやって来た、年若い男の神様がおりました。神様はこの世界に恩恵をもたらし人々の暮らしを楽にさせました。神様は人々から尊敬され、栄光を胸に湖畔に立っておりました。しかし神様に笑顔はありません。目の前の大地には折れた矢が突き刺さり、森を焼いた火の手が煙となって登ってゆきます。
その戦の原因となったのは、神様が良かれと思ってしたことだったのです。
天使様が舞い降ります。
「これを見てあなたは何をするの?」
「私は…………………」
………………。………………………………。
引き込まれるような、優しくも心を触られたような気持ちになる深い声にハルトとノエルは聞き入った。
王都に向かったハルト達が運命の十字路で出会った少女と祖母の吟遊詩人。
もしよかったら第一話の冒頭を読んでみて下さい。
次は「王都グランノルン」水曜日に投稿しますね。




