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二十



 「もちろん」


 超絶イケメンはミラー越しにこちらを見て、微笑んでそう仰って下さった。

 あなたは神かっ!?

 さっき次郎くんのせいで消えてしまった後光が、再びよみがえりましたぞぉ~!

 違う。

 次郎くんのあざといキラりん☆笑顔とは、全然違う。

 これぞ本物のイケメン力!

 本当に良くこの超絶イケメンと同じ土俵に上がれたな、次郎くん。

 君の無謀さに乾杯ッ☆


 「昔の話なんですけど、初めて付き合った彼氏にも浮気されたことがあるんです。しかも相手は、ひとつ年上の私の実の姉でした」


 「姉?君の姉に手を出したのか?」


 さっきまでの優しい顔は消え、くいっと眉を上げて厳しい表情に変わる。

 声も硬くなり、全てからヒシヒシと信じられないって感情を読み取ることが出来た。

 超絶イケメンさんは、私のために怒ってくれてるんだろうなって思う。

 私のために怒ってくれてることも、怒ってくれてると疑うことなく信じられることも、すごく嬉しかった。

 こんなところも恵子に似てるなぁ~と思って、更に温かい気持ちになりながら、残念ながら事実なので肯定するしかない。


 「そうです。姉に手を出しやがりました」


 「彼女の姉に手を出すとか信じられん。神経を疑う」


 「この世にはそういう人間もいるんですよ。私も頭悪すぎると思いますけど、頭が悪いのはうちの姉もなんで、初彼だけを攻められないんですよね。ぶっちゃけ、誘ったのは姉かららしいですし」


 「はっ?」


 「妹の彼氏に普通に手を出しちゃう姉なんですよ。セックス依存症なんで手当たり次第って言ったほうが正しいですけど。まぁ、そんな誘ってきた姉にホイホイ手を出した初彼なんですけど、他にもっと重大な問題があったんです」


 「…姉に手を出すより?」


 まさか、これより上があるの?と言わんばかりの雰囲気を出す超絶イケメンに、キュンキュンする。

 良い反応をどうもありがとう。

 とっても可愛いよ!


 「私にとっては、姉に手を出すより重大な問題です!だって聞いてよ、初彼と姉が致した場所が、まさかの私の部屋だよ!しかも、姉に私の下着と学校の制服を着せてヤッたんだって言うんだよ!!?もう気持ち悪くて気持ち悪くてッ!!」


 「それは…、確かにどうしようもなく気持ち悪いな…」


 目を大きく開いて、噛み締めるように“気持ち悪い”って言う超絶イケメンに、私は心から“だよね!男からしても気持ち悪いって思うよね!”とテンションが上がる。

 テンションと共に敬語も消えていた。


 「そうでしょ!そんなベットで寝たくないし、制服も下着も着たくないじゃん?だから捨てれるものは全部捨てたの」


 「俺も捨てるだろうな」


 「でしょでしょ!ま、そしたらさ、それから気持ち悪いって思っちゃったら、手元に置いとけなくなっちゃったんだよねぇ~。もったいないんだけど、こればっかりは直せなくて」


 「君は何も悪くないし、直す必要もない。これはトラウマになっても仕方ない出来事だ。気にする必要はない」


 あらっ、超絶イケメンさんたら発言まで男前!

 恵子と真澄と同じく直さなくても良いって言ってくれるなんて、本当に優しいなぁ~。


 「なにを笑ってるんだ?俺、変なこと言ったか?」


 優しいなぁ~って思ってたら笑ってたらしい。

 この流れで笑うとこなんてなかったのに急に笑ったら、そりゃ超絶イケメンさんが変なこと言ったみたいに感じちゃうよね。


 「ごめんなさい。直さなくても良いって親友達と同じこと言ってくれたから嬉しくて。私にまで優しいんですね!」


 「誰にでも優しい訳じゃない」


 ちょっと冷たい感じの言い方で、この眉のくいっと感だと、たぶんちょっとムッとなってるんだと思う。

 やだー、私ってばこの短時間でけっこう超絶イケメンさんのこと分かってきてない?

 超絶イケメンの眉から感情が読み取れても、今後使い道ないんだけどw


 「そうなんですか?私には優しい人にしか思えませんけど」


 「優しくしたい人にだけしかしない」


 なに?!なんかすっげ格好良いんですけど!

 “優しくしたい人にだけしかしない”って、なんだか“君だから優しくしてる”って言われてるみたいに感じる。

 さらっと女の子を勘違いさせるようなことが言えるなんて、さすが超絶イケメンさん!!






連続投下!

これはみなさんに楽しんで貰えているんだろうか?

もっとこうした方が良いとか、こんなの読んでみたいとかあるのかな?

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