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十五



 私はそっちより、ゴミ袋を気にして欲しかった。

 あくまでダンボールの代用品で仕方なく使ったんだって、ちゃんと伝わっただろうか?


 本当は、ゴミ袋を使おうなんて思ってなかったと言おうと思ったんだけど、それじゃ恵子のせいにしてるみたいで嫌だからやめた。最終的にゴミ袋を使うって決めたのは私なのに、他人のせいに、まして私の心配をしてくれてる親友のせいにするみたいで嫌で…。

 これが次郎くん相手だっら言えるんだけど、他の人には絶対に言えない。

 だって、次郎くんは恵子が一番だから。私が何を言ったって、恵子が言った言葉の真意をちゃんと理解してる。だから安心して言える。



 人はいつだって、自分のしたい解釈しかしない。

 私の言葉を、私の思った通りに受け取ってくれるとは限らない。

 本当、言葉って難しい。



 あっ、いっけね。また違うこと考えてた。

 話しを戻してぇ―っと。


 そうですよね~。

 彼氏の浮気相手は普通、女ですよね~。

 私も出来れば女であって欲しかった…。

 でも、現実は酷なんです。


 「そうです。男、友達です」


 男の部分をゆっくり強調して伝えてみた。

 超絶イケメンさんは、はたしてどんな反応を見せてくれるんだろう。

 観察しようと顔を右に向け、運転中の超絶イケメンの横顔を見る。

 横顔も素敵な御尊顔ぶりですぜ、旦那!

 眼福であります。


 「君の恋人の浮気相手が男友達だった、と?」


 この超絶イケメンさん、恵子と似てる。

 要点しか話さないとことか、平坦な話し方なとことか、似てるなぁと思う。

 なにより、彼氏が男友達と浮気してたって話に、動揺を見せてないところが特に恵子と重なる。

 こう言う人種の人たちは、何が起きたら驚くんだろう?

 返事をしながら、恵子の驚く姿を想像してみる。


 「その通りです」


 親友が男に彼氏寝取られてもダメ。

 次郎くんの奇行でもダメ。

 こりゃ、無理だね!

 でも、これから先、一度は大好きな恵子の驚いてる顔を見られたら嬉しいなぁ、と思う。


 あっ、次郎くんの奇行が気になる?

 しょうがないなぁー。

 なら、パッと思い付く奇行を一つ教えてあげる。

 そうだなー、恵子って動物大好きなんだけど、なぜか凄い嫌われちゃうのね?

 嫌われるのもあるし、何より自分より先に逝かれるってのもあってペットを飼ってないんだけど、たまたま仕事の移動中に好みドンピシャの可愛い子犬を見つけたらしくて、思わず“可愛い”って溢したらしいんだ。

 それを盗み聞きした次郎くん(どうやってかは皆様のご想像におまかせします。)が嫉妬して、その日の恵子のお出迎えを、赤い革で出来たモノホンの大型犬用首輪だけを身に着けた格好でしたらしいよ。

 玄関開けたら首輪だけの次郎くんがいるってヤバくない?

 私なら回れ右して交番に駆け込む。

 でも恵子は“風邪ひくわよ、服着なさい。お風呂のほうが良いかしら?犬なら私がいれるべきよね”と言って、普通にお風呂でワシャワシャしたらしい。


 次郎くんの奇行を許容できるのを懐が深いって言って良いなら、恵子は懐が深いんだろう。

 ただしイケメンに限るが!

 顔面偏差値主義もここまでくれば天晴あっぱれだよねー。


 「君の恋人は男?」


 ん?なんでそんな当たり前のこと聞いてくるんだろう?


 「そう、ですけど?」


 私が少し戸惑い気味に答えると、超絶イケメンの眉がほんの僅か下がった。

 この超絶イケメンは眉に感情が出るらしい。

 そう思うと格好いい超絶イケメンが可愛く見えてくるから不思議だ。


 「気を悪くさせたのなら、すまない。恋人の性別で話が変わってくる。念のための確認だ」


 私の戸惑いを、気を悪くしたのと勘違いしたらしい。

 違うって伝えなきゃと思うけど、それより気になることがある。


 「馬鹿殿の性別で話が変わる?」


 そう、そこ! なぜ?

 口に出して考えてみても思い当たらなくて頭からはてなを飛ばす。


 「馬鹿殿?」


 そうだ。馬鹿殿じゃ伝わんないよね。

 超絶イケメンにも、はてなを飛ばさせてしまった。すまぬ。


 「あっ、彼氏のことです」


 「そうか」


 そう言って、超絶イケメンは更に眉をお下げになる。そして、


 「つまりは、女同士か男同士かの確認だ」


 と仰った。

 





今日の更新は早くできました!お楽しみ頂ければ幸いです。

次郎くんの奇行エピソードは半分実話です。どこらへんが実話なのか、想像して楽しんでみても良いかも?しれません(笑)ブクマと評価ありがとうございます!これからもポチッと宜しくお願いしますです、はい。

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