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 アキージョンという世界がどういった場所なのか、調べた情報と実際に来てみて相違点はそう無かった。ただ違ったのは…まさかこんなに注目されるとは思わなかった、どこに行くにも「あのチュートリアルを最高スコアでクリアしたキチガイ」だとか「サイコパス」だとか言われている。


 後で知ったのだが、チュートリアルが正体不明の恐怖、何をするのか、されるのか、その場の状況判断がつきにくい環境下で意思疎通の出来ない相手に対して「恐怖に支配されないこと」がクリア条件だったらしい。

 途中、自分は恐怖に支配されそうになったが記憶喪失状態になったり、リビングアーマーになったり、霊体のような状態で放置されたり…思い返せば自由に自分の意思で動けるのならチュートリアルはマシな状態だったんだと思えてしまった。


 グリーディンの手引によって、パーティを組まずにいわゆるダンジョンや探索が出来るようにしてもらった。本来なら許可証とかいろいろクエストをこなしていかないといけない。

「チュートリアルの点数もいいし、特典として免除しておく、あと…特別なクラスも用意しておくわ」

 クラス、いわゆる肩書みたいなものだ。冒険者とか傭兵とかそういった何をしてるのか、身分というか自分を証明するものだ。アキージョンで行動する上で何者かは重要ではないがあった方が便利で、クエストをすすめていく内に手に入れるものだが…とっても面倒なのは知っていた。

「ありがとう」

「別にいいわ、あなたは多分ソロで活動することになるし、私もなにかと忙しいのよ。サポートはするけれど戦闘とかは自分でどうにかしてね」

「ソロでどうにかなるような世界なの?」

 調べた情報だとそんな生易しい世界ではなく、小隊編成して行かないとまず生き残れないと書かれていた。


「あなたの中に特別なデータがあるからそれを使えば楽勝でしょ?そのためのクラスも用意するし大丈夫でしょ」


 特別なデータ?一体何を言っているのかわからなかった。


「ヨビバイト級の本人のみが使用可能なデータがあるわよ、それが気になってチュートリアルであなたを解析しようと思ったのだけどね」


 ヨビバイト?!どのくらいのデータ量なのかわからなかった。

 その特別なデータはおそらく…異界で手に入れた「世界を救う」方法についてのデータだ。そのデータを使うためのクラスを用意すると言っていたが…


「その、このデータを使うことが出来るクラスがあるってことよね?」

 私は自分に内包されたデータを引き出すスキルが使える都合のいいクラスがあると思っていた。

「インストールできるかは、飛翔未那次第よ」

「え、何それどういうこと?」

「引知士、人はダウンローダーと呼ぶクラス。誰がそう呼ぶようになったのかは…まあどうでもいいか、限られた上級の上級クラスよ」


 彼女は言う事だけいい、私は最初のスタート地点である街にほっぽり出された。


 聞きたい事とかいろいろあったが、私はぐっと押し込め歩みを進めた。空は無く、天井があり、高層ビルがジャングルジムのように形成されていた。見上げると結構な圧迫感と圧倒感があり、天井近くは霧のようなモヤがあったりした。

 ため息をつき、腰に手を当てて、どこに行ったらいいのかと悩んでいたら後ろから自分を追い抜いていく人たちがチラホラと見え始めた。振り向くと巨大な円形のリングが何重になったものがあり、ログインするとここから出る仕組みなのだと知る。


 見事に周りは男、男、男だらけだった…


 奇異な目で私を見るものももちろんいるが一定数の女性はもちろんいるらしいが続けているユーザーは全体の1%とも言われているらしい。ナンパとか出会いを求めて女性プレイヤーに声をかける人はどのゲームでもいる。しかし、このゲームではヒメちゃんと呼ばれるようなプレイヤーは部隊の生存率を左右されるため、コミュニケーションはとるが部隊に入れるかは別らしい。そういったプレイもし難いことから1%と言われているのかなと思った。


 だって常に要人護衛しながらとか、難易度高い。


 街並みをふらふらと歩いていたらすぐに日が暮れてしまうが、ソーディアーに居た時とは違い途切れることのない計算された造りの都市を歩きたいと思ってしまっていた。軽く頭を振り、情報が集まる場所を探すことにした。

 幸いにもすぐにギルドと思われる場所はわかったが…私がチュートリアルをした結果が認知されており、とんでもない歓迎ムードだった。周りのプレイヤーも訝しげながら何事かと見ていたが内容を知ると煽ってくるものや値踏みしてくるもの…面倒なので無視した。


 最高スコアでパスしたことや、どういうチュートリアルだったのか、聞かれたり聞かされたりしたが答えたくない事は「秘密です」と言い放っておいた。ただならぬ雰囲気を出しておいたのでそれ以上の追求はしてこなかった。


 そして、最高スコアでパスしたことで上層部の方から寄贈品を渡された。最初に使っていた槍とハンドガンの上位互換された装備品だった。防具の調達は楽らしいが、武器の調達は難しい為、今後の期待を込めてというのがわかった。

 私はありがたく受け取ったが、かなり大きな槍だった。持ってきた人はかなり重そうだった。扱えるのかなと思ったが重さはそんなに感じなく、しっくりと手に馴染んだ。渡されたハンドガンもマガジンを入れる場所がなく、奇妙な作りになっていた。あとで調べることにしようと思い、ホルスターにしまった。


 そこで私は特別な依頼が上層から来ていることを聞かされ、依頼主はグリーディンと書かれていた。私は手引きするというのがこれのことだと察した。


 これを断った場合は?と聞いてみたらそれ担当している人が蒼白な表情を浮かべ、頭を下げて懇願された。冗談だったのだが、彼女がこの世界ではどういう存在なのかわかった気がした。


 依頼内容は私しか見てはいけないもので、特別な個室に移された。そこに依頼内容は映像で、いつ作ったんだと言われる精巧でクオリティの高いものだった。


「ミッションを説明する。雇主は私、グリーディン。一応直轄管理最高責任者となっている。目標は、アンバーシティに駐留する珪素生物のチームだ


1体目のアラクネ型がランクAの多脚型

2体目のスライム型がランクBの重量型


特に多脚の方は、かなりキレた奴だ

あと、この季節のアンバーシティは、濃霧状況下にある。

有視界戦闘はかなり制限されると思っておいた方がいい

チュートリアル時と同じ状況下だ、索敵系装備を調達出来るのならあったほうがいい」


 アンバーシティと呼ばれる場所のマップが立体的に表示され、2体の珪素生物が映し出される。ターゲットの画像と駐留しているポイントや行動範囲が円形に映し出される。


 ランクがAとBとか説明されてそれがどのくらいの脅威を持つものなんだろうか…


「珪素生物といえど、ディファーと呼ばれる種でいわゆるランカーとも呼ばれる賞金ランクや危険ランクに登録されている」


 絶対ヤバイじゃないか


「アンバーシティまでの移動はこちらで手配してある、いつでも行ける。報酬についてだが、異世界へのゲートがある場所への案内、及び必要な兵装の手配をしよう」


 ソーディアーに行けるゲートだといいが…多分大丈夫だろう。あと兵装…あっちの世界でも使える武器だといいなぁ…


「ミッション内容は以上だ、健闘を祈る」


 グリーディンからのミッションの説明は終わり、とりあえず目下の敵対勢力と思われる二体を倒す事になった。映像が終了すると部屋を出て、私はアンバーシティまでの移動することになった。行くならすぐがいいと思ったからだ、それに相手の情報については事前にネットで調べてある。

 ディファー種がどういった珪素生物かは知っている。おっそろしく強い、そしてランカーーと呼ばれているのなら、更に強い。しかも相手は二体なら、なおさら勝率なんていうのはここで調べても攻略要素は低いだろう…


 ギルドを出ると装甲車が泊まっており、運転手と思われるかなりガッチリした重装のマッチョが敬礼して待っていた。私は目を細め、怪訝な顔をするとそのマッチョは冷や汗をかいていた。


 別に怖がらせたわけじゃないのに…


 敬礼を解き、装甲車の後ろのドアが開かれる。中は簡素な造りになっていたが、特に気になるような事はなかった。

「どうぞ、こちらへ…目的地までは陸路から空路に切り替わります。詳しくは走行中にご説明させて頂きます!」

「ありがとう」

 私は装甲車に乗り込み、大きな槍を反対側の椅子の上に無造作に置き、椅子に腰掛けた。マッチョはそれを確認するとドアが閉められ、駆け足がタッタッタッタッと聞こえた後に運転席のドアが開閉する音が聞こえた。


 私はため息をつき、運転席の方を見る。スライド式のシャッターがあったのでそこを開け、よろしく頼むと言うとマッチョは驚いていた。

「ハッ、お任せください!」

 装甲車は発進し、アンバーシティに向かう事になる。


 今はこの世界を楽しんでいる時間はない、早急にソーディアーに行かないといけないからだ。


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