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 「そう、そうなのよ!そうそう経験しようと思っても出来ないし、しちゃたまんないじゃん!!だからこそ無駄に出来ない!いや、しちゃいけない!こうなったらコレを活かす他ないと思うの!!」


 「…活かす?」


 私の熱い思いに押されたのか、一瞬の間を空けていつもよりゆっくりな口調で問いかけてくる恵子にかぶせ気味で答える。


 「そうっ!活かす!」


 「どうやって?」


 どうやってかぁー。聞かれても全く思い付いてないし、付かないから困るんだよねー。


 「んー…」


 「はぁ、今回はまだ決まってないのね」


 「ため息つかないでよー」


 「ごめんなさい。いつも何か言い出した時には、既に佳絵の中で答えとか指針があるものだから今回もそうかと思っていたのよ」


 確かにいつもはそんな感じで、言い出したとともに行動するから反論の余地がない。けど、指針ならさっきから言ってる。


 「あるじゃん、活かすって指針が~」

 

 「だから、どうやって」


 活かすって指針だけじゃ駄目らしい。

 どうやって+活かす=指針の方程式しか恵子様はお認めになってくれない模様。

 なら恵子様にお尋ねしよう。


 「どうやったら活けせると思う?」


 「逆に何を活かそうとしてるの?」


 わからない。私にはあなたが何を言ってるのか分からない…、みたいな念をビシバシ感じるんだけど、私そんな変なこと言ってる?


 「さっきも言ったけど、付き合って五年同棲も三年当然結婚すると思ってた彼氏が自分の友達、しかも男に掘られて喜んでフィニッシュする姿を目撃するって言う、この経験を活かしたいの!」


 「…うん、ごめん。何を言ってるの?」


 「えぇーー」


 本当に言われたんですけど!

 使い所のない念の受信精度が無駄に高いわぁ~。


 「私、日本語でしゃべってたんだけど伝わんなかった?」


 「日本語で話してるってことしか分からなかったわ」


 「マジかー。日本語で話してることしか分からなかったかー。これは分かってもらうまでに時間かかりそうだなぁ、はははっ」


 「佳絵は荷物をまとめなきゃいけないし、これ以上この話にける時間はないわよ」


 バッサリきた。

 そんな理解不能なこと言ってんの、私?! 泣ける、笑うしかねぇ! と思ってたらバッサリ斬ってきた。

 私はあんたの「彼氏みたいにドMじゃないからご褒美になんないからねっ!」


 「ドM?あー、文次郎ね、アイツはこれくらいではご褒美にもならないわよ」


 あら、口に出してたみたい。

 それにしても恵子の彼氏の次郎くん(真純命名)は流石だわw


 「次郎くんも相変わらずだねー」


 「人は簡単に変われないものよ」


 そうだね、人は簡単に変われないね。 でも、人は変わらないのに


 「人の気持ちは簡単に変わるのにねぇ」


 「変わるモノがあるから変わらないモノがあるのよ」


 「哲学だねぇ」


 「真理よ」


 …うん、ごめん。

 哲学と真理の違いが明確に分かってない私には、これ以上付いてくのは無理っぽい。

 もしかしたら、さっき私ってば同じようなことしてたんじゃね?

 すまぬ恵子。


 「そうだわ。話が戻るのだけど、どちらにしても下着と部屋着は全部捨てちゃいなさい」


 「えぇーーー!」


 心の中で反省してたら急にノーブラ・ノーパンを強要されてんだけど、これいかに?!


 「全部捨てちゃいなさいって着る物がなくなっちゃうじゃん!」


 「文次郎に用意させるから大丈夫よ」


 そうだった。 次郎くんてば自ブランド持ちのファッションデザイナーで、恵子と出会ってから“恵子が身につける物は俺がデザインする!”って、下着まで作り始めた強者だった。

 でも急に言って用意出来るもんなの? だって今、夜中12時近いよ。


 「今言って明日には用意するって厳しくない?」


 「大丈夫よ」


 確かに恵子の頼みなら、ほとんどのことを次郎くんはって退けそうな気がする。

 そういや前会った時「有り余る愛の力で恵子限定でドMになる!」と恥ずかしげもなく、むしろドヤ顔で言ってたからなぁー。 うん、大丈夫そう。


 さすが強力な助っ人、頼もしい。

 恵子にヘルプを出して正解だったよ!

 お返しは後で考えることにして、今は頼らせてもらおう。


 「なら恵子の好意に甘えさせてもらうね」


 「ええ。それじゃあ明日七時に迎えに行くから」


 「うん、本当に何から何までありがとう。明日もよろしく」 








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