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第2話 過去の記憶……。 (1)
「死ぬ前にあんたの子……。そう、私は孫というものを、この手の中に抱いてみたかった……」
と、いった呪いのような台詞が、俺の脳裏を相変わらず、走馬灯のようにグルグルと回る最中……。俺は今晩の暇を潰す為の魔法のアイテム……ではなく。
岡山県備前市日生町から、隣の市である兵庫県赤穂市にあるショッピングモールへと漫画若しくは? ライトノベルを購入する為にと、自身の愛車である、ハイエースを走らせている最中なのだ。
う~ん、それにしても? 何で今更……?
と、俺自身は思うのだ。
だって先程から、俺の脳裏を駆け巡る台詞は。数年前に他界をした俺のお袋が死ぬ間際に吐いた台詞なのだが……。
う~ん、多分~? 家のお袋は、死ぬ際の最後の最後まで、独り身である俺のことを案じてくれていたのだと思う?
だって息を引き取る寸前まで、「新太~。あんたを独りだけ残して~。母さんは~。死ぬに死ねない~」と、言葉を漏らしていたのだ。
だから俺自身もできれば、お袋が生きている間に嫁さんをもらい。お袋を安堵させてやりたい気持ちはあった。