表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/50

41-

 アンバーシティ郊外に降ろされた私は、操縦手に「ご武運を」と簡潔に言われると去っていった。郊外付近から歩いて数時間だというのが上空から体感でわかったので、特に離れている場所からでも問題ない。

 目の前には濃霧が立ち込められてはいるが、ドーム状に霧がかっているので高層ビルがいくつか突き抜けて飛び出ていた。近くに天井とつなぐ塔はなく、ここら一帯は少し風変わりな感じがした。


 道路が一直線に伸びており、左右は砂漠のような風景が広がっており、郊外というよりは砂漠地帯と言った方がしっくりきた。特に風もなく、空には雲もなかった、空というよりは天井だが…

 薄暗さはあるものの、天井からの電光が均一に地面を照らしていた。しかし、空気の層かあるいは埃の影響なのか薄暗さが出ていた。濃霧に囲まれているアンバーシティはどうなっているのか…電力は通じているため、街灯がついていることを祈るばかりだ。

 真っ暗闇に近い状態なら、視界に確保が出来ないのなら考えなければいけないなと思ったが、引知士というクラスがもたらす恩恵を使い、自分の中にある「世界を救う方法」のデータにアクセスしてなんとかなるんじゃないかと思った。


 アンバーシティに入る前に、自分自身の中にあるデータにアクセスすることにした。実際にどんなことが起きるのかわからないので移動中はやめておいた。自分自身の中を知りたいと思うのは不思議な感じがした。


 私は集中するため、槍を地面に刺して、自分の中にあるデータに集中した。途方も無いデータ量が私の中にあることが感じ取れた。それが圧縮されていることがわかり、徐々に解凍していくにつれ、身体が熱くなっていくのが感じ取れた。

 自分の周りに奇妙なものが見え始めた…粒子のようなものが文字や図形を形成していき、それが他人に視認出来るものなのか自分だけが見えるものなのか、美しいなと感じた。その中心にいるのだから、外から見るとまた違った美しさが見えるのだろう。


 圧縮されていたデータが解凍されていき、全身に浸透していった。ドクンドクンと血管が脈をうっているような感覚が走る。電子回路のような模様がうっすらと身体に浮かび上がる。


 願いを一つ言え、という流れで世界の真実とか真理とか、知識や叡智を知りたいと答えた先にあるのは膨大な量の情報に押しつぶされ精神が崩壊する。自壊、そんな言葉が頭によぎったりしたが、特に異常はなくも少しくすぐったさが駆け巡っている程度だった。


 解凍した後に身体に浸透するまでに時間がある程度、必要とするのかあまり変わらなかった。


 周りの紋様やら粒子は落ち着いていき、見えなくなっていった。空気はさっきよりも澄んでいて、気のせいか来た時とは違ったように見えた。

 見えた、いや見えている…濃霧で見えないアンバーシティも霧も薄くなっており、当たりには見えてなかったものが見えた。黒い粒子のようなゴミが見え…それがナノマシンとわかり、槍を振るう。

 ナノサイズのものを斬る。なんていうのは今の自分にはそんなに難しい事じゃなくなっていた。重槍をそもそも簡単に振るうこともおかしなものだが、この重槍に細かなブースターがついているのでそれを制御すれば容易かった。


 自分の周りにある謎のナノマシンを一掃し、アンバーシティに向かう事にした。


 確か、ランクAのアラクネ型とランクBのスライム型と言っていた後に多脚型と重量型と言っていたのを思い出した。多脚型というとアラクネなのだから複数の脚でカサカサと蜘蛛のような感じだろう…スライムの方は重量なのでおっきな感じだろう。


 スライム型がでかくパワー系でそれを避けている時にアラクネ型が避けた所をささっとトドメ刺しにくる連携をしてきそうだ。単純に二対一という環境下だといいが、スライム型から連想するのは分裂だ。コアが丸見えだったりしても、そこまでこの重槍が到達するのか…スライムってだけで防御力が高そう。


 重槍を地面に向かって放ると、地面にぶつかる前に重槍がふわりと浮く。


 この重槍の情報をダウンロードし、身体にインストールされていた。この重槍、そしてマガジンがないハンドガンがどういうものかわかっていた。ふわりと浮いている重槍にサーフィンをするように乗る。

 重槍の柄に足がしっくりと馴染む、昔、魔法少女が箒にまたがるのではなく、柄の上にたって飛んでいた。私もそれを真似るように乗り、アンバーシティへ向かった。


 最初は歩くような速度から、じょじょに速度を上げていく事で頬に風が流れるの感じた。本来、この重槍は振り回す、投げつけるといった用途のために使われるものだったが乗った方が機動力は上がるし、また乗ったまま足で振り回したりも出来るので攻撃の幅も広がる。


 速度が上がるに連れて、風が強くなり目をあけていられないものだがそんな事もなく、速度を上げても風を感じなかった。不可視なバリアを貼り、不快感をなくしていた、とはいえ…防御力はそんなにあるわけじゃないので実践向きではない。


 周りの景色が高速で流れていき、アンバーシティに到着した。


 速度を落とし、あたりを見渡し特に変なものは見えなかった。謎なナノマシンもなく、閑散とした空気が流れていた。本当にここにいるのか、気配がまるでなく、本来だったら濃霧の中だが私の眼には普通の街にうつっていた。


 世界を救う方法か…

 あたりを見渡し、目下…とりあえずこのアンバーシティという世界を救うか…


 マガジンがないハンドガンを手にし、グリップの部分のメーターを見る。メーター全開まで入っており、弾が補充された状態を確かめる。牽制程度に使えるハンドガンだと思ったが、かなり高火力のもので反動こそはハンドガン程度だがコンクリートや鉄板をえぐる火炎の弾が銃口に似合わない大きさで出るものだった。

 その分、特殊な弾が必要になっており、自身の血が必要になる。体内から少しずつ血を吸っているらしいが、私自身痛みもなく、自然生成する血よりも摂取するわけでもないので弾もなかなか溜まりづらい。


 安全装置を解除すればすぐに補充されるが、貧血や重症時は気をつけないと死ぬな…


『あーあー、あっ、繋がった』

 グリーディンの声が脳内に聞こえた。

『到着したようね、敵は二体…アンバーシティ内にいる―』

『なんで声が聞こえるの?』

 さも、当然のように会話を始めるグリーディン…意味がわからない。

『ソロでもオペレーターがついて、補助を務めるのよ。まあ、細かい事は気にしないでミッションを開始する』

 深く気にしないことでした。

『高濃度の粒子型のECMを展開されており、あたりは濃霧になっているが…飛翔未那の眼には無意味のようね』

 移動していると時折聴こえる、何かの呻き声や助けを呼ぶ声、物音も波長が故意的に作られているものとわかるようになっていた。

『今のあなたには私と同等に近い状態に感じ取れているのか…あなたが持っているデータ興味深い』


 視線を感じるのと、死線は似ている。ただ、発音が似ているというだけではなく、元は同じ意味だったのだろう。

 その場からすぐに移動をする、重槍を急発進させ粉塵を撒き散らす。私がいた場所には無数の穴が空いていた。ドバァンと耳障りな音が聞こえ、もう少しそこにいたら殺られていた。


 散弾が発射された方向を見ると、すでに姿はなく声だけは聞こえた。


「殊勝な人間風情が…もう戻れないぞ?」


 なにがもう戻れないぞ、だ。挨拶代わりに攻撃するのは良しとして、今ので仕留められない己の力量を…程度が知れた!

 声は女性で艶やかな人を連想させる、大人の女性なんだろうと想像ができた。しかし…


「絶好の機会に外すなんて、イカした挨拶ね。もう動く相手を撃ったことあるの?」


「いい風穴が空いたと思ったんだが…やるねぇ!!!」

 性格はキレてて、ヒステリシスだなと感じた。


 地面を見ると、ぬめりとしたものが流れていた。それが敵の策略だと知り、あたりを見渡すと流れてくる方向を特定でき、そこへ向かうことにした。こいつが可燃性なのか、それとも動きを阻害する粘着性なのか、いずれにせよ触れない方がいい。


 重槍を操り、街の中を疾走しながらタンク型と呼ばれるスライムに狙いを定めることにした。阻害行動をしてくるやつを先に叩く…


 街の中を移動していると事前に見た建物の配置が変わっている区画があった。視界にそれが入り、グリーディンに問い合わせることにした。


『渡された情報のものと都市の構造が違う区画があるんだけど、都市開発されたの?』


『ここは彼らが来てから廃棄された場所よ…彼らに都市開発なんてわざわざするくらいならここを更地にしてからにするわ』


『もしかして、タンク型のスライムって…』


『ビル並みにでかい…フフッ、この街そのものがそいつの身体ってわけじゃない。どこかにコアがある。でかいだけだ、先ほどの動きを見る限り飛翔未那にとっては脅威ではないだろう』

『簡単に言ってくれる…』

『証明してみせろ、神に挑む意思を』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ