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甲殻の翼  作者: 月弓 陽
第2章 ロダ村編
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閑話 珠絵とノーラのサバゲー

閑話です。

転生がなかったルートの珠絵とノーラの IF SS 珠絵視点です。

またもや長くなったので二話にわけました。

珠絵とノーラにについては一章の登場人物紹介を参照して下さい。(珠絵の紹介を更新しました)

https://ncode.syosetu.com/n7582ft/1

 私は花家はなうち珠絵たまえ

 私に取って平常運転手で浮きまくっていた工学部にも遥斗先輩のお陰でやっと馴染んだ高校2年の夏休みが終わり、新学期に入って最初の週末の夜に行われたノーラの誕生会の帰り道のバス停でノーラとバスを待っています。


 まだ私とは距離感が微妙な遥斗先輩。けっこうアピールしてるんですけどね。その先輩と妹さんは無情にも反対方向のバスに乗って行ってしまいました。

 でも今日また少し距離をつめられたような気がしてちょっと嬉しくなりました。しかしながら先輩を気にしてる感じの二人の女子にはもっと置いていかれたような……。それを思うと微妙な感じの日でしたよ?それでも楽しい時間だったのでまぁ良しとしましょう。

 

 今日の主役はノーラ・オルセン。底抜けに明るい帰国子女の転入生です。超がつくほどの可愛い系美少女の上に胸が大きいなんてズルいのです。そのうえ先輩の家に遠慮なく上がれる幼なじみって更にズルくないですか?まぁ、わたしが後発なだけなんですけども。

 ともあれクラスメイトになった訳だし、クラスでも浮き気味の私を屈託なく友達扱いしてくれるので良しとします。

 

「しかし先輩もアニソン歌うとは思ってませんでした。ノーラのアニソンメドレーは予想してましたけど」

「ハルトゥんアニソンじゃないのも歌ってたよ?」

「そうでしたけど、妹さんみたくフツーにアイドル系とかかな?って思ってたのですけれど……勝手な予想でしたかね?」

「わたしは何か綾乃ちゃん意識してアニソン以外のも入れてるんじゃないのぉ?とか思ちゃった」


 そうなのです。今日のノーラの誕生会にはあの〈女帝〉も参加していたのです。「遅くなってごめんなさい」と入って来た時にはびっくりしました。大人びていながらも可愛さを忘れないセンスのよい私服も流石としか言いようがありませんでした。しかも先輩のカーディガンとよく似合うコーディネートとか。うーむ。


「しかし神宮路先輩の演歌熱唱にはびっくりしましたね。しかも超上手いし」

「あはは、ロックなの歌ってびっくりした後にあれだからね。ギャップ萌えマックスだったよぉ。さすがは綾乃ちゃん!」

 あちゃー、この人主役持ってちゃったよ?と思ったら神宮路先輩はその後しっかりノーラを飛び上がって喜ばせるプレゼントを渡したのです。何でもノーラ垂涎のキャラクターの限定フィギュアだとか。あの人どこまで完璧なんですか?


「ともあれノーラとまた仲良くなれてよかったです。また遊びましょうね」

「うん、もっちろん!、今度はコス着て撮影会しよーよ」

「それは流石にちょっと」

「だいじょーぶだよぉ。タマちゃんアーミールックとかでもいいし、わたしのコス貸すし」

「余計恥ずかしいじゃないですか!撃ちますよ?」


「どうしてもダメ?」

 瞳をうるうるさせるノーラには敵いませんね。何とか事を荒立てることなく切り抜けなくては。

「なら、私にサバゲーで勝ったらやってもいいですよ?チーム戦で」

 我ながら良い作戦なのです。ノーラにサバゲー仲間はいないだろうし、挑んでくるなら返り討ちにしてくれるのです。


「うーん……」


ノーラの乗るバスが来ました。私は別系統のバスを待ちます。

「じゃあ考えとくね。今日はありがとう!またね!」

 ノーラは手を振ってバスに乗ってゆきました。



 そんな話しをしたのも忘れていた頃、夕食が終わって年の離れた弟の世話をしているとポロリンとスマホが鳴りました。

ノーラからのMineのメッセでした。

「タマちゃん、サバゲーやろう!5人の屋内CQB戦でどう?」

 CQB戦とはどちらかというと狭いフィールドでやる近接戦のことです。

 サバゲーやる友達いるのかぁ。けっこう交友関係広いんですね。正直ビビリました。

 屋内ということはこの辺りなら何処でやるかは決まったようなものです。高速のインターの近くあるサバゲーの施設。そこしかないでしょう。

「こちらは大人もいますけど大丈夫ですか?」

「うん、こっちも大学生とかいるけどいい?」

「かまいませんよ。それでは今度の土曜日でどうですか?」

 しばらくして返信が来ました。メンバーの予定が確認できたのでしょう。

「オッケー!楽しみにしてるねぇ」

 これは気合を入れて新規導入したマシンガンの整備をしなくてはなりませんね。ギッタギタにしてやるのです!わたしは嬉々として部屋に入り、MP7電動マシンガンを取り出して分解整備を行いました。




 約束の時間までまだ少しあります。私達のチームはサバゲーの屋内フィールドの待合室で準備万端です。

「珠絵、今日は何戦でやるんだ?フラッグ戦か?殲滅戦か?」

 リーダーの女子大生、香里かおりさんが聞いてきます。

 香里さんは美人でスタイルもいいのに男勝りでチームを従えるわたしの憧れのお姉さんです。今日は他に大学生と高校生が一人づつ、それと社会人一年生の男子3人女子2人が今日のチームです。

「わたしから申し込んだので相手チームに決めて貰えば良いかと」

「そりゃそうだ。初めてかもな女の子がいるんでしょ?少しはハンデをあげないと」

 すぐ調子に乗る同い年の裕也がハンドガンを磨きながらまた調子に乗っています。最初にやられないで下さいよ?

「まだ相手を見てもいないんだ。見くびって油断するなよ」

 いつも冷静な大学生の光輝さんが裕也を戒めます。その通りなのです。寡黙な社会人のしゅん)さんも頷いています。


「よお、今日はあんたらが相手かい。よろしくな」

 でっかい黒人さんを先頭にサングラスをかけた外人部隊みたいなのが入ってきました。何ですかこれ!?

 グレーが基調の米軍特殊部隊仕様の揃いの軍服に装備のケースがてんこ盛りです。しかも全員外人とか。やばいです。ちょーやばいです。

「おっはよー」

 スタイル抜群な青い目をしたブロンドのお姉さんの後ろから制服姿のノーラが顔を出しました。どうやら男女構成は同じのようです。

「おはようなのです、ノーラ。この方達がお友達ですか?」

「えっと、一人はアメリカン・スクール行ってた時の友達で、そのお姉ちゃんとその友達」

「さっそくだが今日は大統領戦でいいか?こっちは初体験が一人いるんでな」

 金髪のお姉さんが切り出します。大統領戦というのは大統領が撃たれたら負けというルールです。香里さんが負けじと切り返します。

「いいぜ。復活はどうする?」

「2回でどうだ?」

「オッケー」


 対戦ルールが決まりました。復活2回とはヒットして死んでも2回生き返れるということです。ヒットとは弾を当てられたことを言います。

「珠絵、お前が大統領な」

 香里さんに指名されて私が大統領になりました。向こうはやはりノーラが大統領です。きっとノーラが隠れてる作戦ですね。


 相手チームがゴーグルやフェイスガードを取り出して準備を始めました。

 ライフルを持った金髪のお姉さんが顔を上げます。フェイスガードに鮫の口、シャークマウスが鮮やかに浮かびあがっています。

「ちょっ、あんた、まさか!」

 香里さんが唖然としました。私も同じく。


 金髪にシャークマウスのフェイスガード。一流の女流スナイパーのトレードマーク。サバゲーの動画によく出てくる有名人です。DQNな人かと思ってましたがホンモノの金髪さんだったとは。

「マジですかぁ!!」

 テンションマックスの裕也が大騒ぎです。これは多分そっこーで沈むでしょう……むしろ自分から当たりに行って自慢しそうな勢い……。


「あたしはまだ可愛いよ。こいつの親父は元特殊部隊の教官だ」

 シャークマウスさんが筋骨隆々な黒人さんをグッジョブスタイルの親指をひるがして指差します。

 こえええ、ちょーこええええ。


「時計合わせいいか?」

 香里さんの時計に時間を合わせ、ゲームが始まりました。味方が取り回しのいいマシンガンやハンドガンなどが主体の近接用の銃を持って障害物に身を隠しながら敵陣に向かって進ます。

 私は後方でMP7A1マシンガンの肩に当てるストックを短くして待機。

 裕也が次の障害物に渡ろうとして身を出した瞬間に「ヒット」と申告して手を上げました。


 早すぎでしょ……


 そうは思っても非難は出来ません。こんなロングレンジで当てて来るなんて。

 

 次々とスナイパーに仲間が殺られて自陣の復活ポイントに戻ってきます。

「流石だな。次は二手に別れるぞ。あたしと裕也が囮になる。俊と光輝は暗い左側から行け」

 香里さんの指示に仲間が仕切り直して二手に別れます。右手に行った香里さんの方から射撃音。派手に撃っているようですね。

 左手の暗くなっている方向を見ると俊さんと光輝さんが警戒しながら注意深く進んでいます。

 夜行弾!蓄光して暗がりで光る弾の弾道が流れました。光輝さんが当てられた?

 なら香里さん側にスナイパーはいない。ハンドサインで香里さんに伝えるのです。

 香里さんの指示で裕也が動きます。

「ヒット」

 撃たれた!何で!?


「どうやらスナイパーが二人いるな」

 偵察を兼ねて突貫し近接戦で撃たれた香里さんが帰って来ます。これでもう四人の復活はないのです。

 こちらは3人に一回づつ当ててただけ。追い込まれた。

 殲滅戦でも負けそうな勢い……


 一人、また一人と撃たれた仲間がホームに戻って来ます。やばい。


 こうなったら一人でも多く仕留めて敵が復活しに行ってる間に大統領を狙いに行くしか無いのです。大統領を仕留めれば逆転勝ちはまだある!


 私は生き残った光輝さんと二人で動きます。

 障害物の隙間から進路を確認し遠距離狙撃に注意しながら次の障害物に渡ります。

 幸いシャークマウスさんには見つかっていないようなのです。

 幾つかの障害物を渡り、よし、次に行こう。光輝さんとアイコンタクトを取って動きます。その時でした。


 光輝さんの「ヒット」という申告の声。そして


「ホールドアップ」


 警戒が薄くなっていた左後方からでした。更にハンドガンを構えた金髪を短く刈り上げた男が逆方向から近寄って来ます。


 終わった……


「終わったぞー」


 ホールドアップをかけた黒人さんが声を出すと迂闊にもノーラが姿を現しました。

 

「まだ終わっていません!!」


 わたしはマシンガンをノーラに向けました。


「ノーラ撃てっ!!」

 叫びながら私の前に立ち塞がる大きな体。

 その背後でノーラのマシンガンから発射音。

 黒人さんが「ヒット」と言いながら横に動くと丸裸になった私にノーラの弾が着弾しました。


「ヒット……」


 私は負けを認めました。


「これ、結構楽しいねぇ」

 ゴーグルとフェイスガードを取ったノーラはニッコリと笑いながら銃口を天井に向けボロロロとマシガンを撃ちました。


「快っ感!」

 と呟きながら。


「ゆ、夢を奪われた……」

 

 私は膝から崩れ落ち、両手をついて項垂うなだれました。


女帝の意外な一面を見た後にノーラの交友関係にズタボロにされてしまった珠絵でした。

でも珠絵はめげない女の子なのです。

次話は「ノーラと珠絵のコスプレ撮影会」です。

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