人型魔導ガーディアン
遮光性の高い黒い曇りガラスの向こうで、分厚い革のグローブに握られたバーナーの先からバチバチとスパークが飛んでいる。気体に戻ろうとした汗で曇りがちな防護シールドは視界が悪い。加工している素材から固い蟲の甲羅が焼け切れる匂いが漂っている。かろうじて視界の残った隙間から見える火花がきっちりと正円を描くように集中して手を動かしてゆく。
もう少しだ。
作業台で背中を丸めているハルトは、茶色い革の防護服に分厚い革のエプロン、ロボットの頭のような溶接ヘルメットを被っている。カラン、と円形に抜けたパーツがコンクリートの床に落ちる音を立てると、宇宙服と見間違えそうなダボっとした防護服に包まれた体を起こしてハルトはヘルメットのバイザーを上げた。
ハルトがバーナーを使って直径20センチ程の正円を切っていたパーツは、アバターシュの右手前腕上部、複合装甲の外側にあたる部分だ。複合装甲を分離したパーツとはいえ、厚みは3センチ近い。その上、蟲の甲殻を素材にして作られる人型魔導ガーディアンの装甲は、鉄のように自由に加工することが難しい。炭素繊維並の強度と軽さをという利点と引き換えに、刃物が通らず、ドリルの振動にも弱いのだ。
鉄の存在しない世界。
それはこの世界で大量生産加工技術が発達しなかった一因になっている。
しかし職人の技という伝統が受け継がれ、人が丹精こめて作った”物”が大切に使われる世界をハルトは心地よく思っている。腕利きの職人を父として転移してきたハルトは、頭にゲンコツを落とされながら仕事を覚えてきたことを思い出しつつ、加工が終わったばかりのパーツの断面を覗き込む。顔の上を川のように流れる汗が滴り落ちるのも気にせず、上手く加工できた感慨にふけることもなく次の作業に取り掛かる。ハルトはツナギになっている防護服の上半身を脱ぐと袖を腰で結んで半袖一枚になった。もうひとつ同じ径の穴を肘に近い部分に開けるための下書きをするには防護服は暑すぎるし邪魔なのだ。
ガトリングを右腕に装着する仕様にするとはな。
アバターシュ開発は単体でのバランス調整を終え、武装を装備する段階に入っていた。
遠距離攻撃用のガトリング砲は、珠絵の提案によって銃のように携帯するタイプではなく右腕に装着する仕様になった。ハルトが今作っているのは、ガトリング脱着システムが一体化された外装だ。別パーツになっている脱着システムの受け側を埋め込んで固定する作業をミックと共同で行っている。隣の作業台ではミックが複合装甲の内側にくる内部装甲にコントール情報を受け取るパーツを取り付ける作業をしている。元々魔道具の仕組みに興味があり理解が深いミックにうってつけの作業だ。
ハルトは次に開ける穴とのピッチを正確に測ると作業台に上に横たわる装甲外装の上にコンパスを立てる。しかし職人の技によって生み出された、しなやかな曲線を描くパーツに正円を書くのは思いのほか難しい。
「プラモに3ミリ穴開けて、武器とかのオプションパーツ付けたりしてたけど、実物大でやることになるとはなぁ」
「ぷらも、って何ですか?教えて おにーさん」
いつの間にか近づいてきていたソフィーが作業台に手をかけてぴょんぴょんと飛び跳ねていた。黒いビキニに褐色肌をさらす童女は職人達が行き交う工房の中で見るといつもよりも幼く見える。
「プロモ、つーのはな、うーんと、こういう人型のデッカイのをロボットっていうんだけど、それのちっちゃい奴、これっくらいのさ、小さいけど、ちゃんと同じパーツ構成で出来た模型のことだよ。前の世界で沢山作ってたんだ」
ハルトは手の平の上に人形を乗せるような仕草をしながら説明する。
「にゃるほどぉ。だからお兄さんは実際の大きさで作る前に模型を作っていろいろ確かめるのが得意なんですね」
「そうだなぁ。取り付け位置とか、取り付けた状態のバランスとかも考えられるからな。大きいものを作って失敗したら大変だし材料も無駄になるだろ」
「そうですねぇ。でもおにーさんいつも、うん、かっこいい! って言ってから決めてますよねぇ」
「……確かに格好いいものを作りたいっていうのもあるけど、バランスのいい位置とかって結果的に美しいんだよね」
「にゃるほどぉ」
「そろそろ火を使うから離れてろよ。火傷するぞ。ちゅーか集中したいからノーラかノエルのところにでも行っててくれる?」
「アイアイサー! 頑張ってくだしゃいねん。ノエルさんは、計算がー、って頭抱えてたからノーラさんのとこに行きまっする」
ビシっと敬礼したソフィーがくるりと回って走ってゆく。
いくら工房が暑いからって、褐色肌に黒ビキニの上に白衣を羽織ってるだけって、どんな痴女系童女だよ。元気いっぱいな可愛さだから全然エロくはないんだけど……。でもソフィーとノーラって仲いいよな。ノエルとは違った意味で姉妹みたいだ。さて、仕事、仕事。
ハルトは防護服着込んでもうひとつの円を丁寧に切り落とすと、二つの円の周りを八等分した等間隔で小さな穴を穿孔してゆく。ネジ穴の位置を確かめると、砲の脱着パーツを差し込み、ボルト・ナットとトルクレンチを使って固定してゆく。
六角ボルトを使って固定するとインダストリーな感じが出るよな。武装まわりってとこがまたリアル。コーションデカール的な注意書きも書いちゃおうかな? でもバイオロジーな聖なる騎士風だからな似合わないか。おっと、また頭がよそにいっちゃってた。
「ミック、こっちは出来たぞ」
バーナーを使う作業を終えたハルトは防護服を脱ぎながら隣の作業台に声をかける。白衣姿のミックは難しい顔をしてコントロール系のパーツを見つめている。
「すまん、もう少しかかる。赤い貴石の粉末の厚みを調整したい」
「そっか。じゃぁ外装はミックに渡すよ。図面通りに出来てる」
「分かった。しかし、複合装甲とは考えたな。内側と外側で別々の作業が出来るから作業効率もいいし細かい作業もやりやすい」
「作業効率は作ってみてから分かったんだけどね」
「複合装甲は内部と外部の装甲の間に緩衝材を挟むから衝撃吸収力が高い上に一枚ものより軽い。パーツごとに分割してあるから整備も楽だろうな。ロダで飛甲機を作ったときより格段に進歩してるよ」
「王都には選べるほど素材があるしな。それに道具も。ボルト・ナットをトルクレンチで締めるなんてあの頃には考えられなかった」
「ボルトは王都の職人は気が遠くなるような時間をかけて削り出した高価なものだからな。しかも一定の圧力以上は空回りして締まらなくなる道具まであるなんて。王都の技術と財力を思い知ったよ。でもハルトは何でトルクレンチを差し込む部分を六角形にしたんだ?」
「――回すのに一番力が上手く伝わるからかな」
そういえばロッカクって、前の世界では当たり前にネジとか道具にあったけど、ベルダンディア様も六角形が一番安定した図形だって言ってたし、王城のガラスの螺旋や蜂の巣も六角形出来てる。フラワー・オブ・ライフの幾何学模様も基本は六角形だし、生命の樹、もそうか。
ハルトの頭が飛躍してるうちにミックの言葉が返ってくる。
「ロッカクボルトは締めやすいしボルトの破損が少ない。整備や点検のために取り外しが必要なパーツの固定に使うにはいいな。トルクレンチを使えば誰でも同じ圧で閉められるし。コストはかかるけど」
「溶接には技術がいるからな。溶接は今でもミックにはかなわないよ。ミックが今やってる部分はパーツ同士を溶着とか溶接をしなきゃだよね。防護服置いとくよ。俺は爺さんの方を見てくる」
「ゆっくりでいいよ。失敗したくないから時間が欲しい」
「分かった。」
それとガスは元栓で締めてあるから、ハルトはバーナーのホースが繋がっているタンクを指差して言いながら作業台を離れる。ミックが左手を上げて答えたの見て目線を上げた。
ハルトはハンガーに収められた武装装着作業に入った人型魔導ガーディアン・アバターシュの勇姿をあらためて見上げながらハンガーの逆サイドに移動する。
秘密保持のため、壁の低い位置に窓はない。採光のためにドーム型の開発工房は天井部分がガラスになっているのも工房の温度が高い理由のひとつだ。半出入を行う大きな扉の脇に換気用のファンが回っているが扇風機というかわいいものではなく大きなファンが六つゆっくりと回っている。地下に流れる水流を動力源としているため、高い位置にあるファンを回すシャフトがむき出で床から伸びて壁にへばりつき、シャフトの根元にはメンテナンス時に入る地下に続く縦穴に蓋がされている。ファンが回り、初秋を感じさせる時期になってはいても、エアコンのない開発工房内の気温はまだまだ高く、油とほんのりと焼けた蟲殻の匂いに蒸してる。時折漂ってくる活性液の花の匂いと、臭い消しに焚かれているお香が不快さを軽減しているが、体を動かして働くには厳しい労働環境だ。
左手を前方に伸ばしたアバターシュが収まる作業用ハンガーの左階段を自分の体二つ分ほど昇る。肩から先の作業ができるように伸ばされた足場に出ると、外装が外されたアバターシュのマニピュレーターにセンサーを取り付けているハロルドに声をかけた。
「左手の指にも接続用センサーを増やすんですか? 左手でも武装が使えるようにってことですよね。二刀流にでもするつもりですか?」
「右腕が使えなくなった場合に左手は剣を使えませんは無いじゃろ。アバターシュの剣は刃先にマナが流れるでな。しかしそれだけではないぞ。左手は基本的に盾を持つことになるが防御専用にするにはちとおしい、と思うてな」
「ん?」
「珠絵が面白いアイデアを出してきおった。盾に近接用の武装を付ける。その接続端子としてのセンサーをつけとるんじゃよ」
「盾に近接用の武器?」
「今珠絵が武装工廠でテストしておる。出来てからのお楽しみじゃ。お前の方はどうなんじゃ? ガトリングの接続パーツを外装に付け終わったか? 専用の情報伝達神経はもう通してあるぞ」
「俺がやってた外側は終わりました。今ミックが内側をやってます」
「ほうか。ではお前はパイロットスーツに着替えてこい。外装を取り付けたら武装の接続回路をつないだ状態で一度飛ばしてみよう。ノエルの再計算もそろそろ終わる頃じゃろ」
「ミックはまだかかるって言ってましたけど。時間をかけて丁寧にやりたいって」
「では、そうじゃな……」
顎を握って考え込むハロルドにハルトは他にやっておくことがないか思案する。ハロルドは何かかを悩んでいるようだ。
「何か問題でも?」
たまりかねたハルトは尋ねた。
「いや、ミックを残して先に昼休みにしたら何を食おうかと思ってな」
「そんなことですかい! もー」
「――坊主、ちょっとそこに立て」
ハロルドはハルトを足場の先端に立たせてハンガー全体を見渡すように伝えた。これまでならアバターシュのボディのそこらかしこに技師や職人達が取り付いてヘッドライトを照らしながら難しい顔をしていたり、装甲の微調整に文字通り火花を散らしていたものだが、今は頭部のハッチを開いて調整を行っている技師数人と右腕前腕内部の末端神経の加工作業にあたっている人間がいるくらいだ。
「ミックが終わるの待っていたら今やることのない人間をさらに待たすことになる。昼休みも遅れるじゃろうな。そうなれば他の工房の職人や技師で食堂が混む。食べ終わったらすぐに仕事開始になるじゃろう。まだ時間は早いがここで昼休みに入れば余裕を持って食事がとれる。食事を終えた後も少し休める時間が出来るじゃろう」
アバターシュ開発部門は学園の時間があるのもあって前の世界と同じ九時から十七時を基本に動いている。他の部署は昼休みが長い分、終了時間が遅いグランノルンの標準的な時間割だ。要はアバターシュ開発の関わる人間だけ昼休みが短いのである。
「みなはアバターシュ開発に誇りを持っとるゆえ文句は出んが、ちょっとしたことで時間的な余裕が取れるならその方がええとは思わんか?」
「そうですね……すいません。作業のことしか考えてなかった」
「坊主、テスト飛行を控えて興奮するのは分かる。しかし人が作る物には魂がこもるんじゃ。一緒に作る人間の気持ちが前向きなものになるようにどうすれば良いのかを考えるものも責任ある者の勤めじゃぞ」
「はい」
「それに余裕をもって皆と飯を食えば会話もはずむ。人は嬉しい時にはよく喋るもんじゃ。意外なアイデアを貰えてりしてのなかなか良いぞ。そうでなくとも親交が深まる」
「そうですね」
「お前は下積みとして過ごした期間が短い。人の上に立つとはどういうことのなのかをまだ分かっておらんようじゃな。もう少し自分で仕事の流れを決められん人間の立場になって考えることを意識した方がよい。自分の腕を磨くことや仕事に対して厳しくするばかりが効率を上げるわけではないぞ。特に職人達は食うのが好きじゃしな」
「分かりました。早飯に出来るかノエルと相談してみます」
「ところで昼飯に酒はつかんかの?」
「それは無いですぅ!」
ちっ、小さく舌打ちして片付けを始めたハロルドだが、顔が笑っている。ハルトは、またやられた、と思いつつもハロルドに感謝の気持ちを抱いてハンガーを降りた。
一緒に働いてる人の気持ちを考えろか。マティアス師匠も上級騎士になれなかった騎士の気持ちを抱えて前に立てって言ってたっけ。
誰と何を話すべきかを思案しながらハルトは歩き、まずミックの元に向かった。全体の作業が一段落していることを伝え、先に昼休みに入っていいかを尋ねた。恩恵に預かれない人間から先に声をかけるべきだと判断したのだ。ミックは、逆に思う存分悩めるから先に行ってくれ、と快く了承し、次に情報デバイスを抱えて作業を見守るノエルに声をかけた。
「ノエル、ミックの作業以外は終わりそうだから早飯にしないかって」
「そうだね。大体いいところまで行ってるよね。うん、いいと思う」
白衣をまとい、赤いフレームのメガネをピンクの髪の上に乗せたノエルにも疲れが見える。疲れよりも、やりがいや充実感が勝っているように見えるが疲れを隠せていない。しかしノエルは、わたしは残るから先に行って、と一緒に昼食に出るのを断った。特に問題があるわけでは無いが、テスト飛行までは食欲がある感じでは無いという。テスト飛行を前にやれることは全部やって緊張する原因を取り除きたい、と言ったノエルの意思を尊重してハルトも残ることにした。ハルト自身もテスト飛行に期待が膨らみ興奮している。
早めの昼休みに目を輝かせた職人や、嬉しそうな顔をした技師達が工房を出てゆくと、ハルトとカッツェ、ノーラとソフィーが工房に残り、ノエルの机の周りに集まった。少し離れた作業台からミックの溶接が始まった音と匂いがする。
「いよいよテスト飛行だね」
王女らしい服装のノーラがベール越しに声をかける。
「もう緊張が止まらないよ。データ的には大丈夫なんだけど、武装がつくとマナの流れにバグが出るかもしれないから」
情報端末を胸に抱いてノエルがため息をつく。
「大丈夫だよ。飛行テストは湖の上でやるんだし、もし何かあっても損壊はしないさ」
「でもハルを危険な目に合わせちゃうし、回収チームにも迷惑をかけることになっちゃうし、心配は心配だよ」
心配してもしきれない、という風なノエルの肩にカッツェが手をかけた。カッツェは警護として常にノエルかハルトの傍にいる。
「緊張するのは分かるけど大丈夫だよ、ノエル。俺とマティスさんの二機のサジウスがサポートに出るんだから。それに特に問題は見つかってないんだろ?」
「それはそうなんだけど」
「それにさ。見ろよ。この威風堂々としたアバターシュの姿を」
細身の骨格の上に堂々とした装甲をまとったアバターシュはまさに騎士の化身だ。人体の柔軟な動きを超える関節構造の上に、三次元曲線を描く装甲が複雑に絡み合い、隙間の空間さえもが構造物としての美を表している。下顎を引いた小さめの頭部。精悍な目つきは鋭い。
皆があらためて見惚れるようにアバターシュを見上げる。
「飛甲機が出来たときは便利になるな。と思ったけど人型っていうのは人の力の可能性を現しているっていうか、俺は言葉を知らないから上手く言えないけど感動する。ハルトが試練やってときに動かすのを手伝ったけど、乗ってると力が漲ってくる感じがするんだよな」
「カッツェは元々守り鴉に乗ってたからそうでもないかもしれないけど、俺は飛甲機を飛ばせたときにはかなり感動した。前の世界ではフツーに空を飛ぶ乗り物に乗ってたけど自分で生み出すっていうのは格別なんだよな。でもアバターシュにはまた別の感動がある。人型って特別だよ、やっぱり。
いいに機体になった。
デザイン的には、フォルマージュのシルエット、騎士らしい曲線的なフォルムのヘビーメタル系モーターヘッド的なデザインと蟲の殻を装甲にした人型バトラーのハイブリッドだ。前の世界で人型の構造物のデザインを沢山見てきたけどかなりいい線いってると思う。パール塗装もいい感じだ。仕上げがフラットじゃないけど実物大だからテカテカした感じもしないし、マット感もちょうどいい。何を言ってるか意味わかんないと思うけど、自分でもいい機体になったと思うよ」
「ほんとに何言ってるのかよくわからんのだが……でも、格好いいのは分かる。うん」
「だよな」
拳と拳を合わせる男子二人にノエルは呆れ顔だ。
「これだから男の子って……カッコいいの大好きなのは分かるけど、デザインで飛ぶわけじゃないんだよ」
「あー、それ分かるぅ。ハルトぅんも結構そうだよねぇ」
ノエルはノーラに、でしょでしょ、と同意して連合を組んだ。ハルトは雲行きの怪しくなった矛先を収めにかかる。
「男のロマンはそういうもんなの。でもさ。俺だってやることはちゃんとやってる。ちゃんと飛ぶよ。乗ってて分かる。ノエルが心配してるようなことにはならないさ」
「――パイロットがそう言うんならそうかもね。うん、考え過ぎはやめるよ」
パイロットのハルトが自信を持って言い切ったことで、ノエルに普段の朗らかで柔らかな雰囲気が戻ってきた。その場にあたたかいものが流れる。ノーラはノエルの手をとった。
「成功を祈ってるよ」
「ノーラお姉ちゃんは見にこれないの?」
「残念だけど、焚哉くんと胤月さんが戻ってくるから公式な出迎えと会合に出なくちゃなんだ」
「そうなんだ……最終テストは一緒に見れるように調整するね。みんなで作ってきたものだもん。完成の喜びを分かち合いたよ」
「うん、最終テストはわたしもみんなと一緒に見たい。公式なお披露目のときはみんなと離れたとこでおしとやかにしてないとだし」
「ノーラさんの代わりにわたしが見に行きまっする。あたしは公の行事にくっついて行けないし、みんなさんのことを克明に記すのが仕事ですからね。ノーラさんの分まで見てお伝えしますにょん」
ソフィーが飛行テストに参加することが決まり、一同が和やかに雰囲気になったころになって作業台からミックが近づいて来た。
「作業終了だ。ノエル、受け側のマナの感応速度はプラスマイナス0.2だ。いいかな」
「すごぉい。0.35までが有効範囲だからバッチリだよ」
「よしっ、ミックの作業も終わったことだし飯食いに行こっか」
ハルトの言葉にミックは防護服を脱ぎ始める。
「わたしは部屋に戻るね。焚哉くん達が帰ってくる前にやらなくちゃいけないことがあるから」
「ノーラは一般食堂で食べるわけにはいかないからな」
「そのうちまたノエルちゃんと入れ替わってお忍びで行くよ」
「猫耳も貸そうか?」
「白衣と眼鏡だけで十分だって」
「もう、わたしにばっかり猫耳つけさせるんだからぁ」
ははは、ハルトは何気ない日常に戻った仲間達と共に食堂に向かった。
アバターシュ開発が進み完成形に近づいてきました。
次回はテスト飛行です。水曜日に投稿します。




