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甲殻の翼  作者: 月弓 陽
第2章 ロダ村編
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 アントナーラの街の外壁が遠目に見える草原に馬車とコボルが集まっている。

 その中心にはオレンジ色に塗られた零号機が佇んでいた。

 アントナーラの主要人物と大商人への飛甲機のお披露目を兼ねたテスト飛行がこれから行われる。


 「やっぱ試作機はオレンジ色でしょ」


 厚い革の下に羊毛が縫い付けられた飛甲服に身を包んだハルトとノエルが飛甲機に乗り込んだ。


 パッカードの馬車の前にパネルを立てて説明を始めるアリシア。耳を傾ける上級貴族。その後ろの幾人かの大商人の中にはジェルマン・パッカードの姿があった。アントナーラの騎士団長と数人の部下の姿も見える。


「それでは実際に飛ぶところを見て頂きましょう」


 アリシアの合図にハルトは飛甲機を空中に浮かばせた。

 開発者全員が見守る中、ハルトは「大丈夫だ、行ってくる」と高度を上げた。

 

「おお!」

「本当に飛ぶのだな」

「これは凄い。パッカードさん、本日お招き頂いたことに感謝しますぞ」

 ざわめくギャラリーを残して飛甲機が上空に飛び立った。


 後部座席のノエルが煙幕を焚く。白い線が空中に描かれる。

 煙幕はハロルドが今日の為に用意したものだ。


 高度を下げスピードを落とした飛甲機が煙をゆっくりと草原に振りまいてゆく。


「これは蟲が人里に現れた際の対応と、人に害を成す小型の虫除けを畑に散布することを想定した運用例です」


「移動だけではなくこういう使い方もできるのか」

 豪奢な身なりの商人の目が輝いた。

「緊急時や結界に人を運ぶのが楽になるだけではなく、蟲との戦闘にも有効な手立てになるやもしれんな。あれほど自由に飛べるとは」

 騎士達も目を離さない。


「次は空中からの防衛を意図した飛行になります」

 

 弓矢を何とか引くことが出来るようなったノエルの矢が放たれる。

 続いて一定の間隔に設置された的の前を飛甲機が速度を落として飛び去ると、的として設置された箱の中に撃ちこまれた虫除け弾が次々と煙を上げてゆく。


 一通りのパフォーマンスを終えた飛甲機が着陸した。


 ノエルが降り、ハルトが米軍のフライトジャケットB-3を模してオーダーした飛行服を着込んだアリシアを手招きした。


 

 再び大空に舞い上がった飛甲機の上で、その景色を目に焼き付けたくなったハルトは操縦席を立ち上がった。


 その肩に後部座席からアリシアの手が添えられる。

 

 飛甲機の上に立つ二人が見る景色はどこまでも青く澄んでいた。


ここでこれまでの物語に一区切りつけたいと思います。

金曜日は閑話を投稿しますね。

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