第3話 魔王と勇者……(11)
だから勇者が敵であろうとも『ありがとう~』と、感謝の言葉を告げたいが。今はそれどころではない。
取り敢えず儂は勇者の許へと行かねばならぬ。
まあ、こんなことを多々脳裏で思案をしていると勇者の許へと辿り着く。
だから先ず儂は勇者に、「娘の件は、ありがとう~。心から礼を言う。本当にありがとう御座いました~」と、儂は勇者に対して、心から正しく礼を述べた。
でッ、その後は、「娘を助けてもらって、本当に済まないと思っているのだが。少々悪いのだが~。儂と一緒に冥府へと旅立ってもらえぬかのぉ~」と、勇者……。
いや彼女に告げながら。儂は、勇者と呼ばれる女性へと抱きつき──。
そのまま魔力を最大に開放──。異世界ゲートをまた開くのだよ。
でッ、開きながら。我が娘に伝える。
「ルシファー! お主の父は異世界で生きている~。もしも~? この先~。ルシファーが異世界ゲート開く魔力が使えるようになれば~。異世界へと父を訊ねていくといい~。そして父に伝えて欲しい~。母が済まなかったと~。そして今でもあなたのことをあいしていると~。父に伝えて欲しい~。ルシファー」
儂はこんな感じの、絶叫交じりの台詞を娘に伝え、嘆願をすると。
自身の産まれ育った世界から消滅をしたのだ。
この世界で、勇者と呼ばれた少女と共にね。
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