情報本部の苦難〜トップに信じてもらえない?〜
展開が遅いというご指摘を頂いたのにもかかわらず亀みたいな展開・・・
拙作ですが、お楽しみください
【未知の巨大大陸出現に関する報告 速報】
本日16:35分頃、地震被害調査のため飛行中だった海上自衛隊第九一航空隊所属機が八丈島東方30km付近に巨大な陸地を確認。続いて地球観測衛星だいちが八丈島付近からウェーク島付近にかけての巨大な大陸を撮影。さらに、第九一航空隊所属機の通報を受け、第501飛行隊所属の偵察機が八丈島東方400kmに進出し、偵察任務中に国籍不明の巨大な鳥のようなものに遭遇。我が偵察機は国籍不明機に国際緊急周波数で呼びかけを行ったものの、応答なし。なお、巨大な大陸には19世紀後半から20世紀前半にかけての文明レベルの街を確認。
情報本部長 富山雄二 統合情報部長 周防重吉 画像・地理部長 佐渡陽介
2019年 11月8日 17:45 内閣情報集約センター
「これはなんだね?知っていると思うが、君たちの冗談を聞いていられるほど私は暇じゃないし、君たちもこんな馬鹿げた冗談を言っている場合ではないだろう?しかも情報本部の高級幹部三人の連名とは、よほど仕事が無いのかね。今は地震対応で忙しいはずだが」
この薄っぺらく、短い報告書を読んだ(読まされた)荻久保の第一声はこれだった。そして、この報告を持ってきた松島三佐は、「情報本部内でもかなり情報が錯綜していた模様ですが、正確な情報です。彼らも衛星からの画像と現場の航空部隊、それも一つではなく二つからの同じ情報。計三つ、別々のソースから同様の情報が入っている以上、正確であり、誤認でないと判断したことからこのようなものを提出してきたのです」
「では、君はこれが正確で、間違いのない情報だというのか」
「はい、そのとおりであります」
「うむ・・・わかった、では、その巨大な大陸とやらの衛星画像を見せてくれ。それから、偵察機が遭遇したという鳥のようなものも」
「すぐに手配してまいります」
2019年 11月8日 17:49 内閣情報集約センター付近の廊下
松島は廊下に出るとスマフォを取り出し、どこかへ電話をかけ始めた。
「先輩、松島です。先輩の言うとおり、総理は衛星画像を要求してきました。それから、偵察機が遭遇したという鳥のようなものの写真も。はい、ええ、はい、わかりました。ありがとうございます。ええ。では、失礼します」
電話を切った松島は、今頃先輩はほくそ笑んでるんだろうなと思いながら、総理のもとへ戻った。
「総理、手配しました。衛星画像はまもなくこちらに送られてきます。それから、鳥の方は現在遭遇した偵察機が八丈島沖から百里に帰投中なので画像が届くまでもう暫く掛かる模様です」
「では早速見せてもらおう」
松島はノートパソコンを起動し、さきほど先輩から送られてきた衛星画像を開いた。