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この世界には詳細な地図はまず出回らない、町から町までの距離は歩いて何日とかそういった基準だ。移動手段は徒歩、馬車、自動車、列車とあるが列車はもっと発展した国であるくらいで今、私達がいる地域は田舎なのでそんなものはない。
自動車も国やギルドの割りと上層が所持しているので一般人がおいそれと手が出せる移動手段ではないのだ。なので必然的に徒歩か馬車になり、移動速度も限られてくる。
3人は世界の縮図を見ながら今後の行動やペースを相談していた。眠兎と乃陰は口喧嘩をしつつも、恵那が止めに入り進行を遅らせないようにまとめていった。私はそれを眺めつつ、別枠でマップを表示させ眺めていた。
マップを眺めていると、ここ最近で場所の数が増えている事に気がついた。町から町への移動で馬車は前からあるが、その数が明らかに増えていた。リアルタイム性でマップを見えるため、一つ一つ馬車を確認していくことにした。誰が乗っているのかはさすがにわからないが、どの馬車も同じ作りになっており、紋様が共通していた。
これは…プレイヤー同士が強力して通運業を行ってる…だと…
いくら記憶を失っていたとしても現実で培った経験が下地にあるので本能というか習慣的にどういうゲームや仕事をしていたのかが顕著に出てくる。これは近々世界が荒れてくるなと感じた、戦争が起きるのか誰かが建国するのかなと予想した。
思った以上にプレイヤーたちの行動が早い。このゲーム、自由度が他のゲームとくらべて高いためステータスやスキルといった概念がない。元よりプレイヤーに対して補助する機能はあるにしても「やっただけ反映される」という「がんばったら成果が出る」といったヌルゲー仕様ではない。
もちろん、初期装備として渡されるものは武具によっては使い込んだり、鉱物など素材を吸収させたりすると成長するものだったりする。プレイヤーによってプレイスタイルや難易度が異なってくる仕様になっている。
今までのゲームプレイ歴やIQやEQを測定された上でその人の行動心理に伴った最適なスタイルに近いものが付与される。
そんな私はリビングアーマー化してるのもそこだろうかと思ったりしたが現実の自分との記憶障害を起こしているのはバグだと思う。マジクソだこれ
だが、そこがいい(だって面白むかつくし
『ミナ、大丈夫?』
眠兎からこういった気遣いは結構あったりする。一心同体に近いものがあるので結構敏感に反応してくれたりする。
(あ、ごめんね。ちょっと考え事しててね。大丈夫だよ気にしないで~)
『うん、ごめんね…私は動けないだけだけどこの状態ってミナに負担かけてないかなって思ってさ』
(大丈夫、大丈夫~全然負担じゃないよ~)
リビングアーマー化して疲れというのが無くなった。眠兎を守る際にアーマーの機能を使用しても疲労という感覚はない。痛覚に関してはアーマーが欠損した場合はあるが自然修復されるので恐怖というのはそこまでない。
私は世界の縮図を使い、分布図機能をONにした。これは生物がどのあたりにいるのか大まかに表示してくれる機能だ。モンスターも生物なのでONにするとどのあたりにいるのか表示される。この機能は非常に便利だが限られた遺跡内でしか使えない、また眠兎や恵那と乃陰もこの機能のことは知らない。
フィルタ機能をONにし、人型と大型のモンスターのみを表示させこれからの道中に危険がないか調査する。
人がどこに集まっているかもわかるので盗賊のアジトや変な場所に人が集団でいるのが丸わかりなのだ。ある程度フィルタをかけて、マップをぐりぐりと動かし生体反応があるところをサクサクと確認する。
この作業、何気に楽しかったりするんだよなぁ…ある程度ではあるけれど顔も確認できる角度が場所によってはある。山岳地帯や森林地帯や屋根があったりするとそこにいるのはわかるがズームアップが出来ないので詳細がわからないけれど…
近場からこれから向かう方向にかけてそそくさと調べていく内に奇妙な感じがした。世界の縮図上からそれは感じ、その違和感を感じる場所に私は方向を定めてマップを移動させた。
なんか見られているような感じがこっちからするような…なんか変な感じだ。
今いる場所から北東方面だった。ここからだと5日くらいの距離くらいかなと感じた。そこには3つの生体反応があった、村や町などから離れていて奇妙だ。遺跡でもこの近くにあるのかな…だとしたら未発見の遺跡かな?
ズームアップしてその3つの生体反応がなんなのか確かめると3人とも白髪だった。いや一人は白髪まじりの黒髪だった、そして3人の服装は少し妙だった。
なんか冒険者風に見えない…
私は顔を確かめようと角度を変え、斜め上から見下すような形で確認しようとしたらこちらに振り向いてきた。
えっ?!何?!
ものすごい形相で睨まれた。
「やっと見つけたぞ、青の使徒め…今から殺しに行ってやる」
私は怖くなり、世界の縮図の接続を切った。青の使徒?なにそれ…今から殺しにってどういうこと?
そいつは男だった、言っていた事も気になった。だけどそれよりも、顔付きが恵那と全く一緒だったのだ。
もしかして今の人が恵那が今探してるもう一人の自分?
ドキドキと心臓がないのに鼓動が早くなっているような感覚、焦りが全身に遅いどうしていいのかわからない危機を感じる。頭が真っ白になるが辛うじて、踏みとどまった。
このまま思考を放棄したまま、感情に身を委ねてもダメだ。
肺はないが深呼吸をする、リビングアーマー状態なのに深呼吸できるのかというと一応出来る。空気が必要かと言われれればわからないけれど
深呼吸をするとアーマーの通気口と思われる部分からバシュッーと換気するような音が出る。
『ミナ?本当に大丈夫、さっきからなんかいつもと違う感じがするけど何かあった?』
私は眠兎に話し、恵那や乃陰に状況を説明し対策を考えたほうがいいと感じた。私だけでは何も出来ない、だから眠兎を通して進むしか無い。
私は、眠兎に告げる。誰かが私を殺しに来ることを…




