十二
ご指摘頂けたので、高級車の描写を加筆してみました。
ちゃんと書けてることを祈ります…。
超絶イケメンさんは、お乗りになる車まで格好良かった。
車形はセダン。
触らなくても分かる滑らかでツルツルのボディは、周りを映し出す鏡のような光沢を放っている。
そんな、はい!私が高級車です!と言わんばかりの出で立ちの車に颯爽と乗り込んで来る姿は、それはもう、申し分なく格好良かった。
でも、自分が乗り込む前に助手席のドアを開いてエスコートしてくれる姿は、それ以上に格好良かった。
あまりの格好良さとスマートなエスコートに、気付いたらシートに座ってたよ。
内装も外観を裏切らないシックなデザインで、見るからに質感が良い。
なぜ座ってるのか分からないけど、超絶イケメンさんのエスコートで座った助手席のシートは、見た目以上の良質な肌触りと座り心地を私に与えてくれて、逆に座りづらいぐらいだ。
どちらかと言えば貧乏性の私にはハードルが高いお車である。
本当になんで、超絶イケメンさんが運転している車の助手席に座ってるんだろう。
心底、私には不釣り合い過ぎると思う。
高級車も、エスコートも、助手席も、超絶イケメンさんも…。
なんで、こんなことになってるの?
呆然とさっきまで超絶イケメンさんに握られていた右手を見る。
長身に見合う大きい手で、長く骨ばった少し神経質そうな指をしていた。
指すらエロいその手に、恋人繋ぎをされていたなんて信じらんない。
しかも、指で手の甲を擽られたりしたんだけど…。
なんか、触り方もエロかったんだけどっ!
あれって、そういうもんなの?
恋人繋ぎってそんなんだったっけ?
私の知ってる恋人繋ぎと、なんか違うみたいなんだけど、どうなの?!
まさか…、あの指の擽りになんか意味あんの?!
ねぇ、なんかのサインかだったりするの?!
お願い誰か教えてくれーーーーーっ!!
…後で、オプションとか言ってお金取られないよね?
次郎くんだったら、笑って請求してきそうだから怖い。
お相手はこの超絶イケメンさんだし、どんだけ吹っ掛けられるか分かったもんじゃないよ!
さっきだって、めっちゃ黒爽やかな笑顔で手振って見捨ててきやがったし!
もしや、それが狙いか?
私に借金背負わせて、弱みでも握るつもりなんじゃ…?
アイツは私に何をさせるつもり!?
超絶イケメンに私を会わせて、次郎くんはどうしたいんだっ!
怖い。
罠が張ってありそうで、果てしなく怖い。
彼女の大切な親友でも、メリットがあれば戸惑いなく次郎くんは罠にかけると思う。
あの腹黒ストーカーなら、やりかねない。
マジでやりかねないところがツライぜ!
なんかの意図があって、超絶イケメンさんに私を会わせたのかなぁ?どう思う?
あれで、基本無駄なことしないヤツだから、なんか意図がある気がするんだよなー。
無駄に他人の人間関係とか感情を掻き乱して遊んで、収拾せずに放置するけど…。
ああーっ!常人の私には、ストーカー次郎くんの考えなんて分からん!
今回は意図があるの?
それとも何となく私で遊んで放置しようっての?
単純に恵子との時間が減るのが嫌で、適当に押し付けられそうな親戚に押し付けただけって、考えられなくもない。考えられなくもないけど、違う気がする。言葉に出来ないけど、なんか違う気がする。
だって、適当に押し付ける相手が超絶イケメンてあり得る?超絶イケメンだよ?
普通、私みたいな一般ピーポーが逆立ちしたって、相手になんてしてもらえない部類のお人だよ!
…、超絶イケメン言い過ぎて、なに言ってんのか良く分かんなくなって来た…。
「手、嫌だったか?」
「ほぇ?」
不意なセクシーイケボに、間の抜けた声で返事してしまった。
自分の思考に入り込み過ぎてたせいで、反応できなかったんだからしょうがないよね!
それで、なんだっけ?手、嫌だったか聞かれたんだっけ?
…なんのこと?
「俺が握った手を、ずっと見てるから。…嫌だった?」
嫌なはずないじゃん!
超絶イケメンに手を握られて、嫌な女がいると思ってんの?
つーか、超絶イケメンさん、今まで嫌だなんて言われたことないっしょ!
ぶっちゃけ嫌だなんて言われるなんて、夢にも思ってもないんじゃない?
その御尊顔であれば、そう思うのもやむ無しだと思う!
今まで可愛いが唯一の正義だと思ってたけど、改めるわ。
超絶イケメンも正義ッ!間違いない!!
「嫌だったらちゃんと言ってくれ。言わないなら、…良いって勝手に解釈するからな」
なんとか今日中に上げられた…。頑張れたのも、ひとえに日ごとに増えるブクマと評価のおかげです。ありがとうございます!これからも宜しくお願いしますです、はい。